泥々の川

フロイライン

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「喜多村さん
この子めちゃくちゃ可愛いでしょ?」


典子が喜多村に言うと

「ああ、そうだね。
本物の女の子だと思ったよ。」

喜多村は少し驚いた様子で言った。

しかし、すぐに

「もったいないなあ。
何でおっぱいあるの?

男のままでもいいじゃない」


と、喜多村は久美子の胸を見ながら言った。


「久美子さん、ごめんなさいね。
この人、男の子にしか興味ないのよ。
あなたみたいに胸があったり化粧したりしてる人には触手が動かないんだって。」


「そうなんですか。
すみません」


「いや、いいんだよ
ミーの趣味だからね。

ミーは陽介みたいな子が大好きなんだ。」


喜多村はそう言うと、陽介の手を握りしめ、頬にキスをした。
陽介は、その行為に対して嫌がる事もなく、表情一つ変えず、ワインを飲んでいる。


「この事は内緒よ。
世間にバレたら大変な事になるわ。」


「あ、はい
わかりました。」

久美子は唖然としてその光景を見つめていたが、典子の言葉に、ようやく我に返り、慌てて返事した。

「多部社長は、男色家ではないからね。」


「ああ、ぼくはフツーに女性が好きだよ。
だけど、もう歳だから、何をするでもないけどね。」


多部はそう言って笑うと、続けて


「久美子さんは若くて可愛いから、僕は好きだよ。」


と、言った。


「そんな、ワタシは…全然」

久美子は慌てて否定した。


「ねえ、久美子さんはねえ、京活プロの期待の星なの。
多部さんも力を貸してあげてね。」

典子は多部に言った。


「京活さんとは、昔から仲良くしていてね。

先代の嶋本社長には本当にお世話になったよ。
まだあの頃は京活さんはアクション映画で頑張ってたからね。
ウチのワイルドドッグスや、上本不比等なんかもよく出演させてもらったよ。」


「そうだったんですか。」


「こうやって久美子さんと出会えたのも何かの縁だ。
社交辞令じゃなく、私でよければ本当に力にならせてもらうよ。」


「えっ、ありがとうございます。」


「ああ、ウチの事務所で買い上げてるような番組が週に四つ五つあるんだよ。
それのゲストなんてどうかね?」


「はい、喜んで。」


「体操着でマット運動をやるコーナーとかもあるんだけど、久美子さんは運動は得意かな?」


「男子だったときは得意だったんですけど、今は全然ですね。」


「それなら大丈夫だよ。
ブッキングしといてあげるよ。」


「ありがとうございます」

久美子は満面の笑みを浮かべてお辞儀をした。


「よかったわね、久美子さん」

典子のセッティングのおかげであったが、久美子も人たらしの一面があり、このようにすぐに気に入られる傾向にあった。
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