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「三田村さん、本当に大丈夫ですか?
この女が本気なら、朝山総理が殺されてしまう」
合田が心配そうに言ったが、三田村は全く意に介さなかった。
「合田会長
吉岡君が本気かどうかを今証明しますよ」
三田村はついに電話をかけてしまった。
失敗した…
みんなの協力を得て、千載一遇の好機を得たにもかかわらず
私がタイミングを見誤ったために…
せめて、朝山だけでも…
いや、それをしたらここにいる連中と同じ穴の狢になってしまう。
ここまでが私の限界だったか…
投降しよう
私は、朝山の首に突きつけていたピストル型の注射器をゆっくりと離した。
朝山という人質を失った私は、SPが来るのを待たずとも、ここにいる人間たちで抑える事ができる。
しかし、誰も私に向かってくる人間はいなかった。
朝山は腰を抜かし、涙と鼻水を流しながら震えたままだし、他の人間も年寄りすぎて自ら動くにはリスクがあると感じているのだろう。
そうなると、私はSPに荒々しく押さえつけられるのだろう。
そんな事を考えていると、程なくして戸があき、男たちが傾れ込んできた。
終わり時を迎えた私は大人しく捕まる事にした。
だが
「失礼します」
戸を開けて入ってきたのはSPではなく、伊藤だった!
「伊藤!、どういう…」
中野は青ざめた表情で伊藤を見つめていた。
「どういう事なんだって言いたいんですか?
私もこの料亭の上顧客ですからねえ。
当日予約でもこうして受けてもらえるくらいのね。」
伊藤は笑みを見せながら言った。
そうだ、伊藤は代々政治家の家系に生まれ、母はファイン製薬の創業家の出。
つまりこういうところにも顔が利く。
いや、そんな事より、高山も一緒ではないか。
ついでにX largeさんもいる。
「ナオちゃん、大ピンチだったみたいだねえ」
高山はニヤリと笑ってこっちに視線を向けた。
「伊藤さん、高山さん…どうやってここへ…」
ワケがわからない私が質問すると、伊藤がしたり顔で話し始めた。
「キミから連絡をもらって、私がこの店に予約を入れたんだ、結構ムリくりね。
中に入ると、別室に控えていたSPのマッチョ達を高山先生がクスリで眠らせた。
お付きの人間がどこに控えてるかなんて、昔から変わっちゃいない。
私にかかれば全てお見通しってわけさ。
という簡単なやり口だよ。」
「あ、それと、俺が生配信を行いながら後を付いてきたってワケっす。」
トレードマークの黄色いキャップをかぶったX largeさんが、カメラを取り付けたスタビライザーを持ちながら私に言った。
この急展開に、朝山、三田村以下、会のメンバーは誰も何も言わず、呆然として見つめるだけだった。
この女が本気なら、朝山総理が殺されてしまう」
合田が心配そうに言ったが、三田村は全く意に介さなかった。
「合田会長
吉岡君が本気かどうかを今証明しますよ」
三田村はついに電話をかけてしまった。
失敗した…
みんなの協力を得て、千載一遇の好機を得たにもかかわらず
私がタイミングを見誤ったために…
せめて、朝山だけでも…
いや、それをしたらここにいる連中と同じ穴の狢になってしまう。
ここまでが私の限界だったか…
投降しよう
私は、朝山の首に突きつけていたピストル型の注射器をゆっくりと離した。
朝山という人質を失った私は、SPが来るのを待たずとも、ここにいる人間たちで抑える事ができる。
しかし、誰も私に向かってくる人間はいなかった。
朝山は腰を抜かし、涙と鼻水を流しながら震えたままだし、他の人間も年寄りすぎて自ら動くにはリスクがあると感じているのだろう。
そうなると、私はSPに荒々しく押さえつけられるのだろう。
そんな事を考えていると、程なくして戸があき、男たちが傾れ込んできた。
終わり時を迎えた私は大人しく捕まる事にした。
だが
「失礼します」
戸を開けて入ってきたのはSPではなく、伊藤だった!
「伊藤!、どういう…」
中野は青ざめた表情で伊藤を見つめていた。
「どういう事なんだって言いたいんですか?
私もこの料亭の上顧客ですからねえ。
当日予約でもこうして受けてもらえるくらいのね。」
伊藤は笑みを見せながら言った。
そうだ、伊藤は代々政治家の家系に生まれ、母はファイン製薬の創業家の出。
つまりこういうところにも顔が利く。
いや、そんな事より、高山も一緒ではないか。
ついでにX largeさんもいる。
「ナオちゃん、大ピンチだったみたいだねえ」
高山はニヤリと笑ってこっちに視線を向けた。
「伊藤さん、高山さん…どうやってここへ…」
ワケがわからない私が質問すると、伊藤がしたり顔で話し始めた。
「キミから連絡をもらって、私がこの店に予約を入れたんだ、結構ムリくりね。
中に入ると、別室に控えていたSPのマッチョ達を高山先生がクスリで眠らせた。
お付きの人間がどこに控えてるかなんて、昔から変わっちゃいない。
私にかかれば全てお見通しってわけさ。
という簡単なやり口だよ。」
「あ、それと、俺が生配信を行いながら後を付いてきたってワケっす。」
トレードマークの黄色いキャップをかぶったX largeさんが、カメラを取り付けたスタビライザーを持ちながら私に言った。
この急展開に、朝山、三田村以下、会のメンバーは誰も何も言わず、呆然として見つめるだけだった。
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