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誘惑
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「そうか。知らないのか
それじゃあ仕方ないな。私の勘違いだったようだ。
樋口君、変な話をしてすまなかった。許してくれ。」
「い、いえ…」
「吉岡君、樋口君も忙しそうだから、早々に失礼しよう。」
私に視線を向けると、高山は立ち上がった。
こんなにあっさり引き上げるのかと、驚いたが、仕方ないので私も席を立った。
「あ、そうだ
樋口君、面白い話があったんだった。
君に教えてあげたくてね、帰る前に少し聞いてくれ」
「面白い話?…」
「ある刑事さんが、この吉岡君が被害者となった事件を独自で追っててね、とうとう核心に近づく事に成功したんだ。
あの拉致、強制性転換事件には外国だけではなく、日本の政治家、警察組織までもが絡み、そして協力していたとね。」
「…」
「その刑事さんはどうなったと思う?」
「…どう?」
「何故か殺人容疑の罪を被せられて、現在も逃走中で行方知れずだ。」
「えっ…」
「君には関係ない話だからいいけど、もし、君がファイン製薬に協力していたとすると…
何かあったときには真っ先に消されるよ
口封じのためにね」
「…」
「いやいや、すまない。
関与してればの話だから…
私がここでこんな話を君にしている事自体、君の身がかなり危険な事になるんじゃないかな。
あくまでも関与していれば、の話だがね」
「高山さん…」
「樋口君、君がこの件に関与してなくて良かったよ。
吉岡君、それでは失礼しようか。」
私も頷き、高山の後ろについて退室しようとした瞬間
「すいません…
知らなかったんです…
死んでしまうなんて…」
樋口は涙目で言うと、顔を両手で押さえて俯いた。
それじゃあ仕方ないな。私の勘違いだったようだ。
樋口君、変な話をしてすまなかった。許してくれ。」
「い、いえ…」
「吉岡君、樋口君も忙しそうだから、早々に失礼しよう。」
私に視線を向けると、高山は立ち上がった。
こんなにあっさり引き上げるのかと、驚いたが、仕方ないので私も席を立った。
「あ、そうだ
樋口君、面白い話があったんだった。
君に教えてあげたくてね、帰る前に少し聞いてくれ」
「面白い話?…」
「ある刑事さんが、この吉岡君が被害者となった事件を独自で追っててね、とうとう核心に近づく事に成功したんだ。
あの拉致、強制性転換事件には外国だけではなく、日本の政治家、警察組織までもが絡み、そして協力していたとね。」
「…」
「その刑事さんはどうなったと思う?」
「…どう?」
「何故か殺人容疑の罪を被せられて、現在も逃走中で行方知れずだ。」
「えっ…」
「君には関係ない話だからいいけど、もし、君がファイン製薬に協力していたとすると…
何かあったときには真っ先に消されるよ
口封じのためにね」
「…」
「いやいや、すまない。
関与してればの話だから…
私がここでこんな話を君にしている事自体、君の身がかなり危険な事になるんじゃないかな。
あくまでも関与していれば、の話だがね」
「高山さん…」
「樋口君、君がこの件に関与してなくて良かったよ。
吉岡君、それでは失礼しようか。」
私も頷き、高山の後ろについて退室しようとした瞬間
「すいません…
知らなかったんです…
死んでしまうなんて…」
樋口は涙目で言うと、顔を両手で押さえて俯いた。
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