51 / 102
計画
しおりを挟む
朦朧…
眩しい…
天井?
ここは、診察室?
ようやく私は目を覚ました。
「お目覚めかな、ナオちゃん」
開けた視界の中で、私に声をかけてきたのは
「高田!」
そう、石津さんと捜し続けていた高田だった。
「あ、高田か
そうだ、高田って名乗ってたんだっけ?
自分で言って忘れてたよ。もう偽名を名乗る必要もないよね。
私の名前は高山って言うんだよ。」
「どういうつもりなの?」
「どういうつもりも何も、キミに会いたくてね。
でもフツーには会えないだろうからちょっと手荒ではあるけど、こうして拉致してきちゃった。」
「ちゃんと説明して、どうやってここに…
あ、そうだ!たしか美優といるときに」
「あー、今回はちゃんと記憶してるじゃん。
青木君、出てきてもいいよ。」
高山が声をかけると、美優がこの診察室みたいなとところに入ってきた。
「美優!お前」
「バレちゃったか、まあしょうがないわね」
「なんで…」
私はもう訳もわからなくなった。
「よろしい。キミも真相を知りたそうだし、言っても問題ない時期にも達した。
話してあげよう。」
「…」
「私は一介の医師にすぎないが、同時に研究者であってね。
以前から所謂性転換における、新しい手術方法の確立と、外科的治療以外の方法の研究をしていた。
そんなとき、この青木くんが働いているファイン製薬が画期的な薬を開発したという知らせがあったんだ。」
「…」
「ただね、知っていると思うが薬ってやつは恐ろしいくらいの動物実験、そして、人間を使っての治験を経ないと実際に流通させる事が出来ない。
しかし、ファイン製薬も私も早くこれを実用化したい。
そう思ってた矢先に、ホラ、あの国の総統さんの趣味の事がわかり、そっち方面にパイプのある政治家と繋がる事が出来た。
それからはスムーズに事は進行したってわけさ。」
「ちょっと待って!
なんで、私が選ばれたっていうの!」
私の質問に、高山はニヤッと笑い、話を続けた。
「せっかく人体実験を行うんだから、少ないサンプルで確実に効果を上げたい。
調査の結果、ある一定の人間にはその効果が高くなるという事がわかった。」
「だから、それがなんで私になるの?」
「キミは特に効果が出やすい体質だったんだよ」
「あなたに調べられた事なんてないわ!」
「いや、調べさせてもらったよ。
警察にいたとき、定期的に健康診断ってやつを受けてただろ?
あのとき、私は普通の血液検査と称して、被験者に相応しい人間を見つけようとしていたんだよ。
そして、キミの体は素晴らしい可能性を秘めているとことがわかったんだ。
データ的にはダントツだったよ。」
「‥」
「拉致して彼の国に送り込んで実験をしたかったが、キミは曲がりなりにも警察官だろ?
白昼堂々とってわけにはいかなかった。だが、どうしても欲しいサンプルだ。
私は協力者の政治家、ファイン製薬の幹部に相談した。」
「そして、あなたに近づいたのがワタシってわけよ。」
「美優!」
「好きでもなんでもないあなたに、私は恋人として接近し、その機会が来るのを待った。
仕事とはいえ、苦痛だったわ。」
「お前…」
「そして、計画実行の日を迎えた。
ドライブをしている最中に、わざと例のナンバーの車を前に走らせたのよ。
あなたはまんまと引っかかって車を追いかけた。
人里離れたところまで引きつけて、車を停車させた。
あなたは私を車に置いて、一人で不審車に近づいた。
そっちに意識が集中しすぎてたから後ろからスプレーを噴霧するのも容易だった。」
「なんて事をしてくれたんだ!」
「ふん、お礼を言ってほしいくらいよ。
あなたのようなつまらない男と何ヶ月も恋人関係でいてあげたんだから。
でも、女の子になってからのナオは魅力的だったわよ。
男だった時の何倍も好きになったわ。
私ってレズの気があったのかな。」
美優は悪意に満ちた笑みを浮かべながら言った。
眩しい…
天井?
ここは、診察室?
ようやく私は目を覚ました。
「お目覚めかな、ナオちゃん」
開けた視界の中で、私に声をかけてきたのは
「高田!」
そう、石津さんと捜し続けていた高田だった。
「あ、高田か
そうだ、高田って名乗ってたんだっけ?
自分で言って忘れてたよ。もう偽名を名乗る必要もないよね。
私の名前は高山って言うんだよ。」
「どういうつもりなの?」
「どういうつもりも何も、キミに会いたくてね。
でもフツーには会えないだろうからちょっと手荒ではあるけど、こうして拉致してきちゃった。」
「ちゃんと説明して、どうやってここに…
あ、そうだ!たしか美優といるときに」
「あー、今回はちゃんと記憶してるじゃん。
青木君、出てきてもいいよ。」
高山が声をかけると、美優がこの診察室みたいなとところに入ってきた。
「美優!お前」
「バレちゃったか、まあしょうがないわね」
「なんで…」
私はもう訳もわからなくなった。
「よろしい。キミも真相を知りたそうだし、言っても問題ない時期にも達した。
話してあげよう。」
「…」
「私は一介の医師にすぎないが、同時に研究者であってね。
以前から所謂性転換における、新しい手術方法の確立と、外科的治療以外の方法の研究をしていた。
そんなとき、この青木くんが働いているファイン製薬が画期的な薬を開発したという知らせがあったんだ。」
「…」
「ただね、知っていると思うが薬ってやつは恐ろしいくらいの動物実験、そして、人間を使っての治験を経ないと実際に流通させる事が出来ない。
しかし、ファイン製薬も私も早くこれを実用化したい。
そう思ってた矢先に、ホラ、あの国の総統さんの趣味の事がわかり、そっち方面にパイプのある政治家と繋がる事が出来た。
それからはスムーズに事は進行したってわけさ。」
「ちょっと待って!
なんで、私が選ばれたっていうの!」
私の質問に、高山はニヤッと笑い、話を続けた。
「せっかく人体実験を行うんだから、少ないサンプルで確実に効果を上げたい。
調査の結果、ある一定の人間にはその効果が高くなるという事がわかった。」
「だから、それがなんで私になるの?」
「キミは特に効果が出やすい体質だったんだよ」
「あなたに調べられた事なんてないわ!」
「いや、調べさせてもらったよ。
警察にいたとき、定期的に健康診断ってやつを受けてただろ?
あのとき、私は普通の血液検査と称して、被験者に相応しい人間を見つけようとしていたんだよ。
そして、キミの体は素晴らしい可能性を秘めているとことがわかったんだ。
データ的にはダントツだったよ。」
「‥」
「拉致して彼の国に送り込んで実験をしたかったが、キミは曲がりなりにも警察官だろ?
白昼堂々とってわけにはいかなかった。だが、どうしても欲しいサンプルだ。
私は協力者の政治家、ファイン製薬の幹部に相談した。」
「そして、あなたに近づいたのがワタシってわけよ。」
「美優!」
「好きでもなんでもないあなたに、私は恋人として接近し、その機会が来るのを待った。
仕事とはいえ、苦痛だったわ。」
「お前…」
「そして、計画実行の日を迎えた。
ドライブをしている最中に、わざと例のナンバーの車を前に走らせたのよ。
あなたはまんまと引っかかって車を追いかけた。
人里離れたところまで引きつけて、車を停車させた。
あなたは私を車に置いて、一人で不審車に近づいた。
そっちに意識が集中しすぎてたから後ろからスプレーを噴霧するのも容易だった。」
「なんて事をしてくれたんだ!」
「ふん、お礼を言ってほしいくらいよ。
あなたのようなつまらない男と何ヶ月も恋人関係でいてあげたんだから。
でも、女の子になってからのナオは魅力的だったわよ。
男だった時の何倍も好きになったわ。
私ってレズの気があったのかな。」
美優は悪意に満ちた笑みを浮かべながら言った。
1
お気に入りに追加
68
あなたにおすすめの小説
NH大戦争
フロイライン
ファンタジー
呪詛を家業として代々暮らしてきた二階堂家。
その二十六代目にあたる高校二年生の零は、二階堂家始まって以来の落ちこぼれで、呪詛も出来なければ、代々身についているとされる霊能力すら皆無だった
そんな中、彼の周りで次々と事件が起きるのだが…
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
W-score
フロイライン
恋愛
男に負けじと人生を仕事に捧げてきた山本 香菜子は、ゆとり世代の代表格のような新入社員である新開 優斗とペアを組まされる。
優斗のあまりのだらしなさと考えの甘さに、閉口する香菜子だったが…
聖也と千尋の深い事情
フロイライン
BL
中学二年の奥田聖也と一条千尋はクラス替えで同じ組になる。
取り柄もなく凡庸な聖也と、イケメンで勉強もスポーツも出来て女子にモテモテの千尋という、まさに対照的な二人だったが、何故か気が合い、あっという間に仲良しになるが…
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる