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中枢
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私は中野に連れられ、赤坂にある料亭に来ていた。
「なんか緊張します」
「緊張する事はないですよ。
まあ、この国の政治、経済、宗教等のトップが揃ってはいますが、彼らも皆あなたと会うのを一様に楽しみにしていますよ。」
中野は私にそう言って緊張を解すように促した。
部屋に通されると、既に殆どの人が揃っており、全員がこちらに視線を向けた。
「いやあ、遅れて申し訳ございません。」
「我々も今し方着いたところですよ。
それに、まだ朝山さんも来られてませんしね。」
手前に座っていた男がそう言うと
「皆さん、こちらが以前からお話をしていた吉岡奈緒さんです。」
中野は皆に向かって私を紹介した。
私は一人ずつに挨拶をして回った。
この時点で着座していたメンバーは以下の通りだ。
ユニオン電機会長で経団連の会長も務めている合田 隆一
国内最大手の芸能事務所サンライズプロの三田村 十蔵
宗教団体「天創会」の代表 大谷 幹雄
メガバンク 友菱銀行頭取の安達 建
国内最大手の証券会社 山野証券会長の松村 董次
年齢は五十過ぎから七十近い者まで様々だ。
どちらにしても一癖も二癖もある連中だということは、その面構えを見て感じ取れた。
「あなたが我が国の希望の星、吉岡さんなんですね。
お会いしたいと思っていました。」
「希望の星だなんて、とんでもない」
「いやいや、中野社長のお話を聞く限りでは、あなたの存在はこの国が長年に渡り解決できなかった問題をクリアする唯一の方法だと、私は思いますよ。」
経団連の合田はかなり饒舌な男だ。
それに対して、合田の隣に座るサンライズプロの三田村は目つきが鋭く、私を睨みつけるように観察しながら黙って聞いているだけだ。
反社と繋がりがあるという噂を耳にしたことがあるが、その目つきで噂が事実であると確信した。
それからも、皆の関心はほぼ私一人に集中し、様々な質問が浴びせかけられた。
「妊娠可能だということは、生理もあるんですか?」
「ええ、それは。」
「男の私にはよくわかりませんが、毎月キツイんじゃないですか?」
「多分、私はキツイ方だと思いますので二日目とか、かなり辛いですね」
「ほう」
下世話な話をされても一々丁寧に回答する私。
そのとき、徐に襖が開き、一人の男が入ってきた。
「いやあ、遅れて申し訳ない。
予算委員会が紛糾してね。記者どもがうるさくて。」
その男は私もよく知っている顔だった。
友政党総裁にして内閣総理大臣の朝山由紀夫‥
まさにその人だった。
「なんか緊張します」
「緊張する事はないですよ。
まあ、この国の政治、経済、宗教等のトップが揃ってはいますが、彼らも皆あなたと会うのを一様に楽しみにしていますよ。」
中野は私にそう言って緊張を解すように促した。
部屋に通されると、既に殆どの人が揃っており、全員がこちらに視線を向けた。
「いやあ、遅れて申し訳ございません。」
「我々も今し方着いたところですよ。
それに、まだ朝山さんも来られてませんしね。」
手前に座っていた男がそう言うと
「皆さん、こちらが以前からお話をしていた吉岡奈緒さんです。」
中野は皆に向かって私を紹介した。
私は一人ずつに挨拶をして回った。
この時点で着座していたメンバーは以下の通りだ。
ユニオン電機会長で経団連の会長も務めている合田 隆一
国内最大手の芸能事務所サンライズプロの三田村 十蔵
宗教団体「天創会」の代表 大谷 幹雄
メガバンク 友菱銀行頭取の安達 建
国内最大手の証券会社 山野証券会長の松村 董次
年齢は五十過ぎから七十近い者まで様々だ。
どちらにしても一癖も二癖もある連中だということは、その面構えを見て感じ取れた。
「あなたが我が国の希望の星、吉岡さんなんですね。
お会いしたいと思っていました。」
「希望の星だなんて、とんでもない」
「いやいや、中野社長のお話を聞く限りでは、あなたの存在はこの国が長年に渡り解決できなかった問題をクリアする唯一の方法だと、私は思いますよ。」
経団連の合田はかなり饒舌な男だ。
それに対して、合田の隣に座るサンライズプロの三田村は目つきが鋭く、私を睨みつけるように観察しながら黙って聞いているだけだ。
反社と繋がりがあるという噂を耳にしたことがあるが、その目つきで噂が事実であると確信した。
それからも、皆の関心はほぼ私一人に集中し、様々な質問が浴びせかけられた。
「妊娠可能だということは、生理もあるんですか?」
「ええ、それは。」
「男の私にはよくわかりませんが、毎月キツイんじゃないですか?」
「多分、私はキツイ方だと思いますので二日目とか、かなり辛いですね」
「ほう」
下世話な話をされても一々丁寧に回答する私。
そのとき、徐に襖が開き、一人の男が入ってきた。
「いやあ、遅れて申し訳ない。
予算委員会が紛糾してね。記者どもがうるさくて。」
その男は私もよく知っている顔だった。
友政党総裁にして内閣総理大臣の朝山由紀夫‥
まさにその人だった。
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