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賭け
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中野をはじめとしたこの会のメンバーは、現職総理を人質にして対峙する私に、驚きの目を向けていたが、すぐに気を取り直し、別室に控えるお付きの人間を呼ぼうと、携帯を懐から出した。
「携帯を触らないで。
触ったら朝山総理が死にますよ。」
私は、朝山の首に突きつけたピストル型注射器を見せつけながら言った。
だが、三田村だけは表情を変えずに私に話しかけてきた。
「吉岡さん、そんなこけ脅しに我々が乗るとでも思っているのかね?
もし、キミが凶行に及んだとしても、我々が電話をするだけで、各人のSPがここに流れ込んできて、キミを制圧する。
そして、キミは現職の総理大臣を殺そうとした罪で刑務所行きだ。」
「そうですね。そうなるでしょうね。
だったら試してみますか?
ここで朝山総理と心中するのもいいかもしれません。」
私は朝山に視線を送りながら言った。
「や、やめろ
やめてくれ!」
朝山はガタガタと震え、涙ぐみながら懇願した。
皆が動けず、ただ、私と朝山に視線を向けている状況が続いたが、相変わらず、三田村だけが冷静な口調で私に話しかけてきた。
「吉岡さん。
こんなこけ脅しは他の人間には通用しても、私には通用しませんよ。
やれるならやってみればいい。
あなたはきっと何も出来ない」
「…」
さすがは反社といったところか…
「人命は地球より重いと言ったバカな政治家がいたが、そんな事はない。
朝山総理は志の高い政治家だ。
大義の為なら喜んで死を受け入れるさ。
ここで殉死を遂げれば、国民の同情を買い、政党支持率も一気に回復し、次の衆院選に光も見えてくる。
そうなれば朝山総理も本望だろう。」
三田村はそう言うと、平然と携帯を取り出した。
「三田村社長はそうおっしゃっていますが、どうなんです?
朝山総理」
「やめてくれ!
死にたくない!」
「三田村社長、朝山総理は大義なんて無価値なものと自分の命を比べるなと怒ってらっしゃいますよ。
それにもう遅いです。
私もこんな大それた事をするのに、ノープランなわけがない。
お酌をするとき、自白剤を混ぜたお酒を提供させていただきました。
皆様が饒舌だったのはそのせいです。
それと、朝山総理をはじめとするここでの会話は、録音させていただき、外部に飛ばしています。」
「何をバカな事を
そんな戯言を信じられるとでも思っているのか!
それならば実際に試してやろう。」
三田村は手に持っていた携帯を操作し、耳に当てた。
「携帯を触らないで。
触ったら朝山総理が死にますよ。」
私は、朝山の首に突きつけたピストル型注射器を見せつけながら言った。
だが、三田村だけは表情を変えずに私に話しかけてきた。
「吉岡さん、そんなこけ脅しに我々が乗るとでも思っているのかね?
もし、キミが凶行に及んだとしても、我々が電話をするだけで、各人のSPがここに流れ込んできて、キミを制圧する。
そして、キミは現職の総理大臣を殺そうとした罪で刑務所行きだ。」
「そうですね。そうなるでしょうね。
だったら試してみますか?
ここで朝山総理と心中するのもいいかもしれません。」
私は朝山に視線を送りながら言った。
「や、やめろ
やめてくれ!」
朝山はガタガタと震え、涙ぐみながら懇願した。
皆が動けず、ただ、私と朝山に視線を向けている状況が続いたが、相変わらず、三田村だけが冷静な口調で私に話しかけてきた。
「吉岡さん。
こんなこけ脅しは他の人間には通用しても、私には通用しませんよ。
やれるならやってみればいい。
あなたはきっと何も出来ない」
「…」
さすがは反社といったところか…
「人命は地球より重いと言ったバカな政治家がいたが、そんな事はない。
朝山総理は志の高い政治家だ。
大義の為なら喜んで死を受け入れるさ。
ここで殉死を遂げれば、国民の同情を買い、政党支持率も一気に回復し、次の衆院選に光も見えてくる。
そうなれば朝山総理も本望だろう。」
三田村はそう言うと、平然と携帯を取り出した。
「三田村社長はそうおっしゃっていますが、どうなんです?
朝山総理」
「やめてくれ!
死にたくない!」
「三田村社長、朝山総理は大義なんて無価値なものと自分の命を比べるなと怒ってらっしゃいますよ。
それにもう遅いです。
私もこんな大それた事をするのに、ノープランなわけがない。
お酌をするとき、自白剤を混ぜたお酒を提供させていただきました。
皆様が饒舌だったのはそのせいです。
それと、朝山総理をはじめとするここでの会話は、録音させていただき、外部に飛ばしています。」
「何をバカな事を
そんな戯言を信じられるとでも思っているのか!
それならば実際に試してやろう。」
三田村は手に持っていた携帯を操作し、耳に当てた。
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