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本望
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一日だけのニューハーフ復帰は、ワタシのフラストレーションを一気に開放してくれた。
常連さんもたくさん来てくれて、ワタシの復帰をすごく喜んでくれたし、ホントに最高の気分になれた。
「ユキちゃん
今日はホントありがとうね。
お客さんも喜んでくれたし、ワタシも昔の活気を思い出したわ。
これ、少ないけど今日働いてくれた分」
ママはお金の入った封筒をワタシに手渡そうとした。
「いえ、それは頂けません。
こんな機会を与えていただいて、逆にワタシがお支払いしたいくらいです。」
「何言ってんのよ。
働いてもらった分の対価なんだから、ちゃんと受け取って。」
「すいません…」
ママとワタシのやり取りを聞いていたユウさんが、話に入ってきた。
「ねえ、ユキちゃん
ニューハーフに復帰したくなったんじゃない?」
「えっ?」
「スーツ姿のユキちゃんより、ニューハーフとしてドレスに身を包んでるユキちゃんの方が何倍も輝いてて、すごく楽しそうに見えたんだけど。」
「それは、たしかに…」
「ごめんね。
勝手な事言って。
ワタシの勝手な思い込みかもしれないし、ユキちゃんも色々考えた末に導き出した答えなんだから、そんな軽はずみな事を言っちゃダメだよね。」
「そんなことは全然…」
今度は再びママが話しかけてきた。
「ユキちゃんにも事情があって、熟考を重ねた上で出した今の生き方なんだから、それはワタシも尊重するわ。
でも、この先、行き詰まることがあったり、苦しいって思ったら、いつでも帰ってきてね。
ワタシもユウちゃんも、そしてみんなもあなたのことを待っているから。」
「ママ…」
「そうだよ。
今日みたいな感じで週一とかで店にバイトに来てもいいんだからね。」
ユウさんはそう言って笑った。
そう…
二人の言う通り、ワタシは既に行き詰まっており、出来ることなら明日からでもニューハーフに復帰したいとさえ思っている。
でも、ワタシには沙耶香がいる。
こんな男か女かわからない中途半端な人間と、人生を寄り添うと言ってくれているのだ。
彼女を裏切ることは出来ない。
いや、今日こうしてニューハーフになって客の相手をしたこと自体、完全に裏切っていることになる。
ニューハーフに戻りたい気持ちはすごくあるけど、とりあえず頭を冷やしてみよう。
常連さんもたくさん来てくれて、ワタシの復帰をすごく喜んでくれたし、ホントに最高の気分になれた。
「ユキちゃん
今日はホントありがとうね。
お客さんも喜んでくれたし、ワタシも昔の活気を思い出したわ。
これ、少ないけど今日働いてくれた分」
ママはお金の入った封筒をワタシに手渡そうとした。
「いえ、それは頂けません。
こんな機会を与えていただいて、逆にワタシがお支払いしたいくらいです。」
「何言ってんのよ。
働いてもらった分の対価なんだから、ちゃんと受け取って。」
「すいません…」
ママとワタシのやり取りを聞いていたユウさんが、話に入ってきた。
「ねえ、ユキちゃん
ニューハーフに復帰したくなったんじゃない?」
「えっ?」
「スーツ姿のユキちゃんより、ニューハーフとしてドレスに身を包んでるユキちゃんの方が何倍も輝いてて、すごく楽しそうに見えたんだけど。」
「それは、たしかに…」
「ごめんね。
勝手な事言って。
ワタシの勝手な思い込みかもしれないし、ユキちゃんも色々考えた末に導き出した答えなんだから、そんな軽はずみな事を言っちゃダメだよね。」
「そんなことは全然…」
今度は再びママが話しかけてきた。
「ユキちゃんにも事情があって、熟考を重ねた上で出した今の生き方なんだから、それはワタシも尊重するわ。
でも、この先、行き詰まることがあったり、苦しいって思ったら、いつでも帰ってきてね。
ワタシもユウちゃんも、そしてみんなもあなたのことを待っているから。」
「ママ…」
「そうだよ。
今日みたいな感じで週一とかで店にバイトに来てもいいんだからね。」
ユウさんはそう言って笑った。
そう…
二人の言う通り、ワタシは既に行き詰まっており、出来ることなら明日からでもニューハーフに復帰したいとさえ思っている。
でも、ワタシには沙耶香がいる。
こんな男か女かわからない中途半端な人間と、人生を寄り添うと言ってくれているのだ。
彼女を裏切ることは出来ない。
いや、今日こうしてニューハーフになって客の相手をしたこと自体、完全に裏切っていることになる。
ニューハーフに戻りたい気持ちはすごくあるけど、とりあえず頭を冷やしてみよう。
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