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捜査
しおりを挟む「本当にあの吉岡か…信じられん。
顔といい体といい… 声も含めて、どこをどう見ても女性としか思えん…」
私の部屋に来た石津さんのリアクションはだいたい予想していた。
「元々そういう素養はあったみたいですけど…」
「確かに、警察官にしては華奢で線が細かったが… まさかここまで変身してるとは思わなかったよ。」
石津秋生、確かあのとき30だったから今33才か… 私と違って身長も180くらいあり
骨格もしっかりしてて、顔までゴツゴツしてる。 全身毛深くて、まさに「ゴリラ」というあだ名がぴったりの人だ。
「石津さんはちっとも変わりませんね。」
「いや、最近頭が薄くなってきてな。結婚もまだしてないのにハゲたくないよ。」
石津さんは頭頂部を触りながら豪快に笑った。
私はやや緊張気味にコーヒーを出した。外見に比べると、まだまだ中身が追いついておらず、家事全般は得意ではなかった…
「あ、すまんなあ。」
石津さんは恐縮して頭を下げた。
「ところで、石津さん、事件のことなんですけど…」
石津さんは口をつけたコーヒーを皿に置いて、私を見つめて言った。
「ああ、そうだった。今回の事件は、あの国がやったことは間違いない。
それはお前もわかってることだろう。けどな、 まだまだ沢山謎があって‥
実に不可解なことが多すぎるんだよ。」
「と、言いますと?」
「この事件では日本人の協力者が多数いたことがわかっている。
拉致の実行犯に、お前を手術した医師や収容所で働いていた者達。
だが、それらの日本人協力者は誰一人として逮捕されていない。」
「…そう言えば、私が収容所にいたとき、拉致されてくる人が段々減ってきたことがあったんですが、確か日本国内で警戒が強められたからだとは言ってましたが、逮捕されたとは言ってませんでしたね。」
「ああ。それと、これだけの大事件にもかかわらず、早々に捜査本部は解散し
今では俺のような一部の現場の人間が捜査を続けているに過ぎん。」
「… 石津さん、一体どういうことなんです?」
「それがなあ…」
石津さんは、コーヒーを一口飲んで険しい顔をした。
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