泥々の川

フロイライン

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復活の日

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芸能界へ戻る事を約束した久美子だったが、今は、やはり恭子の事が最重要事項となっており、その捜索に、情熱を全振りしていた。

ソ連の超能力者との番組については、別撮りのパートも撮り終わり、後は放送日を待つばかりとなった。


今のところ、手掛かりとなるものはほとんどないが、番組が放送されれば、潮目が変わる…
そう思わずにいられなかった。


そして、その日は江藤と待ち合わせをしており、新宿にある喫茶店で三人は合流した。


「江藤さん、なんか久しぶりだなあ。」


向かい側に腰掛け、そう言うジローに

「ええ。ですが、ちゃんと仕事は続けてましたよ。」

と、江藤は答えた。


「江藤さん、何か進展はありましたか?」


久美子は早速、本題に入り、進捗具合を確認した。


「ええ。
核心に迫るまでは行っておりませんが、何点か事件に繋がるのではないかというものがわかりました。」


江藤は少し声のトーンを抑えて、話を続けた。


「この辺りで何件か起きていると言われる失踪事件について、新宿龍神会が絡んでると言いましたが、それはあくまでも実行犯にすぎず、奴らに金を払い、依頼をしている人物がいると、見ています。」


「なるほどな。
それはあり得るな。」


「恭子さんや、その他の失踪者について、何を目的にして近づいてきたのかは定かではありませんが、身代金を要求をする事は、どの人間の時もされていない事から、犯人は複数ではなく、全て単独の同一人物の犯行であり、金が目的ではなく、性的な欲求を満たす事が主目的だったのではないかと考えられます。」


「それは、本当か?」


「はい。
失踪者は、恭子さんを含めて、全て十代後半から二十代前半の若い女性であることから、間違いないと思います。」


「なんて酷いことを…」


「決まったわけではありませんがね。」


「それで、犯人像はどのような…」


久美子の質問に、江藤は小さく頷いてコーヒーを一口飲み、話を続けた。


「ヤクザに後始末をするからには、それなりの金を積まなければなりません。
さらに、ヤクザというものは金になるとわかれば、一度ならずと二度三度と、事あるごとに金を要求してくる奴らです。
当然、それに応えないと脅されて不利な立場になってしまう。

そう考えると、犯人は相当な資産家で、ある程度地位のある人物。」


「そうだな。
だとすれば、かなり絞り込めるんじゃねえか。」


「これは、あくまでも私の考えであり、かもしれないという段階に過ぎません。」


「それらしい奴は浮かんでんのか?」


「いえ…
新宿龍神会の連中が出入りするバーに通って情報を集めているときに、どこかの金持ちのボンボンと知り合い、その男は新宿龍神会とも接点がありましたが…」


「そいつだろ!犯人は!」


「いや、まだ、接点があった以外の証拠は何もありません。

何せヤクザが相手ですので、慎重に動く必要があります。」


江藤がそう言うと、久美子は静かに頷いた。
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