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急転
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百恵の生活は、京活と契約した事により一変した。
今まで住んでいたアパートを引き払い、阿倍野区に転居した。
もちろん売春からも卒業し、デビューに向けた準備に余念がなかった。
先ずは、有名になった時に元売春婦だとマズイということで、京活が北新地のクラブに頼み込み、働かせてもらう事にした。
店のオーナー以外は、彼女が男だとは知らない。
水商売について何の知識もなく、女の嫉妬渦巻く世界で生きていくのは大変難しかったが、持ち前の前向きさで、三ヶ月間のバイト期間を乗り切った。
その日も北区に開設した事務所を訪れた百恵は、打ち合わせをしていた。
「これで既成事実が出来たから。
前職は新地でホステスをしていたってね。」
百恵の専属マネージャーとなった甲斐は、事務所が描いたシナリオというレールに彼女を乗せて誘導した。
甲斐俊樹は、京活に入社して六年の若手社員で、百恵とは丁度年齢が十個違いの二十八歳で、マネージャーとして付くのは百恵が初めてだった。
「あと、芸名やなあ。
百恵じゃあかんやろ。
何にする?」
「えーっ、わかんないです。ワタシには」
「それやったら、こっちに任せて。
ええ名前考えるし。」
「一応、デビューは夏頃を目指してるんやけど、それまであんまり変な事したらあかんで。
些細な事やったら、ウチで揉み消すけど、どないもなれへんようなんは勘弁してや。」
「はい。
心得てます。」
「それにしても百恵ちゃんはめちゃくちゃ可愛いなあ。
俺も今回のプロジェクト用に何人ものレディーボーイと面接みたいな事したんやけど、どれもあかんかった。
っていうか、キミほどずば抜けたのがおると、他の連中は話にならへん。
やっぱり十五で金玉取ったのが効いてんねんやろなあ。」
「自分ではよくわかりませんけど、そうなんかなあ。」
「絶対そうやって。
間違いなくスターになれるわ。
カルーセル麻紀とか目じゃないって。」
「とんでもないです。
カルーセル麻紀さん、すごい綺麗です。
ちゃんと性転換してはるし、ワタシにとっては憧れの存在です。」
「百恵ちゃんもゆくゆくは取ってしまうん?」
「ワタシですか。
どうなんやろ…
そこまでは考えてないです。」
「そうかあ。
キミのルックスやったらわざわざ取らんでも十分やな。」
「よう意味わかりませんけど」
百恵は甲斐との会話が可笑しくて仕方なかった。
今まで住んでいたアパートを引き払い、阿倍野区に転居した。
もちろん売春からも卒業し、デビューに向けた準備に余念がなかった。
先ずは、有名になった時に元売春婦だとマズイということで、京活が北新地のクラブに頼み込み、働かせてもらう事にした。
店のオーナー以外は、彼女が男だとは知らない。
水商売について何の知識もなく、女の嫉妬渦巻く世界で生きていくのは大変難しかったが、持ち前の前向きさで、三ヶ月間のバイト期間を乗り切った。
その日も北区に開設した事務所を訪れた百恵は、打ち合わせをしていた。
「これで既成事実が出来たから。
前職は新地でホステスをしていたってね。」
百恵の専属マネージャーとなった甲斐は、事務所が描いたシナリオというレールに彼女を乗せて誘導した。
甲斐俊樹は、京活に入社して六年の若手社員で、百恵とは丁度年齢が十個違いの二十八歳で、マネージャーとして付くのは百恵が初めてだった。
「あと、芸名やなあ。
百恵じゃあかんやろ。
何にする?」
「えーっ、わかんないです。ワタシには」
「それやったら、こっちに任せて。
ええ名前考えるし。」
「一応、デビューは夏頃を目指してるんやけど、それまであんまり変な事したらあかんで。
些細な事やったら、ウチで揉み消すけど、どないもなれへんようなんは勘弁してや。」
「はい。
心得てます。」
「それにしても百恵ちゃんはめちゃくちゃ可愛いなあ。
俺も今回のプロジェクト用に何人ものレディーボーイと面接みたいな事したんやけど、どれもあかんかった。
っていうか、キミほどずば抜けたのがおると、他の連中は話にならへん。
やっぱり十五で金玉取ったのが効いてんねんやろなあ。」
「自分ではよくわかりませんけど、そうなんかなあ。」
「絶対そうやって。
間違いなくスターになれるわ。
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「とんでもないです。
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「百恵ちゃんもゆくゆくは取ってしまうん?」
「ワタシですか。
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そこまでは考えてないです。」
「そうかあ。
キミのルックスやったらわざわざ取らんでも十分やな。」
「よう意味わかりませんけど」
百恵は甲斐との会話が可笑しくて仕方なかった。
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