ニューハーフな生活

フロイライン

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所信

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ご飯を食べる頃には沙耶香もやっと慣れてきたのか、お母さんと優菜にも遠慮せずに話が出来るようになり、なかなかの盛り上がりを見せた。

「同じクラスだったんだ
ユキちゃんと沙耶香さん」

優菜が言うと、沙耶香は頷いた。

「そうなの、高校三年のときね。
そのとき、ワタシが付き合って欲しいって告白したんだけど、見事にフラれちゃった。」


「えっ、その話知らないわ。
それに、ちょっと信じられないわね、その話。

アンタがモテるなんてありえないもの」

母親のワタシへの評価は低いのか、正しいのか
ようわからんけど、辛辣すぎ。

「そうなの。
ワタシも告白なんて人生でされた事ないから、パニックになって、受ける事なく逃げちゃったのよ。」


「もったいなかったね
ユキちゃん」


「そうだね。
あのとき沙耶香と付き合ってたら、ニューハーフになる事なんてなかったかも」

「そうよ。
アンタ、女の子になりたいとか、そういう素振りも見せた事なかったじゃない?

また男として生きるんなら、なんでニューハーフになったのよ」

お母さん、核心をつく…

「だから、早まったって言ってんじゃん。

特に去勢した事についてはね」

「そうよ。
そんな体で沙耶香さんとお付き合いするなんて、親として本当に申し訳ない気持ちになるもの」

「いえ、先ほども言いましたが、そんな事は私は気にしていませんし、それで幸洋さんへの気持ちが揺らぐものでもありません。」

「沙耶香さんがそう言ってくれるんだったら、私からとやかく言う事はないんだけど…

でも、女装やめたって言っても、外見はそんなに変わってないし、男には全然見えないよ。」


お母さん、本当キツいこと言う…


「たしかに、女性ホルモンはもう今はやめてるんだけど、既に不可逆の女性化が進んじゃってて、なかなかすぐに男に戻るって事にはならないの。
徐々に…ってことで」

「ユキちゃん、さっきから気になってたんだけど、言葉遣いとか声のトーンは、まだ女の子なんだね」

優菜も痛いところを突く

「うん。
女の子に見られるように死に物狂いで喋り方とか発声とかを訓練して矯正したからね。
これもすぐには直らないのよ。」

正直言うと、気持ちの部分ではまだ女なんだよね。
そこは変わらない。

恋愛対象が女(沙耶香)になっただけで。

だから言葉遣いも男っぽく出来ない

ワタシ、これからどうなっていくんだろう…
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