或る実験の記録

フロイライン

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101日目

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俺と瞬は結局風呂に入ることを忘れ、そのまま眠ってしまった。 
俺は瞬のぶ厚い胸板に頬をくっつけて甘えるような感じで眠った。 
俺の中に残っていた「男」は昨夜完全に消滅したから。 
本気で心地良さを感じた。 
つまり、今までの俺は無理して「男」を演じていたことになることを意味していた。 

不本意ではあるが、これで良いとさえ思えた。この気持ちが薬によってもたらされたものであったとしても… 

しかし、この甘美な空間に邪魔者が入ってきた。 
また、アイツだ。 

相変わらずメガネの奥から冷たい目で俺を観察してやがる。 

「おはよう。」 

俺は自分が全裸であるということを思い出して恥ずかしくなり、布団を慌ててかぶった。 
これも今までは全く無かった感覚だった。 

「今日は注射の日じゃないはずだ。それもこんな朝早くから一体何の用だ?」 

布団の中から俺はアイツに向かって言った。 

横を見ると、瞬はグッスリ眠ったままで起きる気配すらない。 

「注射を打ちに来たんじゃないよ。私からのプレゼントを気に入ってくれたか気になってね。」 

「プレゼント?」 

「そう、プレゼントだよ。 
素敵な一夜をすごせたんじゃないかい? 
君の顔つきを見ればよくわかるよ。 
昨日までと全然違って、女としての艶すら感じる。」 

俺は顔が熱くなり、自分が激しく動揺していることを自覚した。 

「新薬の成果だよ。普通の男性を女性化させるとね、どうしても性欲が減退してしまうんだ。そりゃあ胸なんかは今まで以上に感じるようにはなるが、所詮男というものは、サオとタマで快感を得ているんだ。 
だから女性ホルモンで男性器が萎縮してしまうと、性欲が無くなり覇気も無くなってしまう。それだとつまらないだろ?」 

「だから、何が言いたいんだ?」 

「そこで開発されたのが君に使用している新しい女性ホルモン剤だよ。今までの薬では成し得なかった効き目の早さと、性欲と性感を増幅させながらの肉体の女性化を見事に両立出来たんだ。」 

「…」 

「ただね、君のなかなか頑固な精神力が邪魔をしちゃってね、薬の効果をイマイチ発揮出来てなかったんだ。 
そこで、私はあるシナリオを書いたんだ。」 

「シナリオ?」
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