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あの日
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「私はフリーのライターで主に実話タックルズとか、ディープな世界を取り上げる雑誌に取材記事を載せてもらったりして生計を立ててます。
だから、どんな些細な事でも、面白いと判断したら、とことん取材するために足を運んでいるんです。
そんな事はどうでも良かった。すいません、話を本題に戻します。
何から話すべきか…
私の恋人の話をさせて下さい。
看護師をしてましてね、美香って女なんですが、私にはもったいないくらい気立ての良いやつでね。
結婚の約束もしていました。
そんなある日の事なんですが、美香の仕事終わりに一緒に飯に行った時、アイツから変な話をされました。」
「変な話?」
「病院内で紙が入れられたファイルを拾ったらしく、それを私に見せてきました。
それを受け取って見てみると、紙にはびっしりと人の名前が書いてありました。」
「名前ですか」
「ええ。100人くらい羅列してありましたが、そのうち何人かには丸印が付けられていました。」
「…」
「名簿は美香のいた病院で健康診断を受けた人達だったみたいなんですが、丸印が付いていた人達には共通点がありました。」
「…」
「それら全員が、いわゆる行方不明者として情報提供を呼びかけられていた人物だったんです。
当時ニュースなんかでしきりに報道されてたので、美香もその名前の共通点に気付き、その名簿を持ち帰り、私に見せたんです。」
「まさか」
「そこには吉岡さん、あなたの名前もありました。」
「…」
「私は嫌な予感に包まれましたが、職業柄と言いますか、事の真相を知りたくなったんです。
なんでそんな名簿が病院にあったのかってね。
美香も信頼できる同僚に聞いてみて、何かわかったらすぐに連絡すると言いました。」
「で、何かわかったんですか?」
「いえ。」
「えっ」
「美香は死んでしまいました。
病院の屋上から飛び降りて。」
「そ、そんな!」
「私が漠然と感じていた嫌な予感ていうのが当たったんです。
美香は触れてはいけないものに触れてしまった…」
「誰かに殺されたのでは?」
「ええ。アイツに死ぬ理由なんてないですからね。
ですが、警察の調べでも事件性はなく、自殺として処理されてしまいました。」
「バカな…」
「吉岡さん。あなたもわかっていると思いますが、今回あなた方が遭われた拉致ならびに強制性転換手術には、あの国だけじゃなく、日本の連中も絡んでいる。
それも警察を動かせるだけの巨大な力を持った組織が。」
「それはわかります。
で、私にどうしろと?」
「私は美香の無念を晴らすためにこれからもこの事件の真相に迫っていくつもりです。
ですが、自分で手に入れられる情報にも限界があります。
あなたの協力が得たいんです。
事件の被害者であり、この事件の真相を追っているあなたのお力が。
私が得た情報は全てあなたに提供します。
ですから、あなたにもそうお願いしたい。」
「わかりました。
そういう事でしたら私も心強いです。
この前まで事件の真相に迫ろうと一緒に行動していた刑事の方がいたんですが、何故か行方不明になっています。
それも無実の罪を着せられて…」
「そうでしたか。」
「私が彼から聞いた話、そして、自らが得た情報をお話します。
先ずは、私が拉致された事件には、前政権の民国党が絡んでいます。
じゃないと、例の国の協力など得られるわけがない。
そして、私をこんな体にしてしまったのは、高山という医師です。
どこの病院に勤務していたかは不明です。
調べている途中でしたので。
そして、性転換をサポートしていた薬品メーカーはファイン製薬です。
そこの社員は、私を拉致するためにわざわざプライベートのときに接触してきました。
まんまと引っかかって恋人だと思い込んでしまった私は大バカ者ですけど。」
「なるほど…
今、ファイン製薬って言いました?」
「はい。そう言いましたが…」
沢渡はパソコンを開き、何やら打ち込んでいたが…
だから、どんな些細な事でも、面白いと判断したら、とことん取材するために足を運んでいるんです。
そんな事はどうでも良かった。すいません、話を本題に戻します。
何から話すべきか…
私の恋人の話をさせて下さい。
看護師をしてましてね、美香って女なんですが、私にはもったいないくらい気立ての良いやつでね。
結婚の約束もしていました。
そんなある日の事なんですが、美香の仕事終わりに一緒に飯に行った時、アイツから変な話をされました。」
「変な話?」
「病院内で紙が入れられたファイルを拾ったらしく、それを私に見せてきました。
それを受け取って見てみると、紙にはびっしりと人の名前が書いてありました。」
「名前ですか」
「ええ。100人くらい羅列してありましたが、そのうち何人かには丸印が付けられていました。」
「…」
「名簿は美香のいた病院で健康診断を受けた人達だったみたいなんですが、丸印が付いていた人達には共通点がありました。」
「…」
「それら全員が、いわゆる行方不明者として情報提供を呼びかけられていた人物だったんです。
当時ニュースなんかでしきりに報道されてたので、美香もその名前の共通点に気付き、その名簿を持ち帰り、私に見せたんです。」
「まさか」
「そこには吉岡さん、あなたの名前もありました。」
「…」
「私は嫌な予感に包まれましたが、職業柄と言いますか、事の真相を知りたくなったんです。
なんでそんな名簿が病院にあったのかってね。
美香も信頼できる同僚に聞いてみて、何かわかったらすぐに連絡すると言いました。」
「で、何かわかったんですか?」
「いえ。」
「えっ」
「美香は死んでしまいました。
病院の屋上から飛び降りて。」
「そ、そんな!」
「私が漠然と感じていた嫌な予感ていうのが当たったんです。
美香は触れてはいけないものに触れてしまった…」
「誰かに殺されたのでは?」
「ええ。アイツに死ぬ理由なんてないですからね。
ですが、警察の調べでも事件性はなく、自殺として処理されてしまいました。」
「バカな…」
「吉岡さん。あなたもわかっていると思いますが、今回あなた方が遭われた拉致ならびに強制性転換手術には、あの国だけじゃなく、日本の連中も絡んでいる。
それも警察を動かせるだけの巨大な力を持った組織が。」
「それはわかります。
で、私にどうしろと?」
「私は美香の無念を晴らすためにこれからもこの事件の真相に迫っていくつもりです。
ですが、自分で手に入れられる情報にも限界があります。
あなたの協力が得たいんです。
事件の被害者であり、この事件の真相を追っているあなたのお力が。
私が得た情報は全てあなたに提供します。
ですから、あなたにもそうお願いしたい。」
「わかりました。
そういう事でしたら私も心強いです。
この前まで事件の真相に迫ろうと一緒に行動していた刑事の方がいたんですが、何故か行方不明になっています。
それも無実の罪を着せられて…」
「そうでしたか。」
「私が彼から聞いた話、そして、自らが得た情報をお話します。
先ずは、私が拉致された事件には、前政権の民国党が絡んでいます。
じゃないと、例の国の協力など得られるわけがない。
そして、私をこんな体にしてしまったのは、高山という医師です。
どこの病院に勤務していたかは不明です。
調べている途中でしたので。
そして、性転換をサポートしていた薬品メーカーはファイン製薬です。
そこの社員は、私を拉致するためにわざわざプライベートのときに接触してきました。
まんまと引っかかって恋人だと思い込んでしまった私は大バカ者ですけど。」
「なるほど…
今、ファイン製薬って言いました?」
「はい。そう言いましたが…」
沢渡はパソコンを開き、何やら打ち込んでいたが…
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