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この世の果てに
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一ヶ月ぶりに別荘に連れてこられた小谷は、洸平に案内され、外から厳重に施錠された部屋の前まで来た。
「おい、この部屋は何なんだよ。」
その異様な雰囲気にたじろぐ小谷に、洸平は落ち着かない様子で
「いいから…ちょっと見てくれ」
と、言って鍵を開けた。
そして、洸平は後ろの小谷を一度見ると、すぐに前を向き、ドアのノブを回して引いた。
恐る恐る中を覗き込んだ小谷だったが、部屋中に漂う異臭に閉口した。
しかし、驚いたのはそれだけではなかった。
部屋の中に横たわるガリガリに痩せた女の存在に気付き、背筋が寒くなった。
異臭の原因もここからだということがわかった。
排泄物まみれになって、目の瞳孔が開き、涎を垂らしながら天井をボーっと見つめている。
ゾンビ…
一言で形容するなら、まさにゾンビだった。
「お前、まさか…」
「ああ、あのときの大阪の女だ…」
「ずっと、ここに監禁してたのか!」
「だってしょーがねえじゃねえかよ。
解放したら警察に駆け込まれて逮捕される危険があったし。」
「だからって…」
小谷が、そう言った瞬間、ゾンビ女は、二人の方に視線を移し、弱々しい声で
「お薬
お薬…
ちょーらい…」
と、言った。
それを聞いた洸平は机の上に置いてあった注射器を取り、ゾンビ女の腕に突き刺した。
女の腕は左右ともに紫に変色している。
「おい、これ以上打ったら死んじまうよ!」
「仕方ねえだろ!
薬が切れたら暴れ狂って手がつけられなくなるんだから。」
洸平は逆ギレした小谷を睨みつけた。
「どうすんだよ、コレ。
もう終わりだよ、こうなっちまったらもうムリだ。
廃人だぞ。」
「どうすりゃいいのか教えてくれよ!
だからお前に来てもらったんじゃねえか。」
「悪いけど、俺の手には負えない。
自分で考えろ」
小谷は縋り付こうとする洸平の腕を振り解き、部屋を出ていった。
恭子と二人きりになった洸平は頭を抱えて泣き出した。
だが、しばらくすると、恭子をまた部屋に監禁し、表に停めていた車に飛び乗り、そのまま去っていった。
「おい、この部屋は何なんだよ。」
その異様な雰囲気にたじろぐ小谷に、洸平は落ち着かない様子で
「いいから…ちょっと見てくれ」
と、言って鍵を開けた。
そして、洸平は後ろの小谷を一度見ると、すぐに前を向き、ドアのノブを回して引いた。
恐る恐る中を覗き込んだ小谷だったが、部屋中に漂う異臭に閉口した。
しかし、驚いたのはそれだけではなかった。
部屋の中に横たわるガリガリに痩せた女の存在に気付き、背筋が寒くなった。
異臭の原因もここからだということがわかった。
排泄物まみれになって、目の瞳孔が開き、涎を垂らしながら天井をボーっと見つめている。
ゾンビ…
一言で形容するなら、まさにゾンビだった。
「お前、まさか…」
「ああ、あのときの大阪の女だ…」
「ずっと、ここに監禁してたのか!」
「だってしょーがねえじゃねえかよ。
解放したら警察に駆け込まれて逮捕される危険があったし。」
「だからって…」
小谷が、そう言った瞬間、ゾンビ女は、二人の方に視線を移し、弱々しい声で
「お薬
お薬…
ちょーらい…」
と、言った。
それを聞いた洸平は机の上に置いてあった注射器を取り、ゾンビ女の腕に突き刺した。
女の腕は左右ともに紫に変色している。
「おい、これ以上打ったら死んじまうよ!」
「仕方ねえだろ!
薬が切れたら暴れ狂って手がつけられなくなるんだから。」
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「どうすんだよ、コレ。
もう終わりだよ、こうなっちまったらもうムリだ。
廃人だぞ。」
「どうすりゃいいのか教えてくれよ!
だからお前に来てもらったんじゃねえか。」
「悪いけど、俺の手には負えない。
自分で考えろ」
小谷は縋り付こうとする洸平の腕を振り解き、部屋を出ていった。
恭子と二人きりになった洸平は頭を抱えて泣き出した。
だが、しばらくすると、恭子をまた部屋に監禁し、表に停めていた車に飛び乗り、そのまま去っていった。
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