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ファイン製薬
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沢渡と話をした翌日、私は単身ファイン製薬に出向いた。
受付に行くと、そこにいた女性に美優…
青木美優を呼んでもらうように頼んだ。
「失礼ですがお約束はされていますか?」
「いえ、していません。
吉岡奈緒と言っていただければわかると思います。」
受付嬢は少し怪訝な表情を浮かべたが、私の強い口調に根負けしたのか、内線電話をかけてくれた。
「すみません。青木が只今こちらにまいりますのでしばらくお待ちいただけますか。」
普通ならどこか部屋かブースに案内されるはずだが、きっと美優がここで待たせとけって言ったんだろう。、
二、三分待っていると、エレベーターから美優が降りてきた。
パスをかざしてゲートを開けると、私を険しい表情で見つめながら近づいてきた。
「何しにきたの?」
「あなたに色々聞きたい事があって。」
「何も話す事はないわ。あの時話した事が全てよ。
こんなところにいられたらすごい迷惑なんだけど。
とりあえず帰ってくれる?」
「美優、どうしてあなたは私に近づいて、恋人関係になってまで私を罠に嵌めたの?
それが私にはわからないの。」
「ふん。そんな事聞きたいの?
わかったわ。言ってあげるから聞いたら帰ってよね。
あなたをターゲットにしたのは、高山さんが言った通り、あなたが特別な存在だったからよ。
我が社にとってもあなたを被験者として施設に送り込む事が最優先とされていたのよ。
それが成ってこそ、私も出世が出来るってもの。
偽の恋人を演じることなんて大した事ではなかったわ。
わかった?
じゃあ、はやく帰りなさいよね。」
美優はそう言うと、私を残してその場から去っていった。
私はしばらく茫然と立ち尽くしていたが、これ以上得られるものはないと判断し、帰ろうと踵を返した。
そのときである。
さっきの受付嬢が私に近づいてきて、こう言った。
「吉岡さまですね?
弊社の社長の中野が吉岡さまとお話がしたいと申しております。
お時間を頂いてよろしいでしょうか?」
「えっ、はい。
大丈夫です。」
どういうことかはわからないけど、向こうから接触してきた。
これはチャンスなのか?
それとも…
私は立派な応接室に通された。
受付に行くと、そこにいた女性に美優…
青木美優を呼んでもらうように頼んだ。
「失礼ですがお約束はされていますか?」
「いえ、していません。
吉岡奈緒と言っていただければわかると思います。」
受付嬢は少し怪訝な表情を浮かべたが、私の強い口調に根負けしたのか、内線電話をかけてくれた。
「すみません。青木が只今こちらにまいりますのでしばらくお待ちいただけますか。」
普通ならどこか部屋かブースに案内されるはずだが、きっと美優がここで待たせとけって言ったんだろう。、
二、三分待っていると、エレベーターから美優が降りてきた。
パスをかざしてゲートを開けると、私を険しい表情で見つめながら近づいてきた。
「何しにきたの?」
「あなたに色々聞きたい事があって。」
「何も話す事はないわ。あの時話した事が全てよ。
こんなところにいられたらすごい迷惑なんだけど。
とりあえず帰ってくれる?」
「美優、どうしてあなたは私に近づいて、恋人関係になってまで私を罠に嵌めたの?
それが私にはわからないの。」
「ふん。そんな事聞きたいの?
わかったわ。言ってあげるから聞いたら帰ってよね。
あなたをターゲットにしたのは、高山さんが言った通り、あなたが特別な存在だったからよ。
我が社にとってもあなたを被験者として施設に送り込む事が最優先とされていたのよ。
それが成ってこそ、私も出世が出来るってもの。
偽の恋人を演じることなんて大した事ではなかったわ。
わかった?
じゃあ、はやく帰りなさいよね。」
美優はそう言うと、私を残してその場から去っていった。
私はしばらく茫然と立ち尽くしていたが、これ以上得られるものはないと判断し、帰ろうと踵を返した。
そのときである。
さっきの受付嬢が私に近づいてきて、こう言った。
「吉岡さまですね?
弊社の社長の中野が吉岡さまとお話がしたいと申しております。
お時間を頂いてよろしいでしょうか?」
「えっ、はい。
大丈夫です。」
どういうことかはわからないけど、向こうから接触してきた。
これはチャンスなのか?
それとも…
私は立派な応接室に通された。
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