80 / 102
研究本部
しおりを挟む
私は入社して二週目に研究本部への出入りを許された。
別に誰かに近づいて恋仲になってとか、そういう方法を取ったわけではない。
向こうのスタッフが是非に、ということであった。
私はファイン製薬の性転換薬による世界初の完全性転換を成し遂げた人間であり、こうなった経緯はともかく、皆が私に興味津々だったのである。
「吉岡さん、すいません
こんな事をさせてしまって…」
「いいんですよ、私でお役に立てるなら、何でもします。」
皆へ体を差し出す…
言うなれば、生きたままの献体ってところか。
研究本部のスタッフの一員に加われたというより、データを取らせたり、質問に答えるのが日々の仕事のメインだったから、やっぱり生きる献体という表現がピッタリだった。
その分、皆んなと早く仲良しにもなれたし、私のことをとても大切にしてくれた。
このまま上手くやって、核心に近づけるかもしれないと私は大きな期待を持って毎日をすごした。
それと、社長も頻繁に私のもとを訪れたり、社長室に私を呼んだりして、特別扱いしてくれる。
私が恭順の姿勢を示した為に、与しやすくなったのか、または心を許したのか、色々な話をしてきた。
今日も、社長室に呼ばれて、雑談をする機会があった。
「吉岡さん
仕事には慣れてきましたか?」
私に敬語…
お客さん扱いは変わってないか
「はい。おかげさまで、楽しくすごすことが出来ています。
皆さん優しくて、右も左もわからない私に親切に教えて下さいますし。」
「それは良かった。
研究本部であなたにご協力を頂いて、様々なデータを取らせてもらっていると聞きました。
誠に申し訳ないことですが、あなたは我々にとって希望の星なんです。
だから、今暫く大目に見てやってください。」
「いえ、私なんかでもお役に立てる事は大変嬉しい事です。」
「そう言っていただけると、大変助かりますよ。
あ、そうだ。
再来週の金曜日の夜、お時間ありますか?」
「えっ、あ、はい。
どうされたんですか?」
「仲間内の会合があるんですがね。
是非あなたをご紹介したいんですよ。」
「お仲間の…ですか」
「仲間といっても、財界、政界、芸能界などのトップの集まりなんですよ。
そこで、日本の希望の星である吉岡さん、あなたをそれらの人間達と顔合わせさせたくてね。」
「それは光栄な事ですけど、私で大丈夫なんですか?」
「何をおっしゃいますか
申し上げた通り、あなたはこの日本を再び輝かしい国にするための象徴なんです。
まあ、そのプロセスについては、不幸にも伊藤代議士らによる犯罪に巻き込まれて、このような形になってしまいましたがね」
「わかりました。
喜んでご一緒させていただきます。」
なんとなく
漠然とした感想だけど、なんとなく、この事件の核心に近づいているような気がする。
別に誰かに近づいて恋仲になってとか、そういう方法を取ったわけではない。
向こうのスタッフが是非に、ということであった。
私はファイン製薬の性転換薬による世界初の完全性転換を成し遂げた人間であり、こうなった経緯はともかく、皆が私に興味津々だったのである。
「吉岡さん、すいません
こんな事をさせてしまって…」
「いいんですよ、私でお役に立てるなら、何でもします。」
皆へ体を差し出す…
言うなれば、生きたままの献体ってところか。
研究本部のスタッフの一員に加われたというより、データを取らせたり、質問に答えるのが日々の仕事のメインだったから、やっぱり生きる献体という表現がピッタリだった。
その分、皆んなと早く仲良しにもなれたし、私のことをとても大切にしてくれた。
このまま上手くやって、核心に近づけるかもしれないと私は大きな期待を持って毎日をすごした。
それと、社長も頻繁に私のもとを訪れたり、社長室に私を呼んだりして、特別扱いしてくれる。
私が恭順の姿勢を示した為に、与しやすくなったのか、または心を許したのか、色々な話をしてきた。
今日も、社長室に呼ばれて、雑談をする機会があった。
「吉岡さん
仕事には慣れてきましたか?」
私に敬語…
お客さん扱いは変わってないか
「はい。おかげさまで、楽しくすごすことが出来ています。
皆さん優しくて、右も左もわからない私に親切に教えて下さいますし。」
「それは良かった。
研究本部であなたにご協力を頂いて、様々なデータを取らせてもらっていると聞きました。
誠に申し訳ないことですが、あなたは我々にとって希望の星なんです。
だから、今暫く大目に見てやってください。」
「いえ、私なんかでもお役に立てる事は大変嬉しい事です。」
「そう言っていただけると、大変助かりますよ。
あ、そうだ。
再来週の金曜日の夜、お時間ありますか?」
「えっ、あ、はい。
どうされたんですか?」
「仲間内の会合があるんですがね。
是非あなたをご紹介したいんですよ。」
「お仲間の…ですか」
「仲間といっても、財界、政界、芸能界などのトップの集まりなんですよ。
そこで、日本の希望の星である吉岡さん、あなたをそれらの人間達と顔合わせさせたくてね。」
「それは光栄な事ですけど、私で大丈夫なんですか?」
「何をおっしゃいますか
申し上げた通り、あなたはこの日本を再び輝かしい国にするための象徴なんです。
まあ、そのプロセスについては、不幸にも伊藤代議士らによる犯罪に巻き込まれて、このような形になってしまいましたがね」
「わかりました。
喜んでご一緒させていただきます。」
なんとなく
漠然とした感想だけど、なんとなく、この事件の核心に近づいているような気がする。
1
お気に入りに追加
71
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/youth.png?id=ad9871afe441980cc37c)
NH大戦争
フロイライン
ファンタジー
呪詛を家業として代々暮らしてきた二階堂家。
その二十六代目にあたる高校二年生の零は、二階堂家始まって以来の落ちこぼれで、呪詛も出来なければ、代々身についているとされる霊能力すら皆無だった
そんな中、彼の周りで次々と事件が起きるのだが…
転生先はご近所さん?
フロイライン
ファンタジー
大学受験に失敗し、カノジョにフラれた俺は、ある事故に巻き込まれて死んでしまうが…
そんな俺に同情した神様が俺を転生させ、やり直すチャンスをくれた。
でも、並行世界で人々を救うつもりだった俺が転生した先は、近所に住む新婚の伊藤さんだった。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる