或る実験の記録

60日目

最近はこれと言って変わったことはなく、決められた予定をこなしている。 
ただ、体の変化は恐ろしいほどのスピードで進行しており、もはや自分ではどうしようもない段階に達してしまった。 

胸は既にＣカップになっており、ブラジャーを着けると谷間もちゃんと出来るくらいの膨らみを見せている。 

胸だけではない。体全体の筋肉が落ち、皮下脂肪が付いて丸みを帯びた女性らしい体型になってきた。 

ペニスは異常なほど萎縮しており、以前見たミツルのものよりかなり小さい。 

これだけの体の変化は心理面にも大きな影響を与えた。 

行動こそ起こせなかったが、以前までは常に脱走することを考えていた。 
でも、今の俺は抵抗する意欲すら失い、従順な奴隷に成り下がってしまっている。 

そして、今日もまたアイツに注射を打たれた。 

「すごいな。君の素質には感動するよ。 

もうＣカップか… 僅か二カ月でだよ。 
ここまで来るのにどれだけ早い人間でも最低一年はかかるんだよ。 
いくら新薬が効果を発揮しているとはいえ、恐ろしいスピードだ。 
君の身体は元々女性ホルモンの分泌量が多かったようだねえ。 
つまり、君の体内に元々あったものが 
この新薬によって一気に活性化したと言っても過言ではないだろう。」 

「…」 


「私の予測では、このホルモン注射だけで、君の乳房はＦカップまで育つはずだ。 
豊胸手術以外の方法でその大きさに達した者は、未だかつて一人も存在しない。まさに奇跡だよ君の存在はね。」 

何が奇跡だ。でも、今の俺には言い返す気力も失われていた。 
張り詰めていた緊張感すら消え、俺の女性化のスピードはさらに早まっていった。