113 / 264
初出演
しおりを挟む
「さあ、今週も始まりました底抜け転覆ゲームの時間です。
司会はワタクシ、金村ジローが務めます。」
生放送の番組が始まり、京活の事務所では、テレビの前で固唾を飲んで見守っていた。
「はい。今日の猫塚チームのゲストは、今巷で最も可愛いと言われている巨乳のオカマちゃん、友谷久美子ちゃんです。」
ジローに紹介され、ジャージ姿で頭にハチマキを巻いた久美子が笑顔で挨拶をした。
「こんばんは。友谷久美子です。
今日は猫塚チームの足を引っ張らないように頑張りまーす」
可愛らしくガッツポーズをするとお辞儀をして後ろに下がった。
「久美子なかなかいい表情してるね。」
「そうですね、可愛いです。」
村田が言うと、事務の金子裕美も頷いた。
スタジオに同行している甲斐も、拳を握ったまま、久美子の健闘を袖口を祈っていた。
この番組は出演者が2チームに分かれ、ゲームをして得点を競うというもので、コメディアンや若手の歌手が体を張って頑張るところを見せるのがウリになっていた。
久美子は若手歌手のポジションで出ていたが、それにプラスして、オカマである事から扱いが少々酷かった。
粉に顔をつけて飴玉を探したり、二人三脚などを頑張ったが、乳を揉まれるなどセクハラ行為をされまくった。
オカマのおっぱいはおっぱいではないという論理であった。
だが、久美子は自分の立場と役割をよくわきまえており
「あーんっ、エッチ」
と、オーバーリアクションで応え、スタジオを沸かせた。
この時代は、久美子のようなレディーボーイには人権など存在しなかったのだ。
だが、頑張る人間はそんな時代とはいえ認められるもの。
久美子のひたむきな努力とサービス精神は、他のタレントやスタッフの共感を呼び、無事放送を終えると、皆が彼女の周りに集まってきた。
「久美子ちゃん
すごくよかったよ」
タベプロ所属の年配のタレント、窪田正夫は、久美子にそう声をかけた。
「ありがとうございます。
上手く立ち回れなくてすみません。」
「いやいや、オカマが来るって言うからさあ
バケモノみたいなのが来ると思ってたんだよ。
まさか久美子ちゃんみたいな可愛いおかまちゃんが来るとはな。
ウチの社長が推してたのもわかるわ。」
「窪田さん、そう言っていただけるなんて、光栄というか、照れます。」
「あ、そうだ
これからジローちゃんと飲みに行くんだけど、一緒に来ない?」
「えっ、ワタシもですか?」
久美子はビックリして、後ろに立っていた甲斐の方を見たが…
甲斐は、ただ頷くだけだった。
司会はワタクシ、金村ジローが務めます。」
生放送の番組が始まり、京活の事務所では、テレビの前で固唾を飲んで見守っていた。
「はい。今日の猫塚チームのゲストは、今巷で最も可愛いと言われている巨乳のオカマちゃん、友谷久美子ちゃんです。」
ジローに紹介され、ジャージ姿で頭にハチマキを巻いた久美子が笑顔で挨拶をした。
「こんばんは。友谷久美子です。
今日は猫塚チームの足を引っ張らないように頑張りまーす」
可愛らしくガッツポーズをするとお辞儀をして後ろに下がった。
「久美子なかなかいい表情してるね。」
「そうですね、可愛いです。」
村田が言うと、事務の金子裕美も頷いた。
スタジオに同行している甲斐も、拳を握ったまま、久美子の健闘を袖口を祈っていた。
この番組は出演者が2チームに分かれ、ゲームをして得点を競うというもので、コメディアンや若手の歌手が体を張って頑張るところを見せるのがウリになっていた。
久美子は若手歌手のポジションで出ていたが、それにプラスして、オカマである事から扱いが少々酷かった。
粉に顔をつけて飴玉を探したり、二人三脚などを頑張ったが、乳を揉まれるなどセクハラ行為をされまくった。
オカマのおっぱいはおっぱいではないという論理であった。
だが、久美子は自分の立場と役割をよくわきまえており
「あーんっ、エッチ」
と、オーバーリアクションで応え、スタジオを沸かせた。
この時代は、久美子のようなレディーボーイには人権など存在しなかったのだ。
だが、頑張る人間はそんな時代とはいえ認められるもの。
久美子のひたむきな努力とサービス精神は、他のタレントやスタッフの共感を呼び、無事放送を終えると、皆が彼女の周りに集まってきた。
「久美子ちゃん
すごくよかったよ」
タベプロ所属の年配のタレント、窪田正夫は、久美子にそう声をかけた。
「ありがとうございます。
上手く立ち回れなくてすみません。」
「いやいや、オカマが来るって言うからさあ
バケモノみたいなのが来ると思ってたんだよ。
まさか久美子ちゃんみたいな可愛いおかまちゃんが来るとはな。
ウチの社長が推してたのもわかるわ。」
「窪田さん、そう言っていただけるなんて、光栄というか、照れます。」
「あ、そうだ
これからジローちゃんと飲みに行くんだけど、一緒に来ない?」
「えっ、ワタシもですか?」
久美子はビックリして、後ろに立っていた甲斐の方を見たが…
甲斐は、ただ頷くだけだった。
13
お気に入りに追加
19
あなたにおすすめの小説

体育座りでスカートを汚してしまったあの日々
yoshieeesan
現代文学
学生時代にやたらとさせられた体育座りですが、女性からすると服が汚れた嫌な思い出が多いです。そういった短編小説を書いていきます。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる