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大義
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「中野さん、彼女が例の?」
朝山は私を見て中野に質問した。
「総理、そうです。
彼女が我々の計画の象徴とも言うべき人物
吉岡奈緒さんです。」
「いやあ、実際に見ると一段と美しいね。
拉致の時は色々大変な目に遭いましたね。
ウチの党がもっと早くに政権を奪取出来ていればよかったんですが、救出が遅くなったことをお詫びしますよ。」
「いえ、友政党は何も悪くないですし、総理にそんな事を言っていただくのは心苦しいです。」
私はそう言って恐縮してみせた。
「まあ、民国党なんていうとんでもない政党が政権を握っていたせいで色んな部分で歪みが出来てしまったってわけだ。」
朝山は吐き捨てるように言った。
「ところで、その民国党の伊藤はどうなりましたか?」
合田が言うと、朝山は首を横に振った。
「まだ捕まってないよ。
どこかに潜伏してるんだろうが、警察も見つけてはいない。」
「日本の警察ってのも存外頼りになりませんな。」
今までほとんど喋っていなかった三田村がここで急に口を挟んできた。
反社の噂があるだけに、警察の話題には敏感という事か‥
その後は酒も進み、皆が私への質問をして場が盛り上がっていった。
「吉岡さん、今は好きな男性はおられるのかな?」
合田が質問してきた。
「いえ、まだ…」
「だったら、私に是非ご紹介させて欲しいな。
あなたのような美しい女性と交際したいという男性は山ほどいるよ。」
「そうですね。
吉岡さんには良い男性と結婚していただき、早く子供を作って幸せに暮らしていただきたいものです。」
「中野さん、そんな事を言ったらマタハラとか何とか言われて叩かれちゃいますよ。」
口を挟んだ中野に、合田は笑いながら注意した。
「でも、ワタシも早く子供が欲しいって最近強く思うんです。」
「ウチの薬は肉体は勿論、精神的な部分まで完全に女性にしてしまいますから、そう思うのも無理はありません。
本能的な部分までも変えてしまいます。
吉岡さんが心に抱く、いわゆる母性本能みたいなものまでね。」
中野も酒が入っているのか、やたらと饒舌だ。
「ところで総理、例の件の後始末は上手くいきましたか?」
ここで三田村がまた話に割り込んできて言った。
朝山は一瞬、固まったが、すぐに平静を取り戻して頷いた。
「ああ。勿論だ。
谷崎長官に全て任せてある。
心配は要らん。」
私がこの場にいるので、詳細を語らなかったが、例の件というのが何なのかはすぐにわかった。
朝山は私を見て中野に質問した。
「総理、そうです。
彼女が我々の計画の象徴とも言うべき人物
吉岡奈緒さんです。」
「いやあ、実際に見ると一段と美しいね。
拉致の時は色々大変な目に遭いましたね。
ウチの党がもっと早くに政権を奪取出来ていればよかったんですが、救出が遅くなったことをお詫びしますよ。」
「いえ、友政党は何も悪くないですし、総理にそんな事を言っていただくのは心苦しいです。」
私はそう言って恐縮してみせた。
「まあ、民国党なんていうとんでもない政党が政権を握っていたせいで色んな部分で歪みが出来てしまったってわけだ。」
朝山は吐き捨てるように言った。
「ところで、その民国党の伊藤はどうなりましたか?」
合田が言うと、朝山は首を横に振った。
「まだ捕まってないよ。
どこかに潜伏してるんだろうが、警察も見つけてはいない。」
「日本の警察ってのも存外頼りになりませんな。」
今までほとんど喋っていなかった三田村がここで急に口を挟んできた。
反社の噂があるだけに、警察の話題には敏感という事か‥
その後は酒も進み、皆が私への質問をして場が盛り上がっていった。
「吉岡さん、今は好きな男性はおられるのかな?」
合田が質問してきた。
「いえ、まだ…」
「だったら、私に是非ご紹介させて欲しいな。
あなたのような美しい女性と交際したいという男性は山ほどいるよ。」
「そうですね。
吉岡さんには良い男性と結婚していただき、早く子供を作って幸せに暮らしていただきたいものです。」
「中野さん、そんな事を言ったらマタハラとか何とか言われて叩かれちゃいますよ。」
口を挟んだ中野に、合田は笑いながら注意した。
「でも、ワタシも早く子供が欲しいって最近強く思うんです。」
「ウチの薬は肉体は勿論、精神的な部分まで完全に女性にしてしまいますから、そう思うのも無理はありません。
本能的な部分までも変えてしまいます。
吉岡さんが心に抱く、いわゆる母性本能みたいなものまでね。」
中野も酒が入っているのか、やたらと饒舌だ。
「ところで総理、例の件の後始末は上手くいきましたか?」
ここで三田村がまた話に割り込んできて言った。
朝山は一瞬、固まったが、すぐに平静を取り戻して頷いた。
「ああ。勿論だ。
谷崎長官に全て任せてある。
心配は要らん。」
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