ニューハーフな生活

フロイライン

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心理

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俺が通う予備校の近くには大学がいくつかあり、朝の電車で一緒になることもザラだ。 
駅を出ると、浪人生は左に大学生は右にぞろぞろと歩いていく。 
いわゆる天国と地獄の分かれ道ってやつだ。 

今日も左に流れていく集団の中で、圭太は後ろを何度となく振り返りながら、残念そうな口調で呟いた。 

「おい、見てみいや… あの女子大生達を。 
クソッ、こんな身分じゃ声かけることも出来へん。俺らは別世界におるんや。これだけ近いとこにおってもな…」 

「来年大学に受かれば、お前もあっちの世界に仲間入り出来るじゃねーかよ。」 

俺が慰めてやると、圭太は首を横に振った。 

「そんなんわかってるわ。頭ではわかってんねん。でも、この体から湧き出てくる欲求を抑えられへんのや。」 

「今はどうあがいても無理だよ。」 

「ユキヒロ 、お前、ニューハーフの店に行きだしてからやっぱ変わったわ。違うって言うてても心まで女みたいになってしもたんとちゃうか?」 

「バカ言うんじゃねえよ。あくまでもバイトの手段として選んだだけだ。」 

「でもなあ、今のお前は女にしか見えへん。 
元々女みたいな顔してるヤツだと思ってたけど、最近はそれがエスカレートしてきた感じや。」 

「何言ってんだよ…」 

「今の感じで、俺がそう思うくらいやから、店に出てるときはさらに女みたいなんやろ?」 

「知らねーよ。」 

俺が焦りながら返事すると、圭太はさらに続けた。 

「女っ気に飢えた生活を送ってる俺にとっては、お前のその姿すら毒や。 
時々… いや、まあええわ。」 

「何だよ? 途中で止めんなよ。」 

「もうええっちゅうてんねん。」 

圭太は早歩きで予備校の中に入っていった。 
俺は変なヤツだなと思いながらその後姿を見つめていた。 
けど、程なくして、圭太が途中で言うのをやめた言葉の意味を知る事になるのだった。
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