ニューハーフな生活

フロイライン

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社会人

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「ユキ」

ある日のこと、ベッドの中で沙耶香が声をかけてきた。

「どうしたの?」


「もうすぐ初出勤だね」


「うん。
なんか緊張してきたよ…」


「ねえ、ユキ

本当にこれでいいの?」


「えっ」


「男として生きる事…

ユキにとって本当に幸せな事なのかなあって」


沙耶香は、真剣な表情でワタシを見つめながら言った。


「沙耶香と一緒に暮らすのがワタシの幸せだから…

それにはちゃんとした生活基盤を持ちたいって思ってたし、それには男として働くのが一番だって…」


「ユキ、私はいいんだよ。
別にユキが女の子として生きたって。

あなたが一番ラクに生きられるカタチを見出せたらいいなって、強く思ってるの。」


「前にも言ったけど、ワタシがニューハーフになったのって後天的なきっかけからだし、色々あったけど、沙耶香と出会ってからは、ニューハーフとして生きていくことに行き詰まりを感じてたっていうか、どこかでやめるきっかけを探してたんだよね。

タマを取ってしまったのは失敗したなって思うけど、もう元には戻せないし…

だから、今の状況の中で一番ワタシらしい生き方がコレなんだと思うのよね。

それこそ一番ラクに生きられるカタチっていうの?」


「ならいいんだけど…」


「正直言うと、もう男じゃないって自覚は持ってるの。

沙耶香みたいな超美人で魅力的な女性を見ても性欲が湧かないのが確かな証拠。

ニューハーフになってから、男性ともセックスしたし、風俗でも働いて、ワタシのカラダはかなり開発されてしまったと思うのよね。

でも、これが本来自分が持っていたもう一つの顔なのか、女ホルと去勢によってそうなってしまったのか、よくわかんないの。

ただ、一つだけ言える事は、ワタシは沙耶香の事が好き。
心から愛してる。

その事だけはハッキリと言える。」

ワタシがそう言うと、沙耶香は抱きついてキスをしてきた。


色々あってAV女優までやって苦労してきた沙耶香と、軽い気持ちからニューハーフになって、去勢までして、今は後悔しているワタシ
そんな二人が夫婦になろうとしている。

側から見たら上手くいかないと思うだろうけど、ワタシ的には何とかなるんじゃないかって思ってる。

沙耶香も多分そう思ってくれてるから一緒にいてくれてるんだと思う。

あとは男として働くことがすごく不安ではあるけど、家庭を守るためだと割り切って頑張っていこうと思う。
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