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兄?妹−弟
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風呂から上がっても、久美子は失われた十二年間を取り戻すべく、恵理子とべったりになった。
ベッドも一緒がいいと言い、恵理子のベッドに潜り込んだ。
恵理子もそんな久美子の事を、まるで子供を寝かしつけるときのように優しく抱きしめ、背中を撫でた。
そして、まだ話し足りなかったのか、恵理子に質問を続けた。
「ねえ、子供二人の名前は何ていうの?」
「上の女の子が里香
下が由彦よ。」
「へえ、良い名前やね。
一度会ってみたいなあ。」
「関係性では袮留の妹と弟になるんやから、全然会いに来て。」
「でも、ワタシはこの通りだし、きっと嫌がられるよ。」
「何言ってるのよ。
多分懐くと思うわ。
それと旦那さんにもね、袮留の事をずっと話していたのよ。」
「えっ」
「私には最愛の息子がいるって。」
「えっ、えっ」
「そしたら、俺も会いたいって言ってくれたの。
よかったら、こっちで一緒に住めばええって。」
「そんな事を…」
「でも、私が弱いから…袮留を迎えに行くことができへんかった。
また、あの地獄に飛び込むのが怖くて…」
「わかるよ、お母さん
そんなん躊躇して当たり前やわ。
よく思いとどまってくれたわ。
もし、迎えに来て何かあったらと思うと…」
「ホンマにごめんね。」
「ホンマに謝らんといて。
ワタシは何も思てないし、むしろよかったと思てるくらいよ。
あ、そうそう
お母さんて籍はどないしたん?
離婚もせんと飛び出しはったから」
「それはね
今の主人と一緒になろうて話になった時に、離婚してへん私の戸籍が問題になるなあって。
主人がダメ元で離婚届に判押して送れって言われてな。
私、送ったんよ。全然期待はせんと。
せやけど、向こうもサインして役所に届け出してくれてん。
それだけは唯一感謝してるわ。」
「お母さんは信じられへんと思うけど、お父さんもだいぶ丸くなりはって、今は真面目やしすごい優しいんやで。
お母さんが姫路に住んでるてわかっても、会いに行こうともせんかったし。」
「そうなん?」
「うん。
ワタシら仲ええもん。」
「信じられへんわ、そんな話」
「ホンマやて。
ワタシの事も大事に思てくれてるし。」
「袮留は人がええというか、ホンマに優しい子やね。
誰に似たんやろ?」
「胸だけはお母さんやで」
久美子はそう言って笑った。
「そうやな。
似てくれて光栄やわ」
恵理子も笑い、久美子の頭を撫でた。
ベッドも一緒がいいと言い、恵理子のベッドに潜り込んだ。
恵理子もそんな久美子の事を、まるで子供を寝かしつけるときのように優しく抱きしめ、背中を撫でた。
そして、まだ話し足りなかったのか、恵理子に質問を続けた。
「ねえ、子供二人の名前は何ていうの?」
「上の女の子が里香
下が由彦よ。」
「へえ、良い名前やね。
一度会ってみたいなあ。」
「関係性では袮留の妹と弟になるんやから、全然会いに来て。」
「でも、ワタシはこの通りだし、きっと嫌がられるよ。」
「何言ってるのよ。
多分懐くと思うわ。
それと旦那さんにもね、袮留の事をずっと話していたのよ。」
「えっ」
「私には最愛の息子がいるって。」
「えっ、えっ」
「そしたら、俺も会いたいって言ってくれたの。
よかったら、こっちで一緒に住めばええって。」
「そんな事を…」
「でも、私が弱いから…袮留を迎えに行くことができへんかった。
また、あの地獄に飛び込むのが怖くて…」
「わかるよ、お母さん
そんなん躊躇して当たり前やわ。
よく思いとどまってくれたわ。
もし、迎えに来て何かあったらと思うと…」
「ホンマにごめんね。」
「ホンマに謝らんといて。
ワタシは何も思てないし、むしろよかったと思てるくらいよ。
あ、そうそう
お母さんて籍はどないしたん?
離婚もせんと飛び出しはったから」
「それはね
今の主人と一緒になろうて話になった時に、離婚してへん私の戸籍が問題になるなあって。
主人がダメ元で離婚届に判押して送れって言われてな。
私、送ったんよ。全然期待はせんと。
せやけど、向こうもサインして役所に届け出してくれてん。
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「そうなん?」
「うん。
ワタシら仲ええもん。」
「信じられへんわ、そんな話」
「ホンマやて。
ワタシの事も大事に思てくれてるし。」
「袮留は人がええというか、ホンマに優しい子やね。
誰に似たんやろ?」
「胸だけはお母さんやで」
久美子はそう言って笑った。
「そうやな。
似てくれて光栄やわ」
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