39 / 102
退院
しおりを挟む
ついに退院の日がやってきた。
長い間お世話になった先生や看護士さんが
私に花束をくれ、拍手で送り出してくれた。
なんか照れくさくて、私はぎこちなく頭を下げた。
宮川も駆けつけてくれて、私に労いの言葉を送ってくれた。
「吉岡さん、本当にご苦労様でした。これからも色々大変なことがあると思います。
軽々しく頑張って下さいとは言えませんが…
どうかお元気で!」
宮川には本当に世話になった。私は宮川の手を握りしめて涙を流した。
ああ…また泣いちゃったな
私と両親、そして美優を乗せた車が病院を後にして走り出した。
私はとりあえず実家に戻り、新しい仕事と住居を探すことを決意した。
両親はしばらく実家で暮らすように強く勧めてきたが、私にはどうしてもそれが出来なかった。
一緒に住むと、両親は嫌でも私の体を目にすることになる。
それが私には申し訳なくて仕方なかったからだ。一人暮らしは色々大変だが、私やミツルには、国から犯罪被害者支援法に基づき、月額22万円のお金が支給されることになりとりあえず明日からの生活には困らないということが私の気持ちを安堵させた。
女として生きていく覚悟はしたつもりだけど、女として仕事を見つけるのはなかなか困難だと考えていたから。
美優は仕事を休んで私の部屋探しや身の回りの買い物に付き合ってくれた。
身の回りの物… 美優が買い物に付き合ってくれたりすることは非常に有り難かったが、
彼女の前で女物の下着や化粧品などを買うのは気が引けた。
美優は何も言わなかったが傷ついていたはずだ。
それにしても、美優ほどの美貌の持ち主を世間の男が放っておくわけがない。
私が男だったときも、なんか不釣り合いだなって感じていたぐらいだし… 彼氏はいないのかな…
ひょっとしてこんな姿になってしまっても
私の事を…
いや、愛情じゃないよな
彼女の心根の優しさを一番知っているのは私だ。
彼女は私に同情して、一緒にいてくれているのだ。
そうに違いない。
いや、それでも構わない。世間に放り出された私の不安を癒やしてくれるのは彼女だけなのだから。
長い間お世話になった先生や看護士さんが
私に花束をくれ、拍手で送り出してくれた。
なんか照れくさくて、私はぎこちなく頭を下げた。
宮川も駆けつけてくれて、私に労いの言葉を送ってくれた。
「吉岡さん、本当にご苦労様でした。これからも色々大変なことがあると思います。
軽々しく頑張って下さいとは言えませんが…
どうかお元気で!」
宮川には本当に世話になった。私は宮川の手を握りしめて涙を流した。
ああ…また泣いちゃったな
私と両親、そして美優を乗せた車が病院を後にして走り出した。
私はとりあえず実家に戻り、新しい仕事と住居を探すことを決意した。
両親はしばらく実家で暮らすように強く勧めてきたが、私にはどうしてもそれが出来なかった。
一緒に住むと、両親は嫌でも私の体を目にすることになる。
それが私には申し訳なくて仕方なかったからだ。一人暮らしは色々大変だが、私やミツルには、国から犯罪被害者支援法に基づき、月額22万円のお金が支給されることになりとりあえず明日からの生活には困らないということが私の気持ちを安堵させた。
女として生きていく覚悟はしたつもりだけど、女として仕事を見つけるのはなかなか困難だと考えていたから。
美優は仕事を休んで私の部屋探しや身の回りの買い物に付き合ってくれた。
身の回りの物… 美優が買い物に付き合ってくれたりすることは非常に有り難かったが、
彼女の前で女物の下着や化粧品などを買うのは気が引けた。
美優は何も言わなかったが傷ついていたはずだ。
それにしても、美優ほどの美貌の持ち主を世間の男が放っておくわけがない。
私が男だったときも、なんか不釣り合いだなって感じていたぐらいだし… 彼氏はいないのかな…
ひょっとしてこんな姿になってしまっても
私の事を…
いや、愛情じゃないよな
彼女の心根の優しさを一番知っているのは私だ。
彼女は私に同情して、一緒にいてくれているのだ。
そうに違いない。
いや、それでも構わない。世間に放り出された私の不安を癒やしてくれるのは彼女だけなのだから。
2
お気に入りに追加
68
あなたにおすすめの小説
NH大戦争
フロイライン
ファンタジー
呪詛を家業として代々暮らしてきた二階堂家。
その二十六代目にあたる高校二年生の零は、二階堂家始まって以来の落ちこぼれで、呪詛も出来なければ、代々身についているとされる霊能力すら皆無だった
そんな中、彼の周りで次々と事件が起きるのだが…
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
W-score
フロイライン
恋愛
男に負けじと人生を仕事に捧げてきた山本 香菜子は、ゆとり世代の代表格のような新入社員である新開 優斗とペアを組まされる。
優斗のあまりのだらしなさと考えの甘さに、閉口する香菜子だったが…
聖也と千尋の深い事情
フロイライン
BL
中学二年の奥田聖也と一条千尋はクラス替えで同じ組になる。
取り柄もなく凡庸な聖也と、イケメンで勉強もスポーツも出来て女子にモテモテの千尋という、まさに対照的な二人だったが、何故か気が合い、あっという間に仲良しになるが…
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる