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ユートピア
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「何年か前に、或るウイルスが世界中に猛威を振るい
多数の感染者と死者を出しました。
しかし、そのウイルスが、いつどこでどういう経緯で発生したか、今も全く不明のままです。
一説によれば、最初に発生した国の細菌兵器であるとか、それこそ色々な噂が出ました。」
「そうね…」
「まあ、その国も人口バランスが崩れて、高齢者の数が増え続けていた為、わざと老人だけが死ぬようなウイルスをばら撒いたんじゃないかって、実しやかにそういう噂も流れました。」
「うん。聞いた事ある。」
「真贋は定かじゃありませんが、考え方によってはよく出来たウイルスだなって思います。
死んで欲しい人間だけをピンポイントで消してしまう」
「怖いね」
「かくいう我々の開発したRH-3も、そのような成分を多分に含んでいます。」
「えっ?」
「たとえば、このRH-3を血圧の薬でも何でもいいですが、普段服用する薬に混ぜてしまいます。
そうすることにより、それを飲んだ人間は知らぬ間に寿命が縮まって死んでいくのです。
この薬は無味無臭、そして何の痕跡も残さない。
ですから、死んでもその薬が原因だとは誰も考えることはない…」
「えっ?」
「まあ、そんな事は倫理的に許されるものじゃないですし
、実用化する事はないでしょう。
あくまでも例のウイルスの研究途中で見つけた副産物といったところでしょうか。」
「そんな恐ろしいものを…」
「しかし、この先日本は益々貧しい国に転落していくでしょう。
長生きしてもろくに年金がもらえなくて生活が苦しい人は、余生を諦めてしまうかもしれない。
ひょっとしたら、そのときにこの薬が使われるかもしれません。
上級国民と下級国民の選別ですね。」
「そんなことしたら…」
「あくまでも可能性の話をしたまでです。
信仰心が薄く、宗教上の制約を受けない日本だからこそ、そういう可能性は捨てきれないのです。」
私はそのとき、ふと、ある事件の声を思い出した。
「ちょっと待って
この前、何処かの病院でたくさんの患者さんが死んだよね?
ほらっ、蜷川病院の!」
「あー、ありましたね。
それが何か?」
「アレって…ひょっとして…
そのRH-3が関係してるとか」
「まさか。
それこそ研究段階の薬ですし、外部に持ち出せる人間など存在しませんよ。
考えすぎだと思いますね。」
「そうかなあ」
「それよりも、吉岡さん
もう一回、いいですか?」
「ん?
もちろんよ」
堀口は私の乳房を激しく揉み、首筋に舌を這わせた。
「あんっ!ああっ!」
まあ、今日のところはこれくらいか…
私は目的だった情報が手に入った為に心に余裕が出来、その後の堀口とのセックスを純粋に楽しんだ。
多数の感染者と死者を出しました。
しかし、そのウイルスが、いつどこでどういう経緯で発生したか、今も全く不明のままです。
一説によれば、最初に発生した国の細菌兵器であるとか、それこそ色々な噂が出ました。」
「そうね…」
「まあ、その国も人口バランスが崩れて、高齢者の数が増え続けていた為、わざと老人だけが死ぬようなウイルスをばら撒いたんじゃないかって、実しやかにそういう噂も流れました。」
「うん。聞いた事ある。」
「真贋は定かじゃありませんが、考え方によってはよく出来たウイルスだなって思います。
死んで欲しい人間だけをピンポイントで消してしまう」
「怖いね」
「かくいう我々の開発したRH-3も、そのような成分を多分に含んでいます。」
「えっ?」
「たとえば、このRH-3を血圧の薬でも何でもいいですが、普段服用する薬に混ぜてしまいます。
そうすることにより、それを飲んだ人間は知らぬ間に寿命が縮まって死んでいくのです。
この薬は無味無臭、そして何の痕跡も残さない。
ですから、死んでもその薬が原因だとは誰も考えることはない…」
「えっ?」
「まあ、そんな事は倫理的に許されるものじゃないですし
、実用化する事はないでしょう。
あくまでも例のウイルスの研究途中で見つけた副産物といったところでしょうか。」
「そんな恐ろしいものを…」
「しかし、この先日本は益々貧しい国に転落していくでしょう。
長生きしてもろくに年金がもらえなくて生活が苦しい人は、余生を諦めてしまうかもしれない。
ひょっとしたら、そのときにこの薬が使われるかもしれません。
上級国民と下級国民の選別ですね。」
「そんなことしたら…」
「あくまでも可能性の話をしたまでです。
信仰心が薄く、宗教上の制約を受けない日本だからこそ、そういう可能性は捨てきれないのです。」
私はそのとき、ふと、ある事件の声を思い出した。
「ちょっと待って
この前、何処かの病院でたくさんの患者さんが死んだよね?
ほらっ、蜷川病院の!」
「あー、ありましたね。
それが何か?」
「アレって…ひょっとして…
そのRH-3が関係してるとか」
「まさか。
それこそ研究段階の薬ですし、外部に持ち出せる人間など存在しませんよ。
考えすぎだと思いますね。」
「そうかなあ」
「それよりも、吉岡さん
もう一回、いいですか?」
「ん?
もちろんよ」
堀口は私の乳房を激しく揉み、首筋に舌を這わせた。
「あんっ!ああっ!」
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