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身辺整理
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百恵の新しい名前が決定した。
紆余曲折があったが
「友谷久美子」に決まった。
昭和53年の名前ランキングでも上位にあったこの名前は、響きが良いという事で、百恵と事務所双方が納得の上で選択した。
しかし、揉めたのは苗字の方だった。
本名の友谷を名乗りたい百恵と、別のものにしたい事務所とが対立。
芸能界デビューを母親を探すための一助にしたい百恵は頑なに譲らず、理由を知った事務所が折れる形で本名が採用される事となった。
問題はもう一つあった。
それは、久美子の身辺整理についてだ。
久美子自体、友人関係などは極々限られており、万が一芸能界で成功しても、それを目当てに近寄ってくるような人間は皆無だった。
敢えて挙げるとすれば、男としての久美子に恋愛感情を持つ佐野恭子くらいだった。
この春、大学に入学した恭子は、時間に余裕が出来たのか、事あるごとに久美子の新居に押しかけてきた。
そして、その度に体の関係を持った。
売春を辞め、男とする機会を失った久美子だったが、その分恭子とのセックスの回数は増えていった。
その日も恭子は、学校の帰りに久美子の部屋に立ち寄り、まったりとした時間を過ごしていた。
「恭子
大学て楽しい?」
「袮留と一緒だったらどれだけ楽しかったかって、今もよく思うわ。」
「何言ってんのよ。
もし、あのまま学校通ってても、多分良い高校には行けなかっただろうし、大学なんてもってのほかよー。」
「袮留の方こそ何言ってんのよ。
まだお婆さんが生きてらっしゃるときは、毎日学校にも通ってて、勉強もよく出来たじゃない?
私が覚えてないとでも思ってるの?」
「あの時はまだ生活にも多少は余裕があったし…
どっちにしても上の学年になればなるほど成績は落ちてたと思うよ。」
「またまた謙遜を。
そんな事より、しない?」
「今日、ホルモン注射してきたばっかだからなあ。
勃つかなあ。」
「私が勃たせてあげるわよ。」
恭子はそう言うと、久美子に抱きついた。
久美子がちゃんと勃起して挿入できる確率は50%。
二回に一回は上手くいくが、やはり中折れしたり、最後まで勃たずに挿入出来ないで終わることも多々あった。
元来女性が性の対象の久美子だったが、やはり去勢手術をした影響は甚大で、女性の体に対して欲情したりする事は皆無だった。
それでも頻繁に恭子とセックスをするのは、性欲とは結びつかない、愛情に突き動かされての事だった。
紆余曲折があったが
「友谷久美子」に決まった。
昭和53年の名前ランキングでも上位にあったこの名前は、響きが良いという事で、百恵と事務所双方が納得の上で選択した。
しかし、揉めたのは苗字の方だった。
本名の友谷を名乗りたい百恵と、別のものにしたい事務所とが対立。
芸能界デビューを母親を探すための一助にしたい百恵は頑なに譲らず、理由を知った事務所が折れる形で本名が採用される事となった。
問題はもう一つあった。
それは、久美子の身辺整理についてだ。
久美子自体、友人関係などは極々限られており、万が一芸能界で成功しても、それを目当てに近寄ってくるような人間は皆無だった。
敢えて挙げるとすれば、男としての久美子に恋愛感情を持つ佐野恭子くらいだった。
この春、大学に入学した恭子は、時間に余裕が出来たのか、事あるごとに久美子の新居に押しかけてきた。
そして、その度に体の関係を持った。
売春を辞め、男とする機会を失った久美子だったが、その分恭子とのセックスの回数は増えていった。
その日も恭子は、学校の帰りに久美子の部屋に立ち寄り、まったりとした時間を過ごしていた。
「恭子
大学て楽しい?」
「袮留と一緒だったらどれだけ楽しかったかって、今もよく思うわ。」
「何言ってんのよ。
もし、あのまま学校通ってても、多分良い高校には行けなかっただろうし、大学なんてもってのほかよー。」
「袮留の方こそ何言ってんのよ。
まだお婆さんが生きてらっしゃるときは、毎日学校にも通ってて、勉強もよく出来たじゃない?
私が覚えてないとでも思ってるの?」
「あの時はまだ生活にも多少は余裕があったし…
どっちにしても上の学年になればなるほど成績は落ちてたと思うよ。」
「またまた謙遜を。
そんな事より、しない?」
「今日、ホルモン注射してきたばっかだからなあ。
勃つかなあ。」
「私が勃たせてあげるわよ。」
恭子はそう言うと、久美子に抱きついた。
久美子がちゃんと勃起して挿入できる確率は50%。
二回に一回は上手くいくが、やはり中折れしたり、最後まで勃たずに挿入出来ないで終わることも多々あった。
元来女性が性の対象の久美子だったが、やはり去勢手術をした影響は甚大で、女性の体に対して欲情したりする事は皆無だった。
それでも頻繁に恭子とセックスをするのは、性欲とは結びつかない、愛情に突き動かされての事だった。
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