或る実験の記録

フロイライン

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本丸

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「なんで私の名前を?」

私の問いに、伊藤はふてぶてしい笑みを浮かべた。
それから、激しいセックスで喉が渇いたのか、冷蔵庫から水を取り出して、一気に飲み干し、話を続けた。


「私も最初から気づいていたわけじゃない。
お前に対する既視感、そして、異常なまでに感じやすいそのカラダで思い出したんだよ。
お前のことを。」

「先生の言うとおり、私は拉致されて性転換された吉岡奈緒よ。

でも、もう女性として生きてくって誓ったから、今のこの生活を受け入れて頑張ってるの。
銀座で働き出したのも女性としてのスキルを磨きたいっていう一心からなの。」

「性転換事件の拉致被害者が銀座でホステスをやり、偶然来た客が私だった

そんな都合のいい話があるか!

お前は一体、何が目的で私に近づいた?」


「ただの偶然です、先生!

じゃないとなんで先生に抱かれることになるんですか?



「よく言えたもんだな。
私が何も知らないと思ってるのか!

お前に投与された性転換薬は淫乱になるように設計されてるんだよ。

当初の目的に反して、一度スイッチが入ってしまうと自分の意思では止まらなくなるのがお前らだ。」

「…」 

全て見透かされてる…

「まだあるぞ。
この薬を使って性転換した者は著しく筋力が落ちるってな。
どうだ?男の力で押さえつけられ、征服されてしまった屈辱は?
たまらんだろ」

伊藤は私に跨り、身動きできないようにして追及を続けた。

「私の負けよ

でも、どうしてこんな事をするの?
あんな国の力を借りてまでして」


「フッ、まあいい。
どうせ知ったところで、もう警察もマスコミも動いてはくれないんだからな。
教えてやろう。

日本を取り戻すためさ」


「取り戻す?」


「言っただろ?店でもこの話を。
人口減少を食い止めないといけないとな。」

「…言ってたわ、それと何が関係あるの?」

「知ってるか?
今、日本では子供を産むべき適齢期の女性が圧倒的に不足してるってことを」

「…」

「単純に数が少ないって事じゃない。
その年代の女どもが子供を作らないんだよ。そして、気がつけばもう産めない年齢に達してる。」

「それは安心して子供を産めないっていう日本の環境が悪いんじゃない?
育休とかの法整備すれば済むって話じゃないわ。」

「まあ、そうとも言えるな。
だったらどうすればいい?」

「それは…」

「もう一つの問題は生産人口の減少だ。
これも単純に非生産人口が増えて生産人口が減ってるって話じゃない。
知ってるだろ?ニートと呼ばれて何年も何十年も働きもせずに親に食わせてもらってるどうしようもない奴らの存在を。
なんと146万人もいるっていう話だ。
こいつらがさらに国をめちゃくちゃにしている。
男女比でいえば、男が76%と圧倒している。」

「…」

「日本は資源のない国だ。
あるのは人々の知恵、創意工夫だ。
それだけでここまでの地位を得るに至った。
私は政治家として未来の子供達のために誇り高いこの日本を守っていかなければならないんだよ。

まあ、人道的観点からは問題があるかもしれないが、このニートを利用して子供を増やしていく。
そう結論つけたんだよ。」

「強制的に性転換させて子供を産ませるっていうこと?」

「そうだ。いわば出産マシーンを作るってわけさ。」

「そんなめちゃくちゃな…」

「このまま何もせずに放置したら、我が国はもっとめちゃくちゃになる。
それでもいいのか?」

「よくないけど…
よくはないけど、そんなの決して認められないわ!
こうして罪もない人達が実験と称して犠牲になってるんだから。」

「たしかにな。お前さん達には悪いと思ってるよ。
だが、吉岡奈緒

お前は幸せだろ?今」

「そんなこと」

「女の悦びってのを味わえて、今さら男に戻りたいなんて思ってないんじゃないのか」

「バカな事言わないで。」

「まあ、いい。
警察に引き渡す前にもう一回だけ抱かせてくれ。
お前のカラダは最高だよ。」

伊藤はそう言うと、私のおっぱいを激しく揉み、首筋に吸いつくようなキスをした。

もうヤバイ…気持ち良すぎる


「あっ、あっ、ああっ!!
気持ちいいっ!あんっ!」

ダメだ。

もうダメ、気持ち良すぎて、アソコもすぐにぐちゅぐちゅになる。

「早くっ!早く挿れてっ!」


「ああ。また何回もイカせてやるぞ。」

私の反応に気を良くした伊藤は、またゴム無しで直に膨張したペニスを挿入してきた。


「ダメダメダメっ!

ひあっ!いやっ!壊れる!!!」

イッちゃった

伊藤の波状攻撃がまた始まってしまう。

だけど、伊藤の動きがそこで止まった。

そして、私の胸に倒れこみ活動停止状態になってしまったのだ。

イビキもかいてる。


「ふう…

効くのが遅すぎるよ。」

私は手早く下着を履き、上着を身に纏うと、ハンドバッグから携帯を取り出した。


「沢渡さん。

はい、少しだけヤバかったですけど上手くいきました。

部屋は、えっと1607です。」


なんとか第一関門は乗り越えた。
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