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別れ
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「はい、オッケーです!」
スタッフの声がスタジオに響き渡ると、演者、裏方、スタジオ観覧者が拍手をした。
この収録をもって、14年続いた金村ジロー司会の「底抜け転覆ゲーム」が終了した。
その日ゲスト出演をしていた久美子がジローに花束を渡すと、また盛大な拍手が巻き起こった。
「おいおい、久美子
笑って終わろうって決めてたのに、変な演出すんじゃねえよ」
ジローは湿っぽい雰囲気にならないように、過剰なリアクションで笑いを誘った。
「ジローさん…本当に14年間お疲れ様でした。
ワタシが東京に出てきて…初めて出していただいたのが、この番組です…
うぅっ
今のワタシがあるのは…全てジローさんと、キャプテンの窪田さんの…おかげです。」
久美子はもうギャン泣き状態で、なんとか最低限の言葉だけは述べられた。
ジローは泣きじゃくる久美子の頭を撫でると、その後ろに立っていた窪田に目配せした。
窪田は頷き、袖に下がると、すぐに花束を持って現れた。
「観覧の皆さん、もう少しお付き合いを。
今日でこの番組が最終回を迎えましたが、実はここにいる友谷久美子ちゃんもですねえ、芸能界を卒業して、フツーの生活をされる事になっています。
久美子ちゃん
色々あったと思うけど、よく頑張ったね。」
窪田はそう言うと、久美子の肩をポンポンと叩き、手に持っていた花束を渡した。
「えーっ、なんでえ…」
自分にまで花束が用意されている事を知った久美子は、もう涙腺の限界を超えてしまい、花束を受け取ると、窪田の胸に飛び込んで、さらに大泣きした。
「おいおい、オジサンは涙腺弱いんだから、そんなに泣いたらこっちまでもらい泣きしてしまうよ。
それに、主役は俺じゃないの?」
ジローが言うと、笑いが起こった。
友谷久美子もこの収録をもって、6年の芸能生活を終え、明日から一般人となる。
売春で生計を立てていた十五から十八歳の生活と比べると、それ以後の芸能生活は夢のような出来事ばかりだった。
だが、久美子は、そんな生活を捨てる事に後悔などは全く無く、既に、陽介との新潟での生活に思いを馳せていた。
スタッフの声がスタジオに響き渡ると、演者、裏方、スタジオ観覧者が拍手をした。
この収録をもって、14年続いた金村ジロー司会の「底抜け転覆ゲーム」が終了した。
その日ゲスト出演をしていた久美子がジローに花束を渡すと、また盛大な拍手が巻き起こった。
「おいおい、久美子
笑って終わろうって決めてたのに、変な演出すんじゃねえよ」
ジローは湿っぽい雰囲気にならないように、過剰なリアクションで笑いを誘った。
「ジローさん…本当に14年間お疲れ様でした。
ワタシが東京に出てきて…初めて出していただいたのが、この番組です…
うぅっ
今のワタシがあるのは…全てジローさんと、キャプテンの窪田さんの…おかげです。」
久美子はもうギャン泣き状態で、なんとか最低限の言葉だけは述べられた。
ジローは泣きじゃくる久美子の頭を撫でると、その後ろに立っていた窪田に目配せした。
窪田は頷き、袖に下がると、すぐに花束を持って現れた。
「観覧の皆さん、もう少しお付き合いを。
今日でこの番組が最終回を迎えましたが、実はここにいる友谷久美子ちゃんもですねえ、芸能界を卒業して、フツーの生活をされる事になっています。
久美子ちゃん
色々あったと思うけど、よく頑張ったね。」
窪田はそう言うと、久美子の肩をポンポンと叩き、手に持っていた花束を渡した。
「えーっ、なんでえ…」
自分にまで花束が用意されている事を知った久美子は、もう涙腺の限界を超えてしまい、花束を受け取ると、窪田の胸に飛び込んで、さらに大泣きした。
「おいおい、オジサンは涙腺弱いんだから、そんなに泣いたらこっちまでもらい泣きしてしまうよ。
それに、主役は俺じゃないの?」
ジローが言うと、笑いが起こった。
友谷久美子もこの収録をもって、6年の芸能生活を終え、明日から一般人となる。
売春で生計を立てていた十五から十八歳の生活と比べると、それ以後の芸能生活は夢のような出来事ばかりだった。
だが、久美子は、そんな生活を捨てる事に後悔などは全く無く、既に、陽介との新潟での生活に思いを馳せていた。
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