泥々の川

フロイライン

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rival revival

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母との再会、そして別れ
久美子は少しの間、感傷的になっていたが、次々に舞い込む仕事に忙殺され、元の日常に戻っていった。


「おはようございます。」


打ち合わせのために事務所を訪れた久美子は、事務所の皆に挨拶をした。


「久美子、おはよう。

来週の典子さんのコンサートのゲスト出演の件
通ってるよね?」


「はい。典子さんとお喋りするだけのトークコーナーだと聞いてますけど、それでいいんですよね?」

そう質問する久美子だったが、甲斐は難しい顔をして腕組みをしたまま天井を見上げた。
それから視線を落とし、久美子を見つめると、呟くように言った。



「実はなあ、来週けっこうデカい特番があってなあ。」


「特番?」

「当初、お前さんにゲスト出演の依頼があったんだよ。

でも、典子さんのオファーを断るわけにはいかんだろ?
だから、番組出演の方は泣く泣く断ったんだけど。」


「それは仕方ないですよ。
ワタシ達の世界のトップにいる人ですし、すごくお世話にもなっています。
お誘いを受けたら当然出るべきです。」


「まあ、それはそうなんだけど。
久美子がバラシになって、っていうかこっちが断って、代わりの出演者として誰を入れてきたと思う?」


「えっ、わかりません。」


「松永友美子だよ。」


「えっ、松永さんが…」


「そうなんだよ。
同じ美人オカマ枠でキャラが被ってんだよ、お前と松永は。

ここんとこ、すげー人気だもんな。」


「たしかに、あの人美人ですよね。
この前、間近で見ましたが、本当に綺麗な方でした。」


「いやいや、ルックスだけなら、お前の方が上だよ。
おっぱいだって比べもんにならねえ。

でも、あっちはマンコ付いてんだよなあ。」


「マンコ…」


「今の世の中、あーいうタイプの方が持て囃されんだよ。

松永友美子を巷では何て呼んでるか知ってるか?」


「いえ…わからないです。」


「ニューハーフだよ、ニューハーフ。」


「ニューハーフ?…ですか」


「まさに松永友美子のために作られた言葉だよ。
ひょっとしたら流行るかもしれないね。」

「へえ、なかなかいい言葉ですね。
オカマなんかより、はるかに」

「久美子や松永なんかがそのニューハーフってやつのイメージを上げたからな。

女より美しいって言っても過言じゃない」


「ちょっと大げさですよ。」


「素材はお前の方がはるかに優ってるのに、マンコかチンコの差だけで評価されて。
いっそのこと、お前もモロッコがどっかに行ってマンコにしてもらうか?」


「えーっ、嫌ですよ

怖いですし、今の体で満足してますから。」

久美子は膨れっ面になった。。
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