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血
しおりを挟む「お前が日本に帰ってきたとき、警察から事情を聞かれたか?」
「ええ。 何度か来てましたね‥」
「俺にはどうも上の連中が、この事件を真剣に捜査しようとしてるようには思えないんだよ。」
「何故でしょうか?」
「それは俺にもわからん。ただ、拉致事件が極端に減った時期、あのときちょうど日本では、劇的なことが起きていたんだ。」
「なんですか!?」
「政権交代だよ。」
「政権交代!?」
「これはあくまで俺の個人的な推測だがな、今回のこの事件、おそらく前政権が絡んでる。」
「… まさか!?」
「さっきも言ったように、あくまでも俺の推測だよ。
前政権の犯罪なら、今の与党が徹底的に明るみに出し、一気に息の根を止めようとするのが普通だと思うんだが、イマイチ動きが悪い。
そこがわからん、というか、裏がありそうな気がするんだよ。」
「石津さん… 私を手術した高田という男の手がかりは何かつかめましたか?」
「いや、高田という名前もおそらく偽名だろうが… 全く手がかり無しのお手上げ状態さ。」
「そうですか… 高田は私に異常なまでに執着があったんで、ひょっとしたら、連絡を取ってくるんじゃないかと、密かに思ってるんです。」
「お前に執着?」
「いえ、正確に言えば被験者としての私への執着です。
高田にとっても私に投与した薬や手術方法は
初めてのものが多く、きっと経過が気になっているはずです。」
「なるほどな。それは考えられるな。」
そのとき、私の中である考えが浮かんだ。
「石津さん、私にも何か手伝わせてもらえませんか?」
「?」
「久々に警察官魂が騒ぎ出したと言うか…
実のところ、ヒマを持て余していましてね。
まだ女として社会に出る自信も無くて、こんな感じでは就職するのもなかなか難しいでしょう。
ただ、幸いなことに国から支援金が出てますので、そう急ぐこともありません。
どうでしょうか? 石津さん」
石津さんはしばらく考えていたが
「わかった。俺も協力者が欲しい。頼めるか?」
「はい!!」
私の心の中に、忘れかけていた熱いものが広がっていくような気がした。
しかし‥
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