ニューハーフな生活

フロイライン

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hermit crab

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飲み会は盛り上がり、午後11時にようやくお開きとなった。


ワタシと花岡は駅までの道を一緒に歩いた。

「花岡もJR?」

ワタシは正面に見えてきたJRの駅を指差して言った。

「ちがうのよ。

私、駅のコインロッカーに荷物あずけてるから、それ取りに行くんだよ。」


「あ、そうなんだ。
何処に住んでんの?」


「うん?

あー、決まったところには住んでないよ」


「えっ、どういう事よ。」


「まあ、色々あって、住んでた家は解約したのよ」


「えーっ、じゃあどうしてんの?」


「友だちの家に泊めてもらったり、今日みたいな日はネトカだね。

でも、最後のやつを撮影したら、田舎に帰る事にしてるから、心配してくれなくても大丈夫よ。」


「そんなの、撮影って言ってもまだ何日も先じゃんか。

どうすんのよ、それまで」

ワタシは心配になって花岡に聞いたが、大丈夫の一点張りで、コインロッカーを解錠して大きなボストンバックとキャリーケースを取り出した。

「じゃあ、また連絡するね
今日は西村と会えて楽しかったよ」

「ちょい待ち!

まだ立ち去るんじゃない。

今日はウチに泊まってきなよ。」

「えっ」


「ワタシ、親の知り合いのマンションに住ませてもらってて、持ち主もずっと海外にいるから、結構広いところなんだけど、一人暮らしなんだよ。

だから、来なよ。
てか、絶対に来て。」

ワタシは強い口調で言って、花岡からボストンバックを取り上げて、肩に担いだ。


「西村、男の部分が出てるわよ」

花岡は爆笑した。

でも、すぐに

「ありがとう…

じゃあ今晩だけ泊めてもらってもいいかな」

って申し訳なさそうに言った。


「喜んで!

さあ、行こう」

ワタシは花岡の前を早足で歩き、改札を抜けてった。

電車に乗る事30分、駅から家まで10分

ワタシは花岡を連れて我が家に帰ってきた。


「お邪魔しまーす」

花岡はおそるおそる靴を脱いで部屋に入った。

「うわあ、すごい広いお部屋ね」

「フツーだったら家賃払えないレベルだけど、格安にしてくれてるのよ。」

「へえ、そうなんだ」


「荷物、ここに置いとくね。

お風呂入れてくるから、そこにでも座っててよ。」


「私も何か手伝うよ」


「いいよ、いいよ

疲れてるでしょ?ゆっくりしてて」

ワタシは花岡をソファに座らせて、浴室に行った。

お風呂の栓がちゃんと落ちてるのを確認すると、小窓を閉め、操作パネルの電源を入れてお風呂の湯だめボタンを押した。


部屋に戻ってくると、花岡は居心地悪そうにちょこんとソファーに座ってキョロキョロしてた。
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