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7日目
しおりを挟む俺がここに来て七日が経過した。
今朝俺のお尻には通算三本目の注射が打たれた。それが終われば、これも毎日のお決まりコースとして、視聴覚室に連れて行かれ、総統様とやらの偉大さを描いたビデオを見せらる。
昼食後は女性としての嗜みなどを教育され、徹底的に自分の男性性を否定される。
いわゆる洗脳教育ってやつか。
夕方からは比較的自由にすごさせてもらえるのだが、当然部屋の中からは出ることは出来ない。
俺はこの七日の間、なんとか逃げられないかと、注意深く辺りを観察したが、警備があまりにも厳重でチャンスの糸口さえ見つかっていない。
けど、幸いにして、俺の体にはまだ何の異変もなく覇気に衰えはない。
そんな俺をミツルは冷ややかな目で見た。
「せいぜい頑張ってくれよ。
いずれ無駄な努力だったということを思い知らされる日が来ると思うがね。」
そんなミツルだったが、この日の夜、部屋を出ることになった。
「どうやら卒業する日が来たみたいだよ。」
「卒業??」
「ああ。充分に女性化したと判断されたら、
いよいよ島を出されて本土の総統のところへ連れて行かれるんだよ。」
「吉岡くん、短い間だったけど楽しかったよ。
死ぬんじゃないよ 。
生きていればきっと‥
とにかく、健闘を祈ってる。」
「ミツルさんも、どうかご無事で!」
ミツルが出て行った後
俺は急に孤独感と不安感に襲われた。
美優は元気にしてるかな…
あのとき、美優を車に残して俺だけがヤツらを追いかけたんだったよな…
きっと無事だったに違いない。
俺のこと
心配してるんだろうな
頭の中で色々な思いが巡り
俺は
明かりの無い真っ暗な部屋の天井を見つめながら
涙を流した。
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