97 / 102
大義の為に
しおりを挟む
「日本は四方を海に囲まれているとはいえ、資源も乏しく、隣国との関係も良くない。
私は総理としてこの国を守らなければいけないし、また発展させていかなければはならないという使命を持って政治家という仕事をしている。
ただし、今の憲法下では自国の防衛すらまともに出来ず、アメリカの力を借りなければ何も出来ない。
だが、アメリカにとっては、本心で言えば、日本がどうなろうと知った事ではない。
土壇場で梯子を外されるかもしれんのだ。」
朝山はよく喋った。
「その話と、今回の件とどう関係があるんですか?」
「大有りだよ。
地獄の沙汰も金次第ってな。
日本の経済が強ければ守ってくれるが、このまま人口減少、老人の増加で国の根幹が危うくなれば、いつでも見捨てられる。
その辺りの事は想定しておかなければならないということだよ。」
「…」
「浦賀にペリーが黒船で現れて以来、日本は度々主権を脅かされそうな困難に遭遇した。
しかし、その度に当時の幕府、維新政府、そして、戦後の日本政府と、その危機を脱するべく有識者が集まって立ち向かった。
その流れは今も脈々と受け継がれており、このような会が存続しているのだよ。」
「今も…」
「そう。この会は、日本の行く末を考え、そして方針を決定している。」
「そうなんですね。
すごく勉強になります。」
私は再び朝山の隣に座り、酒を注いだ。
「まあ、そういう事だ。」
「それにしても総理
総理はお話好きなんですね
私のような素人に色々話して下さるなんて、すごくありがたいです。
でも、大丈夫なんですか?
私にそんな大事な話をされて。
マスコミに話したら大騒ぎになるような内容ですよ。」
「うーん
少し酒が入り過ぎてしまったかな。
饒舌になってしまったよ。」
「果たしてそうでしょうか?
たとえば、私が総理や皆さんのお酒に自白剤のようなものを混入させていたとしたら?」
「ハッハッハ
吉岡さんは面白い事を言うねえ」
朝山は膝を叩いて笑って言った。
(今だ!)
私は立ち上がって朝山の後ろに回り込み、首に例のものを突きつけた。
「動かないでください、朝山総理
これはあなたもよくご存知のRH-3を高濃縮させたものです。
少しでも動いたら、全量あなたの首に打ち込みます。」
私は高山から託されたピストル型注射器に入った濃縮型のRH-3に指をかけ、朝山に迫った。
「吉岡さん
何をバカな事をしてるんだ!」
慌てふためく中野やその他のメンバーを尻目に、私は朝山に神経を集中させた。
私は総理としてこの国を守らなければいけないし、また発展させていかなければはならないという使命を持って政治家という仕事をしている。
ただし、今の憲法下では自国の防衛すらまともに出来ず、アメリカの力を借りなければ何も出来ない。
だが、アメリカにとっては、本心で言えば、日本がどうなろうと知った事ではない。
土壇場で梯子を外されるかもしれんのだ。」
朝山はよく喋った。
「その話と、今回の件とどう関係があるんですか?」
「大有りだよ。
地獄の沙汰も金次第ってな。
日本の経済が強ければ守ってくれるが、このまま人口減少、老人の増加で国の根幹が危うくなれば、いつでも見捨てられる。
その辺りの事は想定しておかなければならないということだよ。」
「…」
「浦賀にペリーが黒船で現れて以来、日本は度々主権を脅かされそうな困難に遭遇した。
しかし、その度に当時の幕府、維新政府、そして、戦後の日本政府と、その危機を脱するべく有識者が集まって立ち向かった。
その流れは今も脈々と受け継がれており、このような会が存続しているのだよ。」
「今も…」
「そう。この会は、日本の行く末を考え、そして方針を決定している。」
「そうなんですね。
すごく勉強になります。」
私は再び朝山の隣に座り、酒を注いだ。
「まあ、そういう事だ。」
「それにしても総理
総理はお話好きなんですね
私のような素人に色々話して下さるなんて、すごくありがたいです。
でも、大丈夫なんですか?
私にそんな大事な話をされて。
マスコミに話したら大騒ぎになるような内容ですよ。」
「うーん
少し酒が入り過ぎてしまったかな。
饒舌になってしまったよ。」
「果たしてそうでしょうか?
たとえば、私が総理や皆さんのお酒に自白剤のようなものを混入させていたとしたら?」
「ハッハッハ
吉岡さんは面白い事を言うねえ」
朝山は膝を叩いて笑って言った。
(今だ!)
私は立ち上がって朝山の後ろに回り込み、首に例のものを突きつけた。
「動かないでください、朝山総理
これはあなたもよくご存知のRH-3を高濃縮させたものです。
少しでも動いたら、全量あなたの首に打ち込みます。」
私は高山から託されたピストル型注射器に入った濃縮型のRH-3に指をかけ、朝山に迫った。
「吉岡さん
何をバカな事をしてるんだ!」
慌てふためく中野やその他のメンバーを尻目に、私は朝山に神経を集中させた。
1
お気に入りに追加
71
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/youth.png?id=ad9871afe441980cc37c)
NH大戦争
フロイライン
ファンタジー
呪詛を家業として代々暮らしてきた二階堂家。
その二十六代目にあたる高校二年生の零は、二階堂家始まって以来の落ちこぼれで、呪詛も出来なければ、代々身についているとされる霊能力すら皆無だった
そんな中、彼の周りで次々と事件が起きるのだが…
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる