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薄暮
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翌日が休みのときは夜遅くまで沙耶香と話をするのが最近の日課というか楽しみだ。
その日もベッドの中でワタシと沙耶香は色んな話をしていた。
「へえ、そうなんだ」
「うん。タマがあれば、女性ホルモンをやめたら徐々に性欲とかは回復するみたいなんだよ。
永久不妊はどうにもならないけどね。
ワタシのようにタマが無いと、女性ホルモンやめたらホルモンバランスが崩れて若くして更年期障害のような症状が出たり、骨粗鬆症になったりする事もあるらしくて、色々大変」
「ねえ、ユキ
私、ユキの事、心から愛してるの。
それはわかってくれる?」
「うん
ありがとう…」
「それは男の姿とか女だとかは関係なくて、ユキという人間を愛してるの。
だから、もし、私のために男に戻ろうとしてるのなら…
ムリしなくていいんだよ。
自分の心に正直に生きて。」
「これが正直に生きるって事だよ。
ワタシは沙耶香を好きになって、女としてではなくもう一度男として生きたくなった。
ただそれだけのこと…」
「ありがとう、ユキ」
沙耶香はユキの頬にキスをした。
「沙耶香って可愛いよね」
「そんな事ないよ。
高校出てこっちに来てから、イヤな事ばかりで、本当の意味で誰にも必要とされてないんじゃないかって不安な毎日を送ってたの。
お金をアテにされたり、都合よく利用されたり、そういうのじゃなくて、私の事を理解してくれて、心から必要に思ってもらう事を欲して生きてきたの。
でも、そんな人は一人もいなかった。
私は生きる事に疲れちゃって、自暴自棄になっていたときに、ユキ、あなたと再会したの。
容姿はすっかり変わってしまってたけど、私が告白した頃とあなたの本質は何も変わってなかったわ。
そんなあなたが好き
だから無理してほしくないって強く思うの。」
「本当に無理なんてしてないよ。
沙耶香とのこの生活はすごく楽しいし、何が何でも守っていきたい
そう思ってる。」
「ありがとう、ユキ…」
ワタシは沙耶香とまたキスをした。
今度は唇を重ね合わせて…
普通ならそこからセックスに発展するんだろうけど、やはり性欲が無いので、再びトークに戻った。
「ねえ、ユキ
近いうちに一度地元に帰ろうと思うんだけど、いいかな?」
沙耶香は思い出したようにワタシに言った。
「地元に?
でも、沙耶香、地元って言っても…」
たしか、お母さんが亡くなって地元には身寄りも何もなかったはず…
ワタシが不思議そうな顔をしているのがわかったのか、沙耶香は話を始めた。
その日もベッドの中でワタシと沙耶香は色んな話をしていた。
「へえ、そうなんだ」
「うん。タマがあれば、女性ホルモンをやめたら徐々に性欲とかは回復するみたいなんだよ。
永久不妊はどうにもならないけどね。
ワタシのようにタマが無いと、女性ホルモンやめたらホルモンバランスが崩れて若くして更年期障害のような症状が出たり、骨粗鬆症になったりする事もあるらしくて、色々大変」
「ねえ、ユキ
私、ユキの事、心から愛してるの。
それはわかってくれる?」
「うん
ありがとう…」
「それは男の姿とか女だとかは関係なくて、ユキという人間を愛してるの。
だから、もし、私のために男に戻ろうとしてるのなら…
ムリしなくていいんだよ。
自分の心に正直に生きて。」
「これが正直に生きるって事だよ。
ワタシは沙耶香を好きになって、女としてではなくもう一度男として生きたくなった。
ただそれだけのこと…」
「ありがとう、ユキ」
沙耶香はユキの頬にキスをした。
「沙耶香って可愛いよね」
「そんな事ないよ。
高校出てこっちに来てから、イヤな事ばかりで、本当の意味で誰にも必要とされてないんじゃないかって不安な毎日を送ってたの。
お金をアテにされたり、都合よく利用されたり、そういうのじゃなくて、私の事を理解してくれて、心から必要に思ってもらう事を欲して生きてきたの。
でも、そんな人は一人もいなかった。
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「本当に無理なんてしてないよ。
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そう思ってる。」
「ありがとう、ユキ…」
ワタシは沙耶香とまたキスをした。
今度は唇を重ね合わせて…
普通ならそこからセックスに発展するんだろうけど、やはり性欲が無いので、再びトークに戻った。
「ねえ、ユキ
近いうちに一度地元に帰ろうと思うんだけど、いいかな?」
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「地元に?
でも、沙耶香、地元って言っても…」
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