新 或る実験の記録

フロイライン

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変身完了

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腕に点滴を繋がれ、管の途中のところに何かを入れられたのは覚えている。
でも、その次の瞬間気が遠くなり、俺は意識を失った。


次に気がついたとき、窓の外は明るくて日差しが入り込み、時計の針は7時を指していた。

つまり午前7時

既に性転換は完了してるってことか?

俺は慌てて飛び起きようとした。
そのとき、近くから誰かが話しかけてきた。

「菅原さん、大丈夫?」


「えっ、はい」 

声の主は吉岡センター長だった。
俺の傍に立っていた。

いや、ちょっと待って!

俺の声…

甲高くなってる、女みたいに…


「菅原乃亜さん
性転換前 身長175センチ、体重60キロ
性転換後 身長158センチ、体重46キロ

無事に女性への性移行が完了しました。」  

吉岡さんはそう言って俺に手鏡を渡してきた。

俺はそれを受け取り、鏡を見ると、そこには俺の知らないまったくの別人が写っていた。

いや、俺には違いない
面影がある

でも違う…何かが違う

どう見ても俺なんだけど、どこからどう見ても女なんだ。

「あっ」

顔だけじゃない、俺はシャツの中を覗き込んだ。

おっぱいがある!

めっちゃ大きい…

いや、大きいのか、普通なのか、小ぶりなのかわからん

でも、俺から見たら巨乳だ。

「あの、吉岡センター長」

「どうしたの?」

「トイレに行ってもいいですか?」


「いいけど、やり方わかる?

ついて行こうか?」


「いえ、大丈夫です、一人で」  

俺は早足でトイレに駆け込んだ。


うわあ、歩くたびに胸が揺れる

重い!




しかし、この甲高い声、我ながら何回聞いても慣れないなあ。

こうして俺はあっけなく、というか、いとも簡単に女になった。
それも染色体レベルでの完璧な女に。

気分は最高…とは言えないけど、もう男としての人生は諦めてたから、これで踏ん切りがついたっていうか、これからは女として生きていくしかないって、決意が湧いてきたっていうか…

でも、事前に聞いていなかった事がある。

それは性転換後の体は極端に体力が落ちるという事だった。
体力というか筋力が…

握力も小学生低学年の女子並み

しばらくして体力測定があったんだけど、50メートル走で、なんと、18秒もかかってしまった。
それで息も上がってしまう。

これがこの薬の唯一の副作用らしく、徐々に体力作りをしていくしか改善策はないらしい。

ゾッとする。
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