泥々の川

フロイライン

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新生活宣言

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「百恵、あんたの映画見たで。」


「えっ、見てくれはったんですか?

恥ずかしいわ。」


「ホンマに綺麗やったわ。
相手役の山﨑敬信やったっけ?

あの人もビビるくらいの二枚目やなあ。」


「はい。
めちゃくちゃカッコよかったですよ。
ウチみたいなオカマ相手でも優しいし、本気で好きそうになりました。」



「へえ、ボカシ入っとったけど、まさか本番はしてへんねんやろ?」


「ワタシ的には本番してもよかったんやけど、そんなんしたらあかん言われて、前貼りいうのをお互いのちんちんのところに付けられて、演技したんです。」


「そうやったんか。
アンタの表情見てたら本気で感じてるように見えたから、挿れられてんのかと思たわ。」


「あ、でも半分くらい本気で感じてました。
娼婦辞めてから、男の人と全然してへんし、なんか抱かれるのんが久しぶりやったから。」


「相変わらずやなあ、百恵は。

あっ、今は久美子やったな」


「姉さんも幸せそうでホンマに良かったです。」


「今のところな。
旦那さんも、ウチとは遊んでるだけで、実際に結婚とかしてくれると思てへんかってんよ。

でも、こうやって優しくしてくれはるし、毎日がホンマに楽しいねん。」


「そんな話聞くと、ウチも嬉しくなります。」


「ありがとうな、久美子。

あ、そうそう
アンタに会うたら聞こうと思ててんけど、大野さんはどないしたはる?
元気にしてんのかと思てな。」


「見せ物小屋閉めて、ウチを京活に譲渡する事によって、幾ばくかのお金はもらいはったと思いますねんけど、あくまでも聞いた話ですけど、もう仕事はせんと、家にずっと居はるみたいです。」


「そうか。
まあ、見せ物小屋も売春も時代の流れには抗われへんもんなあ。

今度会いに行ってやるか。」


「その時はウチにも声かけて下さい。
一緒に行きます。」


「また言うわ。

それよか、アンタ

東京行くんやて?」


「そうですねん。
事務所の人らが東京で勝負せなあかんて。

何でも第二のカルーセル麻紀を作る言うて、みんな張り切ってますわ。」


「へえ、そうなんや。

何を隠そう、ウチの源氏名のマキはカルーセル麻紀から取ったもんやねんで。」

マキはニヤッと笑って言った。


「へえ、そうやったんですか。
今の今まで気付きませんでした。」


二人の会話は尽きる事なく、時間を忘れて思い出話に花を咲かせた。
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