ニューハーフな生活

フロイライン

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江村さんの熱い話は続いた。


「おかげさまで、ニューハーフ物ではウチがシェアと売上でトップを走っています。」


「そうなんですね」


「ニューハーフ物も、勿論ユキちゃんみたいな美しい女性に出てもらう事が大前提ですが…」


「いえいえ、美しくないです」


「美しいですよ。
ユキちゃんくらい美人のニューハーフさんに会った事ないですから。」

「…」

嬉しい


「まあ、それと、企画力ですよね。
ニッチな世界だけに、ファンの数は少ないですが、その分こだわりも強くて、変な企画だと、いくら良い女優さんを使ってても全然ヒットしません。」


「そういうものなんですね」


「ええ。でも、ユキちゃんはニューハーフとしてレベルがすごく高いので、ベタな企画でも全然当たると思いますよ。」


「ベタな企画、ですか」


「はい。

たとえば…そうですねえ

ユキちゃんに一つお聞きしたいんですけど、女性との経験はありますか?」


「えっ、ワタシですか?

無いです無いです

付き合った事もないですし…
童貞のまま、この世界に入りました。」


「なるほど。

じゃあ、ずっと男性が好きだったんですね」


「いえ、高校を卒業して東京で浪人生活を始めて、すぐにニューハーフになったんですけど、それまではフツーに女性が好きでした」

「へえ、それは面白いなあ。」 


「潜在的にはこっちの要素があったのかもしれませんが、高校生の時は全然気付きませんでした。」


「じゃあ、ベタな企画なんですけど、こんなのはどうですか?

ユキちゃんの童貞喪失企画。」


「童貞喪失…企画?」


「文字通り、女優さんとセックスしてもらい、ユキちゃんの初体験を映像に収めさせてもらいます。」


「えーっ、そんなのムリです。

ワタシ、もうタマも無いし女性ホルモンの影響もあって、勃ちませんもん。

女の人相手なら尚更」


「今どき、勃起させる薬も良いのがありますし、その辺は大丈夫ですよ。

それに、ユキちゃんの話聞いてたら、いわゆる後天的にニューハーフになった人だということもわかりましたし、全然いけると思いますよ。」


「自分では女性との絡みが想像できません。」


「あ、そうだ
今日ちょうど来てたんじゃないかなあ」


そう言うと、江村さんは携帯を取り出し電話をかけた。

「あ、もしもし
今日ってサヤカちゃんが来る日だったよね。

もう来てる?

あ、そう…だったらここに連れてきて」


「どうしたんですか?」


電話を切った江村さんに聞くと

「百聞は一見にしかずですよ

今ちょうどウチと契約してる女優さんが来てるから、一度ユキちゃんに会ってもらおうかなって。」


ユウさんの言った通り、完全に向こうのペースにハメられてる。
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