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憤怒
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ワタシが電話をして30分ほどで社長が店にやってきた。
「美咲!」
社長は部屋で横たわるママを抱き上げ、泣きそうになりながら声をかけた。
「社長…
ごめんなさい…」
少し話せるようになってきたのか、ママは苦しそうな表情を浮かべながらも、ぽつりぽつりと言葉を発した。
「何も喋るな…
すまない、俺のせいで…
すぐに警察に連絡する」
社長が懐からスマホを出したところで、ワタシは思わず手で止めた。
「社長、実は…
監禁された男達に、ママがドラッグみたいなものを注射で打たれて…
それから錠剤も飲まされたんです…
ビデオに撮られながら」
「なんだって?」
「錠剤のときは、もうママも意識が朦朧としてて、自分からそれを飲んだんです。
もし、警察に連絡したとして、ママが疑われるってことはありませんよね?」
「当たり前だ。こっちに何の落ち度もないじゃないか!」
「それと、レイプされるところもビデオで一部始終が録画されています。
この事も、気になります。」
「いや、警察に介入してもらわないと、脅しは延々と続く事になる。
それがヤクザのやり方なんだ。」
社長は迷う事なく、警察に連絡し、すぐに警官二人が店にやってきた。
ママはまだちゃんと喋る事が出来ないので、ワタシが事の顛末を話し、社長がこの店の家賃の事でヤクザと揉めていた経緯を細かに話した。
そして、監禁されていた空き店舗とバーに警察の人達と訪れたが、男達の姿は既になく、もぬけの殻だった。
警察が帰った後、時計を見ると、もう朝の六時になっていた。
「ユキ、色々すまなかったな…」
社長は申し訳なさげに言った。
「ママが心配です。」
「美咲はこれから病院に連れて行くから心配は要らないよ。
ユキは一人で帰れるか?」
「ワタシは何もされてませんし、大丈夫です。」
「そうか。」
社長はママを肩に担いで店を出ていった。
ワタシも戸締まりをして、タクシーで自宅に戻ってきた。
とにかく最悪の事件に巻き込まれてしまった。
結局、この事件はマスコミにも知られ、各方面で大きく封じられるこ事となった。
社長の判断が正しかったのか、犯人一味はそれからほどなくして逮捕されたが、ママの心の傷は深く、年内一杯は店を閉める事が決定した。
ワタシ自身も少なからずショックがあり、風俗の仕事も年内は休みにしてもらった。
そういうことで、ワタシは実家に帰る事にし、新幹線に飛び乗った。
今回は成人式にも出るので一か月の長い休みになる。
お母さんや妹とのんびりすごし、心を癒そう。
「美咲!」
社長は部屋で横たわるママを抱き上げ、泣きそうになりながら声をかけた。
「社長…
ごめんなさい…」
少し話せるようになってきたのか、ママは苦しそうな表情を浮かべながらも、ぽつりぽつりと言葉を発した。
「何も喋るな…
すまない、俺のせいで…
すぐに警察に連絡する」
社長が懐からスマホを出したところで、ワタシは思わず手で止めた。
「社長、実は…
監禁された男達に、ママがドラッグみたいなものを注射で打たれて…
それから錠剤も飲まされたんです…
ビデオに撮られながら」
「なんだって?」
「錠剤のときは、もうママも意識が朦朧としてて、自分からそれを飲んだんです。
もし、警察に連絡したとして、ママが疑われるってことはありませんよね?」
「当たり前だ。こっちに何の落ち度もないじゃないか!」
「それと、レイプされるところもビデオで一部始終が録画されています。
この事も、気になります。」
「いや、警察に介入してもらわないと、脅しは延々と続く事になる。
それがヤクザのやり方なんだ。」
社長は迷う事なく、警察に連絡し、すぐに警官二人が店にやってきた。
ママはまだちゃんと喋る事が出来ないので、ワタシが事の顛末を話し、社長がこの店の家賃の事でヤクザと揉めていた経緯を細かに話した。
そして、監禁されていた空き店舗とバーに警察の人達と訪れたが、男達の姿は既になく、もぬけの殻だった。
警察が帰った後、時計を見ると、もう朝の六時になっていた。
「ユキ、色々すまなかったな…」
社長は申し訳なさげに言った。
「ママが心配です。」
「美咲はこれから病院に連れて行くから心配は要らないよ。
ユキは一人で帰れるか?」
「ワタシは何もされてませんし、大丈夫です。」
「そうか。」
社長はママを肩に担いで店を出ていった。
ワタシも戸締まりをして、タクシーで自宅に戻ってきた。
とにかく最悪の事件に巻き込まれてしまった。
結局、この事件はマスコミにも知られ、各方面で大きく封じられるこ事となった。
社長の判断が正しかったのか、犯人一味はそれからほどなくして逮捕されたが、ママの心の傷は深く、年内一杯は店を閉める事が決定した。
ワタシ自身も少なからずショックがあり、風俗の仕事も年内は休みにしてもらった。
そういうことで、ワタシは実家に帰る事にし、新幹線に飛び乗った。
今回は成人式にも出るので一か月の長い休みになる。
お母さんや妹とのんびりすごし、心を癒そう。
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