或る実験の記録

フロイライン

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23日目②

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「ところで、外に出されて何をさせられるんだ?」 

俺の問いに佐山は首を竦めて言った。 

「運動ですよ、運動。 肥満防止のためらしいです。」 

佐山は俺に比べて何かと詳しかった。 

同室の野島という男が色々教えてくれるらしい。そう言えば、俺はミツルが出て行って以来一人きりだったよな。 
情報が乏しいということは脱走計画にも影響する。 

この機会に佐山から俺の知り得ぬ情報を仕入れとかないとダメだな。 

「佐山さん、色々聞きたいことがあるんだけど…」 

俺が話し始めたところで、兵士が集合の笛を吹いた。 

整列させられて、直立不動を命じられた。 
俺はたまたま後ろの方にいたが、ここに収容されてる人間はおよそ30人いることがわかった。 
この何倍もの人間が炭鉱に連れて行かれたのか… 
どっちがマシなのかな… 
俺はふと、そんな思いに包まれた。 

整列させられた俺達は、兵士からグランドを走るように命令を受けた。 

前の連中から渋々ランニングを始めた。 

ここのところ全然運動していなかったとはいえ、職業柄走るのが得意な俺だったわけだが… 

はっきり言ってめちゃめちゃ辛かった。 
息が切れて辛かったのではない。 
この膨らみ始めた胸が走る度に揺れ、中のしこりが俺に激痛をもたらしたからキツかったのである。 
俺は声を出してうずくまりかけたが、必死に耐えてこの持久走をどうにかこうにか全うした。 

しかし… 一体俺はどうなってしまうんだろう… また大きな不安感が俺を襲った。
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