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顛末
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メニーズ事務所所属の高井竜司に続き、以前所属していた樹陽介も立て続けに自殺するという、衝撃的なニュースは、世間の関心を一心に集めた。
自殺といっても、陽介は刃傷沙汰を起こし、警察に追い詰められた挙句の死であったが。
この二つの事件の関連性について、一部の週刊誌が取り上げたが、各テレビ局や他の雑誌は一切報じず、やがて立ち消えとなった。
そして、高井竜司の自殺については、真面目な性格ゆえに仕事の件で悩み、鬱病となり自殺したとされ、陽介は、事務所をクビになったのを逆恨みして、喜多村を襲ったという事にされてしまったのである。
喜多村は、あの後病院に搬送されたが、命には別状はなかった。
しかし、陽介によって切り落とされたペニスは繋がらず、排尿にも支障をきたすようになったという。
もはや、それを使って少年達にイタズラも出来なくなり、死ぬより辛い毎日を送っているとか。
死ぬより辛いといえば、愛する男性を突如として失ってしまった友谷久美子が一番であろう。
久美子はあれ以来、毎日泣き通し、食事もろくに摂れなくなり、すっかりやつれ切ってしまっていた。
久美子と陽介が付き合っていた事を知っていた元マネージャーの甲斐が、心配するあまり、久美子の家を訪ねてきた。
「おいおい、久美子
なんて顔してんだ。
鏡見てこいよ、ひでぇ顔してんぞ」
敢えて明るい口調で言った甲斐に、久美子は号泣し
「だってえ…陽介が…いなくなっちゃった…」
と、嗚咽しながら言うと、またワンワン泣き出した。
甲斐は、そんな久美子の姿を見つめながら、時が解決するしかない…
それしか頭に浮かばなかった。
しかし、久美子はさすがに立ち直る事が出来ず、そのまま年を越えてしまい、二月になってようやく自分の身の振り方を考えるまでになった。
久美子が出した結論は、大阪に帰る…
と、いうものだった。
昭和59年3月10日
久美子は約五年ぶりに大阪の地に帰ってきた。
東京でボロボロになった心と体を癒すために…
大阪には久美子が信頼する家族、仲間がいて、皆が傷ついた心を癒してくれた。
そんな周りの人達のおかげで、久美子は徐々にではあるが、立ち直っていき、25歳の誕生日を迎える頃には笑顔も出るまでになった。
しかし、そんな久美子をまた地獄に堕とす出来事が待っていようとは、本人はおろか周りの誰もが想像すらしていなかった。
自殺といっても、陽介は刃傷沙汰を起こし、警察に追い詰められた挙句の死であったが。
この二つの事件の関連性について、一部の週刊誌が取り上げたが、各テレビ局や他の雑誌は一切報じず、やがて立ち消えとなった。
そして、高井竜司の自殺については、真面目な性格ゆえに仕事の件で悩み、鬱病となり自殺したとされ、陽介は、事務所をクビになったのを逆恨みして、喜多村を襲ったという事にされてしまったのである。
喜多村は、あの後病院に搬送されたが、命には別状はなかった。
しかし、陽介によって切り落とされたペニスは繋がらず、排尿にも支障をきたすようになったという。
もはや、それを使って少年達にイタズラも出来なくなり、死ぬより辛い毎日を送っているとか。
死ぬより辛いといえば、愛する男性を突如として失ってしまった友谷久美子が一番であろう。
久美子はあれ以来、毎日泣き通し、食事もろくに摂れなくなり、すっかりやつれ切ってしまっていた。
久美子と陽介が付き合っていた事を知っていた元マネージャーの甲斐が、心配するあまり、久美子の家を訪ねてきた。
「おいおい、久美子
なんて顔してんだ。
鏡見てこいよ、ひでぇ顔してんぞ」
敢えて明るい口調で言った甲斐に、久美子は号泣し
「だってえ…陽介が…いなくなっちゃった…」
と、嗚咽しながら言うと、またワンワン泣き出した。
甲斐は、そんな久美子の姿を見つめながら、時が解決するしかない…
それしか頭に浮かばなかった。
しかし、久美子はさすがに立ち直る事が出来ず、そのまま年を越えてしまい、二月になってようやく自分の身の振り方を考えるまでになった。
久美子が出した結論は、大阪に帰る…
と、いうものだった。
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久美子は約五年ぶりに大阪の地に帰ってきた。
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大阪には久美子が信頼する家族、仲間がいて、皆が傷ついた心を癒してくれた。
そんな周りの人達のおかげで、久美子は徐々にではあるが、立ち直っていき、25歳の誕生日を迎える頃には笑顔も出るまでになった。
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