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急転
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戸籍変更も異例の早さで認められ、私は法的にも完全な女性となった。
後は仕事を見つけるだけだ。
しかし…またもやマスコミに押しかけられて騒がしくなり、最近は家から一歩も出られない。
そんなある日、実家の母から電話が入った。
「ナオ、大丈夫?」
「うん。大丈夫。
あ、名前なんだけどらある程度原型を留めておきたかったから直紀から奈緒にしたの。
」
「良いと思うよ。今まで呼んでた名前と音は一緒だし間違える心配ないね。あ、奈緒、電話したのはね、さっき、お前が所属してた南署の石津さんから電話が入ったのよ。」
「え? 石津さんが…」
「お前と連絡を取りたいって。」
石津 秋生… 南署の刑事で、あまり接点も無かったのに派出所勤務で新人巡査だった私を可愛がってくれた先輩だ。
でも、石津さんが私に…何の用だろう?
私がこんな体にされたことを知って心配してくれて連絡をくれたんだろうか…
私は日本に戻ってきてから、自分がいた職場や友達には一切連絡していなかった。
さすがに性転換された自分の姿をさらすのは
あまりにもキツいから。
それでも、外にもあまり出られず、なんとなく寂しい気持ちに包まれていた私は、石津さんに連絡することを決め、電話をかけた。
電話に出た石津さんは、かけてきたのが私だとわかると、例に漏れず、声の変化にとても驚いて絶句したが、気を取り直して本題に入った。
「…吉岡、実はな、今回の事件の捜査をずっと続けてたんだけど、新聞記事を見るまで、まさかお前が生きて帰って来てるとは夢にも思ってなかったよ。」
「ええ。性転換までされちゃいましたけど、なんとか生きて帰ってきましたよ…でも、捜査と言っても、あれは外国による犯罪だったわけだし…」
「いや、そのことなんだけどな、そう単純なものでも無いんだよ。
で、お前に話を聞きたいと思ってな。」
「…毎日ヒマしてるんで良いですよ。私にわかることがあればなんでも話しますよ。
でも、今はマスコミのせいでなかなか自由に外出出来ないんで… こちらまで来てもらっていいですか?」
「ああ。もちろん、今から行ってもいいか?」
実に三年振りの対面だ。私は妙な緊張感に包まれた。
後は仕事を見つけるだけだ。
しかし…またもやマスコミに押しかけられて騒がしくなり、最近は家から一歩も出られない。
そんなある日、実家の母から電話が入った。
「ナオ、大丈夫?」
「うん。大丈夫。
あ、名前なんだけどらある程度原型を留めておきたかったから直紀から奈緒にしたの。
」
「良いと思うよ。今まで呼んでた名前と音は一緒だし間違える心配ないね。あ、奈緒、電話したのはね、さっき、お前が所属してた南署の石津さんから電話が入ったのよ。」
「え? 石津さんが…」
「お前と連絡を取りたいって。」
石津 秋生… 南署の刑事で、あまり接点も無かったのに派出所勤務で新人巡査だった私を可愛がってくれた先輩だ。
でも、石津さんが私に…何の用だろう?
私がこんな体にされたことを知って心配してくれて連絡をくれたんだろうか…
私は日本に戻ってきてから、自分がいた職場や友達には一切連絡していなかった。
さすがに性転換された自分の姿をさらすのは
あまりにもキツいから。
それでも、外にもあまり出られず、なんとなく寂しい気持ちに包まれていた私は、石津さんに連絡することを決め、電話をかけた。
電話に出た石津さんは、かけてきたのが私だとわかると、例に漏れず、声の変化にとても驚いて絶句したが、気を取り直して本題に入った。
「…吉岡、実はな、今回の事件の捜査をずっと続けてたんだけど、新聞記事を見るまで、まさかお前が生きて帰って来てるとは夢にも思ってなかったよ。」
「ええ。性転換までされちゃいましたけど、なんとか生きて帰ってきましたよ…でも、捜査と言っても、あれは外国による犯罪だったわけだし…」
「いや、そのことなんだけどな、そう単純なものでも無いんだよ。
で、お前に話を聞きたいと思ってな。」
「…毎日ヒマしてるんで良いですよ。私にわかることがあればなんでも話しますよ。
でも、今はマスコミのせいでなかなか自由に外出出来ないんで… こちらまで来てもらっていいですか?」
「ああ。もちろん、今から行ってもいいか?」
実に三年振りの対面だ。私は妙な緊張感に包まれた。
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