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真意
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研究本部に出入するようになって、私は一人の男性と仲良くなった。
その男の名前は堀口大輝
細身で長身。少し髪が長く顔色はあまり良くないがメガネの奥の瞳は優しげだ。
私は彼の視線を度々感じるようになり、それがどういう意味か悟った。
彼が私に強い関心を持っているという事だ。
どういう感情で強い関心を持っているかはわからない。
好意なのか、研究対象としての好奇心なのか
ただ、これを利用しない手はない。
私の方から堀口に近づき、昼食や休憩時間を意識して一緒にすごす事にした。
それが奏功してか、私達は急速に親しくなった。
今日の昼食後も一緒のテーブルでコーヒーを飲み、それとなく性転換計画や、今一つわかっていない謎の計画について、話を振ってみた。
「僕はこの研究本部の一スタッフにすぎませんので、詳しい事はよくわかりません。
ですが、国からの要請で、この性転換薬を作ったのも事実ですし、もう一つの計画があるっていう話も耳にしています。」
「もう一つの計画ですか?」
「はい。日本の人口問題を解消すべく、動き出したプロジェクトです。」
「この性転換薬以外で、人口問題を解消するプロジェクトがあるんですね。」
「詳しくはお話出来ませんが、この国が抱える人口問題って、人口が減り続けてるっていう単純なものではないんです。」
「そうなんですか?」
「例えば人口が増えたとして、それで解決にはならないんですよ。
生産人口が増えないことには意味がないんです。
年金受給者である老人の比率が上がったとしても、国の財政を圧迫して衰退の道を辿るだけです。」
「だからこその性転換ですよね?
私が聞いた話では所謂ニートが何百万人もいて、それらの人達を出産マシーンにしてしまうとか。」
「まあ、それだけでは不十分でしょう。
大勢の人間を出産させ、その子供達が働き出すようになるまであと何十年、下手したら軌道に乗るのが百年後っていうのもあり得る話です。
少子化世代が親世代となり、出産しても、分母が小さいので出生率が大幅に下がります。
次の世代も激減します。
この計画が本格的に稼働し始めたとき、この国が維持出来ているのかどうか…」
「だからこそのもう一つの計画なんですね。」
「ええ。」
性転換計画よりも即効性があり、この国の問題を解決に導くもの…
やはり、真相は中野が…
その男の名前は堀口大輝
細身で長身。少し髪が長く顔色はあまり良くないがメガネの奥の瞳は優しげだ。
私は彼の視線を度々感じるようになり、それがどういう意味か悟った。
彼が私に強い関心を持っているという事だ。
どういう感情で強い関心を持っているかはわからない。
好意なのか、研究対象としての好奇心なのか
ただ、これを利用しない手はない。
私の方から堀口に近づき、昼食や休憩時間を意識して一緒にすごす事にした。
それが奏功してか、私達は急速に親しくなった。
今日の昼食後も一緒のテーブルでコーヒーを飲み、それとなく性転換計画や、今一つわかっていない謎の計画について、話を振ってみた。
「僕はこの研究本部の一スタッフにすぎませんので、詳しい事はよくわかりません。
ですが、国からの要請で、この性転換薬を作ったのも事実ですし、もう一つの計画があるっていう話も耳にしています。」
「もう一つの計画ですか?」
「はい。日本の人口問題を解消すべく、動き出したプロジェクトです。」
「この性転換薬以外で、人口問題を解消するプロジェクトがあるんですね。」
「詳しくはお話出来ませんが、この国が抱える人口問題って、人口が減り続けてるっていう単純なものではないんです。」
「そうなんですか?」
「例えば人口が増えたとして、それで解決にはならないんですよ。
生産人口が増えないことには意味がないんです。
年金受給者である老人の比率が上がったとしても、国の財政を圧迫して衰退の道を辿るだけです。」
「だからこその性転換ですよね?
私が聞いた話では所謂ニートが何百万人もいて、それらの人達を出産マシーンにしてしまうとか。」
「まあ、それだけでは不十分でしょう。
大勢の人間を出産させ、その子供達が働き出すようになるまであと何十年、下手したら軌道に乗るのが百年後っていうのもあり得る話です。
少子化世代が親世代となり、出産しても、分母が小さいので出生率が大幅に下がります。
次の世代も激減します。
この計画が本格的に稼働し始めたとき、この国が維持出来ているのかどうか…」
「だからこそのもう一つの計画なんですね。」
「ええ。」
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