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地獄変
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「こんにちはー」
昭雄叔父さん宅に着いた私たち女三人衆は、お母さん、優菜、かなり離れて最後にワタシという順番で玄関のドアをくぐった。
「いらっしゃい美佐恵さん。」
「お義姉さん
明けましておめでとうございます。」
「優菜ちゃん、明けましておめでとう」
「明けましておめでとうございまーす」
亜希子叔母さんは、次にワタシを見た。
そして、少し間が空いて、愛想笑いをし、お母さんの方に視線をやった。
「あ、お義姉さん
これ、幸洋なの
東京行かせたら、なんか知らないけどニューハーフになって帰ってきちゃって。」
お母さんは、敢えてあっけらかんと明るい口調で言った。
「えっ、ユキ…?
ユキ君?」
「叔母さん、ご無沙汰してます
幸洋です」
もう、言うしかないので、女声で挨拶した。
「えーっ、うそ!
ユキ君なの!?」
「はい、すみません…」
なんか無性に恥ずかしくなった。
まあ、叔母さんの関門は大した事はない
問題は、この後、奥の間に鎮座する昭雄叔父さんとの対面でワタシが耐えられるかどうか…
玄関で靴を脱ぎ、奥に案内されると、料理がたくさん並んだテーブルの向こう側に昭雄叔父さんがどかっと座っていた。
「明けましておめでとうございます。」
三人で声を揃えて挨拶したところで、我慢できなかったのか、亜希子叔母さんが
「お父さん、この娘
幸洋君なのよ!
ニューハーフになったんだって。」
と、種明かしをした。
昭雄叔父さんは怖い顔してワタシを睨んだのか、見つめたのかよくわからないけど、まじまじとワタシの顔を見た。
「叔父さん、ご無沙汰しています。
幸洋です。」
今度はプレッシャーに負けてしまい、男声で言っちゃった。
「幸洋?
幸洋なのか?」
シリアスなリアクションをされた。
「はい。」
「…」
何かすごく物言いたげだったけど、それ以上は何も言われなかった。
「お義姉さん、おばあちゃんは?」
お母さんが話題を変える為、叔母さんに部屋にいないおばあちゃんのことを聞いてくれた。
「おばあちゃんね、年末に風邪引いちゃってね
お部屋で寝てるわ。
でも、大した事ないから顔見に行ってあげて。」
ワタシ達三人はおばあちゃんのお部屋に行って挨拶をする事にした。
「おばあちゃん、明けましておめでとう」
部屋に入ると、先頭のお母さんが挨拶し、続いてワタシ達が挨拶をした。
最愛のおばあちゃんだ。
「あー、美佐恵さん
優菜ちゃん」
おばあちゃんはお布団から起き上がってテレビを見ていたが、リモコンで電源を切り、こちらに向かってワタシ以外の二人に笑みをうかべながらその名前を言った。
「おばあちゃん、この子ね
幸洋なのよ。」
「ユキ…」
「そうなの。
東京に行ってね、今はこうして女性として生活してるのよ。」
「えっ、ユキちゃん?」
「おばあちゃん、ご無沙汰しています。
幸洋です。」
「ほえーっ、ユキちゃんなのかい?」
「うん」
「どこの女性かって思ったわ
すごくキレイじゃない」
おばあちゃんは驚きながらも笑ってワタシに優しい言葉をかけてくれた。
おばあちゃんの時代に沿った最新の考えに感動しちゃった。
ありがとう…うぅっ…
昭雄叔父さん宅に着いた私たち女三人衆は、お母さん、優菜、かなり離れて最後にワタシという順番で玄関のドアをくぐった。
「いらっしゃい美佐恵さん。」
「お義姉さん
明けましておめでとうございます。」
「優菜ちゃん、明けましておめでとう」
「明けましておめでとうございまーす」
亜希子叔母さんは、次にワタシを見た。
そして、少し間が空いて、愛想笑いをし、お母さんの方に視線をやった。
「あ、お義姉さん
これ、幸洋なの
東京行かせたら、なんか知らないけどニューハーフになって帰ってきちゃって。」
お母さんは、敢えてあっけらかんと明るい口調で言った。
「えっ、ユキ…?
ユキ君?」
「叔母さん、ご無沙汰してます
幸洋です」
もう、言うしかないので、女声で挨拶した。
「えーっ、うそ!
ユキ君なの!?」
「はい、すみません…」
なんか無性に恥ずかしくなった。
まあ、叔母さんの関門は大した事はない
問題は、この後、奥の間に鎮座する昭雄叔父さんとの対面でワタシが耐えられるかどうか…
玄関で靴を脱ぎ、奥に案内されると、料理がたくさん並んだテーブルの向こう側に昭雄叔父さんがどかっと座っていた。
「明けましておめでとうございます。」
三人で声を揃えて挨拶したところで、我慢できなかったのか、亜希子叔母さんが
「お父さん、この娘
幸洋君なのよ!
ニューハーフになったんだって。」
と、種明かしをした。
昭雄叔父さんは怖い顔してワタシを睨んだのか、見つめたのかよくわからないけど、まじまじとワタシの顔を見た。
「叔父さん、ご無沙汰しています。
幸洋です。」
今度はプレッシャーに負けてしまい、男声で言っちゃった。
「幸洋?
幸洋なのか?」
シリアスなリアクションをされた。
「はい。」
「…」
何かすごく物言いたげだったけど、それ以上は何も言われなかった。
「お義姉さん、おばあちゃんは?」
お母さんが話題を変える為、叔母さんに部屋にいないおばあちゃんのことを聞いてくれた。
「おばあちゃんね、年末に風邪引いちゃってね
お部屋で寝てるわ。
でも、大した事ないから顔見に行ってあげて。」
ワタシ達三人はおばあちゃんのお部屋に行って挨拶をする事にした。
「おばあちゃん、明けましておめでとう」
部屋に入ると、先頭のお母さんが挨拶し、続いてワタシ達が挨拶をした。
最愛のおばあちゃんだ。
「あー、美佐恵さん
優菜ちゃん」
おばあちゃんはお布団から起き上がってテレビを見ていたが、リモコンで電源を切り、こちらに向かってワタシ以外の二人に笑みをうかべながらその名前を言った。
「おばあちゃん、この子ね
幸洋なのよ。」
「ユキ…」
「そうなの。
東京に行ってね、今はこうして女性として生活してるのよ。」
「えっ、ユキちゃん?」
「おばあちゃん、ご無沙汰しています。
幸洋です。」
「ほえーっ、ユキちゃんなのかい?」
「うん」
「どこの女性かって思ったわ
すごくキレイじゃない」
おばあちゃんは驚きながらも笑ってワタシに優しい言葉をかけてくれた。
おばあちゃんの時代に沿った最新の考えに感動しちゃった。
ありがとう…うぅっ…
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