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彼女
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ワタシと圭太は同棲というか、同居生活はこれまで通り続けることにしたが、所謂恋人関係については解消した。
でも、圭太の事だからしばらくしたらここを出ていくと思う。
アイツ、そういうところがクソがつくほどマジメだから。
圭太はワタシの事を暫く引きずっていたが、例の彼女の好意を受けるようにワタシが積極的に働きかけ、ようやく付き合うようになったみたい。
ワタシの方はというと、なかなか次のステップが踏み出せず、圭太以上に失恋を引きずって生きる毎日を過ごした。
まあ、こういうところは依然として男脳が為せる業なんだろうけど。
自暴自棄というか、なんか、こう‥弾けたい気分になっていたところ、思わぬ展開がワタシを待っていた。
ある日の仕事終わりに、ワタシはユウさんとご飯を食べに行った。
そして、翌日もランチをしようと誘った。
いつもはノリ良くオッケーしてくれるユウさんなのに、その日は珍しく断ってきた。
「ごめんね。ちょっと用事があって」
「いえ、全然。」
ワタシがそう言うと、ユウさんは顔を近づけて囁くように話し始めた。
「あんまり大きな声では言えないんだけど、ワタシ、ダブルワークする事にしたのよ」
「あっ、そうなんですか」
「ちょっと実家の商売が上手くいかなくなっちゃってね
ワタシが頑張らないといけなくなったっていうか」
「‥」
「ユキちゃんだけに言うんだけど、ワタシ、ヘルスで働く事になったの。
ニューハーフヘルス」
「えっ、ホントですか!?」
「うん。ワタシみたいなニューハーフが手っ取り早く稼ぐってなったら、それしか思いつかなくてね。」
「その、ワタシそっちの方面に疎いんですけど、ニューハーフヘルスってどんな事するんですか?」
「女性の風俗とほぼ同じことをするわ。
一つ違うといえば、本番があるってことね」
「本番…」
「アナルね。女性の場合は本番しちゃうと風営法に抵触しちゃうけど、ワタシらはその範疇にないから。」
「へぇ…」
「逆アナ出来ると人気も上がるから、以前働いてた時は無理してオプションも付けてたよ。」
「逆アナって、ユウさんが?」
「そうよ。お客のお尻に挿入してガンガン突いてあげるの。」
「あー、ワタシはムリだなあ。
勃たないし」
「ワタシだってそうよ。クスリ飲んで無理矢理勃たせてるわ。」
ユウさんは達観したような表情を浮かべ、コーヒーを口にした。
「ユウさん、ワタシもヘルスで働きたいな」
「バカ言わないの。あなた、別にお金に困ってないでしょ?」
「ええ。それは、まあ。」
「だったらしないに越したことはないわ。
自分で働いててなんだけど、あんな仕事無味乾燥以外の何物でもないわ。
できる事ならしたくなかった。
この商売も出入りが激しくて、半分以上がすぐに辞めちゃうのよ。それくらい身も心もキツくなっちゃう。」
ユウさんはため息をついてコーヒーを一口飲んだ。
でも、圭太の事だからしばらくしたらここを出ていくと思う。
アイツ、そういうところがクソがつくほどマジメだから。
圭太はワタシの事を暫く引きずっていたが、例の彼女の好意を受けるようにワタシが積極的に働きかけ、ようやく付き合うようになったみたい。
ワタシの方はというと、なかなか次のステップが踏み出せず、圭太以上に失恋を引きずって生きる毎日を過ごした。
まあ、こういうところは依然として男脳が為せる業なんだろうけど。
自暴自棄というか、なんか、こう‥弾けたい気分になっていたところ、思わぬ展開がワタシを待っていた。
ある日の仕事終わりに、ワタシはユウさんとご飯を食べに行った。
そして、翌日もランチをしようと誘った。
いつもはノリ良くオッケーしてくれるユウさんなのに、その日は珍しく断ってきた。
「ごめんね。ちょっと用事があって」
「いえ、全然。」
ワタシがそう言うと、ユウさんは顔を近づけて囁くように話し始めた。
「あんまり大きな声では言えないんだけど、ワタシ、ダブルワークする事にしたのよ」
「あっ、そうなんですか」
「ちょっと実家の商売が上手くいかなくなっちゃってね
ワタシが頑張らないといけなくなったっていうか」
「‥」
「ユキちゃんだけに言うんだけど、ワタシ、ヘルスで働く事になったの。
ニューハーフヘルス」
「えっ、ホントですか!?」
「うん。ワタシみたいなニューハーフが手っ取り早く稼ぐってなったら、それしか思いつかなくてね。」
「その、ワタシそっちの方面に疎いんですけど、ニューハーフヘルスってどんな事するんですか?」
「女性の風俗とほぼ同じことをするわ。
一つ違うといえば、本番があるってことね」
「本番…」
「アナルね。女性の場合は本番しちゃうと風営法に抵触しちゃうけど、ワタシらはその範疇にないから。」
「へぇ…」
「逆アナ出来ると人気も上がるから、以前働いてた時は無理してオプションも付けてたよ。」
「逆アナって、ユウさんが?」
「そうよ。お客のお尻に挿入してガンガン突いてあげるの。」
「あー、ワタシはムリだなあ。
勃たないし」
「ワタシだってそうよ。クスリ飲んで無理矢理勃たせてるわ。」
ユウさんは達観したような表情を浮かべ、コーヒーを口にした。
「ユウさん、ワタシもヘルスで働きたいな」
「バカ言わないの。あなた、別にお金に困ってないでしょ?」
「ええ。それは、まあ。」
「だったらしないに越したことはないわ。
自分で働いててなんだけど、あんな仕事無味乾燥以外の何物でもないわ。
できる事ならしたくなかった。
この商売も出入りが激しくて、半分以上がすぐに辞めちゃうのよ。それくらい身も心もキツくなっちゃう。」
ユウさんはため息をついてコーヒーを一口飲んだ。
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