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黒い12月
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今日もお店は大繁盛
無事に閉店を迎えた。
先輩方が帰った後、ワタシだけ居残ってお店の片付けをした。
いつもはユウさんが手伝ってくれるんだけど、明日は朝から用事があるらしく、恐縮しながら帰ってった。
でも美咲ママは残ってくれてて、今日は沢山手伝ってくれた。
「ユキちゃん、いつもごめんね」
「いえ、下っ端ですし、喜んでやってますので」
「あ、そうだ。
ユキちゃん、この後、時間大丈夫?」
「えっ、はい、全然大丈夫です。」
「どう?久しぶりに飲みに行かない?」
「えーっ、嬉しい!
喜んで」
「ユキちゃんと行ったのって、ここのお店に入る前の一度だけだよね?」
「そうですね」
ワタシはママに連れられて、ママが常連だというバーに向かった
と、言っても同じビルのフロア違いなんだけど
「近くでごめんね。
でも、雰囲気良くてすごく良いのよ」
ママの言った通り、そのバーはカウンターしかないけど、なんかレトロチックな佇まいでなかなか雰囲気のあるお店だった。
なんかオールバックで目つきのするどいバーテンダーさんが一人でカウンターにいた。
でも、ママは‥
「すいません、ケンちゃんはどうされたんですか?」
と、不思議そうに質問した。
「ケンちゃん?
ああ、前にいたバーテンダーですね
先日辞めましたよ‥
お知り合いでしたか」
「ええ。ワタシ達はこのビルのスワロウテイルってお店で働いてて‥
ワタシはよくこのお店に一人で通ってたものですから」
「あー、スワロウテイルさんですか」
バーテンダーさんはそう言うと、ママとワタシを順番に見つめた。
品定めするかのように‥
「すいません、少しだけ失礼します」
さらに、私達の注文を聞く前に、何か知らないけど、どっか行っちゃった
「ユキちゃん、ごめんね
こんな変なお店じゃなかったんだけど、一杯だけ飲んで他行こ」
ママはワタシに申し訳なさそうに言った。
「いえ、なかなか面白いお店ですね、ここ」
ワタシはママとならどこでも良かったっていうのが本音だから、実際店なんて大して重要だと思ってなかった。
「失礼しました、お客様
ご注文は何になさいますか?」
二分程度でバーテンダーさんが戻ってきたので、とりあえず注文した。
ママはドライマティーニ
ワタシはモスコミュール
まあ、ママは気に入らないって言ったけど、この新しいバーテンダーさんはカクテル作りの手つきがカッコよくて、ワタシは思わず見惚れてしまった。
「じゃあ、お疲れ様」
作ってもらったカクテルのグラスとグラスを軽く当てて乾杯した後、早速一口飲んでみた。
「あー、美味しい」
ワタシはこの少し甘めに作られたモスコミュールを美味しく感じ、思わず感想を漏らした。
けれども、ママは何も言わず、一口飲んだ後、無表情でグラスをじっと見てた。
ワタシが不思議そうに見ていると、ママも視線に気付いたのか、ワタシを見てニコッと笑った。
美味しいけどなあ、ママの口には合わなかったのかな?
実は、その後の記憶がない…
無事に閉店を迎えた。
先輩方が帰った後、ワタシだけ居残ってお店の片付けをした。
いつもはユウさんが手伝ってくれるんだけど、明日は朝から用事があるらしく、恐縮しながら帰ってった。
でも美咲ママは残ってくれてて、今日は沢山手伝ってくれた。
「ユキちゃん、いつもごめんね」
「いえ、下っ端ですし、喜んでやってますので」
「あ、そうだ。
ユキちゃん、この後、時間大丈夫?」
「えっ、はい、全然大丈夫です。」
「どう?久しぶりに飲みに行かない?」
「えーっ、嬉しい!
喜んで」
「ユキちゃんと行ったのって、ここのお店に入る前の一度だけだよね?」
「そうですね」
ワタシはママに連れられて、ママが常連だというバーに向かった
と、言っても同じビルのフロア違いなんだけど
「近くでごめんね。
でも、雰囲気良くてすごく良いのよ」
ママの言った通り、そのバーはカウンターしかないけど、なんかレトロチックな佇まいでなかなか雰囲気のあるお店だった。
なんかオールバックで目つきのするどいバーテンダーさんが一人でカウンターにいた。
でも、ママは‥
「すいません、ケンちゃんはどうされたんですか?」
と、不思議そうに質問した。
「ケンちゃん?
ああ、前にいたバーテンダーですね
先日辞めましたよ‥
お知り合いでしたか」
「ええ。ワタシ達はこのビルのスワロウテイルってお店で働いてて‥
ワタシはよくこのお店に一人で通ってたものですから」
「あー、スワロウテイルさんですか」
バーテンダーさんはそう言うと、ママとワタシを順番に見つめた。
品定めするかのように‥
「すいません、少しだけ失礼します」
さらに、私達の注文を聞く前に、何か知らないけど、どっか行っちゃった
「ユキちゃん、ごめんね
こんな変なお店じゃなかったんだけど、一杯だけ飲んで他行こ」
ママはワタシに申し訳なさそうに言った。
「いえ、なかなか面白いお店ですね、ここ」
ワタシはママとならどこでも良かったっていうのが本音だから、実際店なんて大して重要だと思ってなかった。
「失礼しました、お客様
ご注文は何になさいますか?」
二分程度でバーテンダーさんが戻ってきたので、とりあえず注文した。
ママはドライマティーニ
ワタシはモスコミュール
まあ、ママは気に入らないって言ったけど、この新しいバーテンダーさんはカクテル作りの手つきがカッコよくて、ワタシは思わず見惚れてしまった。
「じゃあ、お疲れ様」
作ってもらったカクテルのグラスとグラスを軽く当てて乾杯した後、早速一口飲んでみた。
「あー、美味しい」
ワタシはこの少し甘めに作られたモスコミュールを美味しく感じ、思わず感想を漏らした。
けれども、ママは何も言わず、一口飲んだ後、無表情でグラスをじっと見てた。
ワタシが不思議そうに見ていると、ママも視線に気付いたのか、ワタシを見てニコッと笑った。
美味しいけどなあ、ママの口には合わなかったのかな?
実は、その後の記憶がない…
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