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意気と息
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しばらくすると、スタッフらしきし人に連れられて、私たちがいる部屋に一人の女性が入ってきた。
「こんにちは、サヤカちゃん」
江村さんが声をかけると、女性は会釈して
「お疲れ様です」
と、言って江村さんに挨拶をした後、ワタシの方を見て笑った。
すごく綺麗な女性だ。
若干ケバいところがあるが、美人だしスタイルも良くて服の上からでも胸が大きいこともわかるし…
「紹介します。
こちらがウチと契約してくれてる、女優のサヤカちゃん
それと、こちらの方が、今日僕が頼み込んで話を聞きに来てもらってる、ニューハーフのユキちゃん。」
江村さんに紹介されて、ワタシは立ち上がって挨拶をした。
「はじめまして、ユキといいます。
よろしくお願いします」
「サヤカです。
すごく綺麗ですね…
よろしくお願いします」
と、言ってくれてサヤカさんも頭をぺこりと下げた。
「サヤカちゃん、まあ座ってよ。」
江村さんに促されて、その隣りにサヤカさんも座った。
向かい側から二人の視線を浴びて、なんかすごく緊張する。
「サヤカちゃん、今ね、ユキちゃんに出演をお願いしてたんだけど、もし、受けてくれたら、童貞喪失企画の相手になってくれるかなあ。」
「えっ、ワタシとですか
全然いいですよ
喜んでやります。」
サヤカさんは嫌がる素振りもなく快諾してくれた。
「どうでしょうか、ユキちゃん
出演の方を前向きにお考え頂くっていうのは」
「ありがたいお話なんですが、今日はお話を聞くだけだと決めて参りましたので、やるやらないの結論は…」
「そうですね。
ゆっくりお考え頂いて、またお返事をお聞きできれば」
「はい。
すみません…」
「いやいや、ムリを言って来てもらったのはこちらのワガママなんですから。
今日はまだお時間ありますか?」
「はい。仕事も今日は休みをもらっていますので」
「じゃあもうちょっとゆっくりしていって下さい。
後で、サヤカちゃんも一緒に軽く一杯行きませんか。」
「すみません、でも、お気遣いなく」
そう言って遠慮すると、江村さんは
「まあまあ、そう言わずに。
今日は元々スタッフ同士の飲み会をする予定だったんです。お二人も是非。
事務所でちょっとだけやる事があるので、中座させてもらいます。
すぐに戻りますので」
江村さんは、そう言うとワタシとサヤカさんを残して部屋を後にした。
…
なんか気まずい
ワタシから話そうかと迷っていると、サヤカさんの方から話しかけてくれた。
「でも、ユキさんて本当に綺麗ですね。」
「いえ、そんな事ないです。
サヤカさんに比べたら、ワタシなんて…」
「失礼ですけど、ユキさんはおいくつ?」
「今二十歳です。
今年二十一なります。」
「あっ、タメだ」
サヤカさんはそう言って笑った。
その後も色々質問したりされたりしたんだけど
「へえ、東京の人?」
「いえ、地方から出て来てます。
ただの田舎者です。」
でも、話を聞いてみると、サヤカさんとワタシは地元が同じという事がわかった。
「えーっ、同い年で地元が一緒、隣町だったんなら、どこかで会ってるかもしれないね。」
「そうですよね」
同い年とわかっても、ワタシだけはまだ敬語…
「高校はどこ?」
「咲聖です」
「えっ…
私もだけど」
「えっ…」
「あの、本名って聞いていい?
私は花岡沙耶香」
「えっ、ウソ…」
「私の事、知ってる?
えっ、誰?」
「えっと…
西村 幸洋」
一瞬の静寂があった。
「こんにちは、サヤカちゃん」
江村さんが声をかけると、女性は会釈して
「お疲れ様です」
と、言って江村さんに挨拶をした後、ワタシの方を見て笑った。
すごく綺麗な女性だ。
若干ケバいところがあるが、美人だしスタイルも良くて服の上からでも胸が大きいこともわかるし…
「紹介します。
こちらがウチと契約してくれてる、女優のサヤカちゃん
それと、こちらの方が、今日僕が頼み込んで話を聞きに来てもらってる、ニューハーフのユキちゃん。」
江村さんに紹介されて、ワタシは立ち上がって挨拶をした。
「はじめまして、ユキといいます。
よろしくお願いします」
「サヤカです。
すごく綺麗ですね…
よろしくお願いします」
と、言ってくれてサヤカさんも頭をぺこりと下げた。
「サヤカちゃん、まあ座ってよ。」
江村さんに促されて、その隣りにサヤカさんも座った。
向かい側から二人の視線を浴びて、なんかすごく緊張する。
「サヤカちゃん、今ね、ユキちゃんに出演をお願いしてたんだけど、もし、受けてくれたら、童貞喪失企画の相手になってくれるかなあ。」
「えっ、ワタシとですか
全然いいですよ
喜んでやります。」
サヤカさんは嫌がる素振りもなく快諾してくれた。
「どうでしょうか、ユキちゃん
出演の方を前向きにお考え頂くっていうのは」
「ありがたいお話なんですが、今日はお話を聞くだけだと決めて参りましたので、やるやらないの結論は…」
「そうですね。
ゆっくりお考え頂いて、またお返事をお聞きできれば」
「はい。
すみません…」
「いやいや、ムリを言って来てもらったのはこちらのワガママなんですから。
今日はまだお時間ありますか?」
「はい。仕事も今日は休みをもらっていますので」
「じゃあもうちょっとゆっくりしていって下さい。
後で、サヤカちゃんも一緒に軽く一杯行きませんか。」
「すみません、でも、お気遣いなく」
そう言って遠慮すると、江村さんは
「まあまあ、そう言わずに。
今日は元々スタッフ同士の飲み会をする予定だったんです。お二人も是非。
事務所でちょっとだけやる事があるので、中座させてもらいます。
すぐに戻りますので」
江村さんは、そう言うとワタシとサヤカさんを残して部屋を後にした。
…
なんか気まずい
ワタシから話そうかと迷っていると、サヤカさんの方から話しかけてくれた。
「でも、ユキさんて本当に綺麗ですね。」
「いえ、そんな事ないです。
サヤカさんに比べたら、ワタシなんて…」
「失礼ですけど、ユキさんはおいくつ?」
「今二十歳です。
今年二十一なります。」
「あっ、タメだ」
サヤカさんはそう言って笑った。
その後も色々質問したりされたりしたんだけど
「へえ、東京の人?」
「いえ、地方から出て来てます。
ただの田舎者です。」
でも、話を聞いてみると、サヤカさんとワタシは地元が同じという事がわかった。
「えーっ、同い年で地元が一緒、隣町だったんなら、どこかで会ってるかもしれないね。」
「そうですよね」
同い年とわかっても、ワタシだけはまだ敬語…
「高校はどこ?」
「咲聖です」
「えっ…
私もだけど」
「えっ…」
「あの、本名って聞いていい?
私は花岡沙耶香」
「えっ、ウソ…」
「私の事、知ってる?
えっ、誰?」
「えっと…
西村 幸洋」
一瞬の静寂があった。
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