ニューハーフな生活

上京

今日もお店は沢山のお客さんで賑わい、家に帰るのが遅くなった。

（帰って化粧落として、シャワー浴びて‥また睡眠時間が短くなるなあ）

なんて考えてたら、タクシーが家の前に到着した。

「あ、お釣りはいいです。」

ワタシはタクシーを降り、マンションのエレベーターに乗ると、大きなため息をついた。

（もうちょっと休み、増やした方がいいかなあ。）

鍵を開けて、家の中に入ると、いつもなら真っ暗な筈なのに、圭太が起きててリビングにいた。

「あ、ユキ、お帰り」

「ただいま。どうしたの？こんな遅くまで」

「いや、ちょっと寝つきが悪くて」

「圭太、悪いけど今日はエッチしないよ。
疲れてるし、昼間ホルモン注射打ったから、ちょっと頭痛もしてるのよ。」

「あ、そんなんせえへんて。

まあ、したいけど。」

圭太の性欲はホントにヤバイ。

「メイク落としてシャワー浴びてくるわ」

「あ、ちゃうねん！
ユキに話があんねん。」

「えっ、何の話？？」

「実は、明日、ウチのおとんとおかんがこっちに来んねん。」

「あ、そうなんだ。
だったら、ワタシ出ていっとくよ。」

「いや、そんなん、ここはユキが借りてくれて、俺が居候させてもろてる形やん。」

「でもさあ、圭太のご両親も、男のワタシと同居してるのは知ってるじゃん。

こんな格好のがいたら、またややこしくなるって。」

「その事やねんけど、せっかくやから親に、ユキを紹介したいんやけど、俺の彼女として。」

「ちょっと、待った！

アンタ、頭ダイジョーブ？？
そんな事できるわけないやん！」

「まあ、俺の彼女が実は同居人のユキだというのは、おいおい話すとして、明日はフツーに、今付き合ってる彼女って感じで話したいねんけどな。」

コイツのこの大胆さは、一体どこから来るんだろう。

ワタシは、この後も拒否権を発動しまくったんだけど、最終的には圭太に上手く言いくるめられて、家に居残る事になった。

キツイ‥