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「西村クン」
ある日の昼休みのこと
コンビニに行き、会社までの道をボーッとしながら歩いていると、不意に背後から声をかけられた。
振り返ると、冴木さんがいた。
「えっ、あっ
冴木さん」
「フッ、そんなに怖がらないで。
別に取って食べようなんて思ってないんだから。」
「いえ、考え事してて…
すみません。」
「ねえ
今日って外出するの?」
「いえ、今日はずっと会社ですけど。」
「だったら、帰りにちょっとお茶しない?」
冴木さんは、そう言ってワタシを誘ってきた。
「えっ
お茶…ですか」
「うん。
ご飯でも一緒に行きたいとこだけど、家で彼女が作って待ってんでしょ?」
「ええ。
よくご存知で」
「ちょっと西村クンとお話がしたくて。
少しならいい?」
「はい。
全然大丈夫です。」
冴木さんに誘われて断る人間はいない。
と、いうわけで、ワタシは仕事終わりに会社の最寄駅近くにあるコーヒー店に、冴木さんと二人で入った。
「ごめんなさいね。
無理に誘っちゃって」
「いえ、全然
嬉しいです。」
「そう?
それならよかったわ。」
「でも、なんで
ワタシ…ボクを誘ってくれたんですか?」
「普段通りの話し方でいいよ。」
「すいません。
ワタシをどうして誘ってくれたのかなあって。」
「西村クンと話をしたかったからよ。
ダメ?」
「いえ、そんな事は…」
「ちょっと聞いてみたくてね。
三日前に何かあった?」
「えっ、何がです?」
「一昨日の朝に西村クンを見たとき、アレ?って思ったのよ。
なんか、女っぽくなってるって。」
「えっ…」
「ワタシは西村クンの秘密を聞かせてもらってるから、西村クンが無理して男の子を演じてるのは知ってるんだけど。
急にグンと女っぽくなったから、なんでかなって思ったの。
それを聞いてみたかったのよ。」
「冴木さん
そんなに変わりました?ワタシ…」
「うん。変わった変わった」
「そうですか…」
ワタシは、冴木さんに三日前の夜にショーパブに一日だけ復帰したことを話した。
「あー、なるほどね
それでかあ」
「はい。
なんか楽しくて…
やっぱりワタシの生き方っていうか、したいことっていうか…
こういうことなんだなって、あらためて思ったんです。」
「そうだったのね。
疑問が解消できたわ」
「すいません。
しょーもない理由なんです。
でも、冴木さん
なんでワタシの事をそこまで気にしてくれるんですか?」
ここで、ワタシは冴木さんに対して思っていた疑問をぶつけた。
どうして、ワタシのことをかまってくれるのか?
と、いうことを…
冴木さんは少し考える素振りを見せたが、すぐに笑みを浮かべて言った。
「そうね…
そう思うよね。
だったら、ワタシもあなたにお話をしないとね。」
ある日の昼休みのこと
コンビニに行き、会社までの道をボーッとしながら歩いていると、不意に背後から声をかけられた。
振り返ると、冴木さんがいた。
「えっ、あっ
冴木さん」
「フッ、そんなに怖がらないで。
別に取って食べようなんて思ってないんだから。」
「いえ、考え事してて…
すみません。」
「ねえ
今日って外出するの?」
「いえ、今日はずっと会社ですけど。」
「だったら、帰りにちょっとお茶しない?」
冴木さんは、そう言ってワタシを誘ってきた。
「えっ
お茶…ですか」
「うん。
ご飯でも一緒に行きたいとこだけど、家で彼女が作って待ってんでしょ?」
「ええ。
よくご存知で」
「ちょっと西村クンとお話がしたくて。
少しならいい?」
「はい。
全然大丈夫です。」
冴木さんに誘われて断る人間はいない。
と、いうわけで、ワタシは仕事終わりに会社の最寄駅近くにあるコーヒー店に、冴木さんと二人で入った。
「ごめんなさいね。
無理に誘っちゃって」
「いえ、全然
嬉しいです。」
「そう?
それならよかったわ。」
「でも、なんで
ワタシ…ボクを誘ってくれたんですか?」
「普段通りの話し方でいいよ。」
「すいません。
ワタシをどうして誘ってくれたのかなあって。」
「西村クンと話をしたかったからよ。
ダメ?」
「いえ、そんな事は…」
「ちょっと聞いてみたくてね。
三日前に何かあった?」
「えっ、何がです?」
「一昨日の朝に西村クンを見たとき、アレ?って思ったのよ。
なんか、女っぽくなってるって。」
「えっ…」
「ワタシは西村クンの秘密を聞かせてもらってるから、西村クンが無理して男の子を演じてるのは知ってるんだけど。
急にグンと女っぽくなったから、なんでかなって思ったの。
それを聞いてみたかったのよ。」
「冴木さん
そんなに変わりました?ワタシ…」
「うん。変わった変わった」
「そうですか…」
ワタシは、冴木さんに三日前の夜にショーパブに一日だけ復帰したことを話した。
「あー、なるほどね
それでかあ」
「はい。
なんか楽しくて…
やっぱりワタシの生き方っていうか、したいことっていうか…
こういうことなんだなって、あらためて思ったんです。」
「そうだったのね。
疑問が解消できたわ」
「すいません。
しょーもない理由なんです。
でも、冴木さん
なんでワタシの事をそこまで気にしてくれるんですか?」
ここで、ワタシは冴木さんに対して思っていた疑問をぶつけた。
どうして、ワタシのことをかまってくれるのか?
と、いうことを…
冴木さんは少し考える素振りを見せたが、すぐに笑みを浮かべて言った。
「そうね…
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だったら、ワタシもあなたにお話をしないとね。」
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