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大志

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木本の説教をまどかは直立不動で聞いていた。

「まどか、アンタ体調でも悪いの?」

「いえ…そういうわけでは…」

「じゃあ、何なの?

練習しててもすぐ何処かにいなくなるわよね?
私にわかるように説明してくれる?

あなたがそういう人間じゃないってのはよくわかってるつもりよ。
だからこそ、最近のあなたの行動、態度が気に入らないのよ。

仮にもあなたはキャプテンなんだから…」

「すみません…」

「すみませんじゃないの。
ちゃんと説明しなさい。」

煮え切らない態度のまどかに、木本は苛立ちながら言った。

「あの…

それは…」

それでも、まどかはなかなか言い出そうとせず、木本の怒りは頂点に達した。

「言いなさい!」

美しい顔のまどかが今にも泣きそうになったが、妥協を許さない木本の責めに、ぽつりぽつりと話し始めた。


「監督…

実は、大きくなってしまうんです…」


「大きく?

はあっ?何がよ」


「あの、ここが…」

まどかは顔を真っ赤にしながら自らの股間を指で示した。


「どういうこと?」


「高山って人にもらった薬を飲んだら、男の人の…アレが…生えてきたんです。

びっくりして文句を言ったんですけど、運動能力は間違いなく上がるんだから、バレー部引退まで我慢しろって…」


「そうなの…

あなたが訳の分からない薬を飲まされたのは聞いてたけど、まさか…そんな事になってるなんて」

「はい…すみません…

それが、アレが生えてきてから、私自身おかしくなっちゃって…事あるごとにムラムラしてしまったりして、ついつい…

それでトイレで一人で…」


予想だにしないまどかの答えに、男性経験のない木本の頭は真っ白になってしまい、そこから何も言えなくなってしまった。


しかし、そこは指導者たる者、なんとか取り繕って言葉を繋げた。


「まあ、アレだよ。

そうやって一人で悩んでないで、私に相談しなさい。」


「すみません…」


「でも、外見上は別にそんなものが付いてるようには見えないけど。」


「高山って人に強力なインナーサポーターをもらって、それを練習の時には着用しています。

ですが、大きくなっちゃうとどうしようもなくて…」 

「…」

「監督、本当に申し訳ありません。

もうこんな事に絶対にならないように気をつけます」

「でも、なんでそうなるの?」

「えっと、匂いとか…
女子の汗かいた匂いとか、他のメンバーの胸とかお尻を見ちゃうと、もうダメで…」


「…

まどか」

「はい?」

「ちょっと、アレよ

見せてみなさい、私に」


「えっ、見せるって」

まどかが戸惑いながら訊くと、木本はぎこちなく頷いた。

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