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二人三脚
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とりあえず
私は石津さんが非番の日に一緒に活動することにした。
拉致事件の捜査本部は既に解散してることもあり
石津さん自体が
日頃から力を注げない状況にあった。
しかし
これまでも
仕事熱心な石津さんは
休みの日を利用して
自らの足を使って独自に捜査をしていたらしい。
今日も
朝から石津さんが車で迎えに来てくれて
外で待っている。
寝坊した私は慌てて家を飛び出した。
そう言えば
最近美優から連絡が来ないな。
会社休んでまで色々私の手伝いをしてくれたし…
そのしわ寄せが来てて
多分忙しくしてるんだろうなあ。
それとも…
やはり女になってしまった私を見るのが辛くなってしまったからなのか…
いずれにしても
私は戸籍上も女になり
美優と結婚することも出来ない。
いや
そんなことは
この体になったときに
とっくにわかっていたこと…
美優のこれからのことを考えてあげるならば
私はもう彼女と会ってはいけない。
そうだ …
寂しさに負けて美優に甘えていたが、それではいけないんだ。
私は石津さんの車の助手席で、ふと、そんなことを考えていた。
「吉岡、着いたぞ」
車を停車させて石津さんが言った。
今私達は美容外科を中心とした病院を虱潰しにあたるという、気が遠くなるような作業を続けている。
カギを握る男「高田」の手がかりを得るために。
資料は私の記憶を頼りに描いた似顔絵のみだ。
最初から難航するとは思っていたが、いくつもの病院を回っても全く手がかりが無かった。
「ここもダメか…」
石津さんの落胆する横顔を見ながら、私も行き詰まったこの展開をなんとかしたいと気ばかり焦っていた。
「石津さん、今の捜索方法が本当に有効なんでしょうか。
高田が美容外科の医師かどうかも疑わしいですし、都内というより、果たして日本国内にいるのかどうか…」
「まあ、たしかにそう考えるのが妥当だよ。
だが、他に方法がないからな。
地道にこのやり方で潰していくしかしょうがない。」
「いえ、まだ方法はありますよ。」
「なんだって?」
「マスコミの力を借りるんです。」
「マスコミ?」
「私がマスコミの取材を受けるんですよ。
拉致されて強制的に性転換されたなんて、マスコミからしたら格好のネタじゃありませんか?
それで、注目されたら、情報が入るかもしれないし、ひょっとしたら高田の方から連絡してくるかもれません。」
「いや、そんなことしたらお前が世間から好奇な目で見られ、下手すりゃ普通の生活が送れなくなるかもしれないじゃないか。」
「大丈夫です。もう大概の事では私はへこたれません。
それよりも、私をこんな目に遭わせた奴等にどんな事をしても辿り着きたいんです。」
私の決意に、最後には石津さんも折れる形となった。
私は石津さんが非番の日に一緒に活動することにした。
拉致事件の捜査本部は既に解散してることもあり
石津さん自体が
日頃から力を注げない状況にあった。
しかし
これまでも
仕事熱心な石津さんは
休みの日を利用して
自らの足を使って独自に捜査をしていたらしい。
今日も
朝から石津さんが車で迎えに来てくれて
外で待っている。
寝坊した私は慌てて家を飛び出した。
そう言えば
最近美優から連絡が来ないな。
会社休んでまで色々私の手伝いをしてくれたし…
そのしわ寄せが来てて
多分忙しくしてるんだろうなあ。
それとも…
やはり女になってしまった私を見るのが辛くなってしまったからなのか…
いずれにしても
私は戸籍上も女になり
美優と結婚することも出来ない。
いや
そんなことは
この体になったときに
とっくにわかっていたこと…
美優のこれからのことを考えてあげるならば
私はもう彼女と会ってはいけない。
そうだ …
寂しさに負けて美優に甘えていたが、それではいけないんだ。
私は石津さんの車の助手席で、ふと、そんなことを考えていた。
「吉岡、着いたぞ」
車を停車させて石津さんが言った。
今私達は美容外科を中心とした病院を虱潰しにあたるという、気が遠くなるような作業を続けている。
カギを握る男「高田」の手がかりを得るために。
資料は私の記憶を頼りに描いた似顔絵のみだ。
最初から難航するとは思っていたが、いくつもの病院を回っても全く手がかりが無かった。
「ここもダメか…」
石津さんの落胆する横顔を見ながら、私も行き詰まったこの展開をなんとかしたいと気ばかり焦っていた。
「石津さん、今の捜索方法が本当に有効なんでしょうか。
高田が美容外科の医師かどうかも疑わしいですし、都内というより、果たして日本国内にいるのかどうか…」
「まあ、たしかにそう考えるのが妥当だよ。
だが、他に方法がないからな。
地道にこのやり方で潰していくしかしょうがない。」
「いえ、まだ方法はありますよ。」
「なんだって?」
「マスコミの力を借りるんです。」
「マスコミ?」
「私がマスコミの取材を受けるんですよ。
拉致されて強制的に性転換されたなんて、マスコミからしたら格好のネタじゃありませんか?
それで、注目されたら、情報が入るかもしれないし、ひょっとしたら高田の方から連絡してくるかもれません。」
「いや、そんなことしたらお前が世間から好奇な目で見られ、下手すりゃ普通の生活が送れなくなるかもしれないじゃないか。」
「大丈夫です。もう大概の事では私はへこたれません。
それよりも、私をこんな目に遭わせた奴等にどんな事をしても辿り着きたいんです。」
私の決意に、最後には石津さんも折れる形となった。
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