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難航
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みゆき通商店街「やってきた二人は、先ずはそれらしき食堂がないか、探してみた。
だが、春田食堂は勿論、それに似た名前の食堂も見つからなかった。
結局二時間ほど歩き回り、中に入って聞いてみたりしたが、手掛かりすら掴めず、五時頃に初日の捜索を打ち切った。
「ごめんね、百恵
見つけてやれんで。」
「いえ、ハナからすぐには見つかるとは思てへんかったし。
姫路におる間に何か手掛かりだけでも掴めたらええと思てます。
姉さん、ホンマにウチのためにありがとうございます。」
「また明日も探そ。
ウチらの出演は三回や言うてたし、時間はあると思うねん。」
「はい。」
「ほな、旅館に入ろか。」
「旅館ですか!
いいですね」
「まあ、高級なんは無理やけどな。」
「雨風凌げたらそれでええです。」
「そやな。
ウチら雑草みたいなもんやし、何処でも生きていけるっちゅー話や。」
マキは笑いながら百恵の肩をポンポン叩いた。
「ところで姉さん
夜はどっかに立って客引きますか?」
「いや、やらん。
ここら辺は有名なヤクザが仕切ってるから。
娼婦連中も皆んな後ろにそいつらが付いてる。
ウチらが行って下手に客取って揉めでもしたら、バックのヤクザに何されるかわからんよってに。」
「それは怖いですねえ。
せやったら大人しくストリップの仕事だけしとくしかないですね。」
「空いた時間は小屋の手伝いもさせられるやろしな。」
「そうですね。
ウチ、遠崎さんの人間ポンプのときとか、重岡さんの奇術のときに、助手をやらせてもらう事が最近多くて。
あーいう仕事もなんや楽しいです。」
「アンタ、水着着て一緒に出てるもんなあ。
胸もあるし、ちんこも小さいからよう似合ってるわビキニが。」
「ウチ、ビキニ着るん好きです。
でも、いくら小さい言うても、ちんちんのところは前貼りせなあきませんけど。」
「年に一回か二回、何か知らんけど勃つ事あるもんなあ。」
「ありますあります。
別にやらしい事とか考えてへんし、そんな気もないんですけどねえ。」
「まあ、男やったときもそういうのはあったわけやし、タマが無くても名残みたいなのはあるんやろね。」
「そうですねえ」
「あ、着いたで。
ワタシらの姫路での宿が」
マキは通りから一本筋に入ったところにある旅館を指さして言った。
「ホテル鷲の荘…
ええ感じですね。」
「ウチらが売りで使うてる旅館に比べたら雲泥の差や。」
「まあ、いつものやつはヤルだけに使うてるだけですしね」
百恵が笑って言うと、マキも口元を緩めながら頷いた。
だが、春田食堂は勿論、それに似た名前の食堂も見つからなかった。
結局二時間ほど歩き回り、中に入って聞いてみたりしたが、手掛かりすら掴めず、五時頃に初日の捜索を打ち切った。
「ごめんね、百恵
見つけてやれんで。」
「いえ、ハナからすぐには見つかるとは思てへんかったし。
姫路におる間に何か手掛かりだけでも掴めたらええと思てます。
姉さん、ホンマにウチのためにありがとうございます。」
「また明日も探そ。
ウチらの出演は三回や言うてたし、時間はあると思うねん。」
「はい。」
「ほな、旅館に入ろか。」
「旅館ですか!
いいですね」
「まあ、高級なんは無理やけどな。」
「雨風凌げたらそれでええです。」
「そやな。
ウチら雑草みたいなもんやし、何処でも生きていけるっちゅー話や。」
マキは笑いながら百恵の肩をポンポン叩いた。
「ところで姉さん
夜はどっかに立って客引きますか?」
「いや、やらん。
ここら辺は有名なヤクザが仕切ってるから。
娼婦連中も皆んな後ろにそいつらが付いてる。
ウチらが行って下手に客取って揉めでもしたら、バックのヤクザに何されるかわからんよってに。」
「それは怖いですねえ。
せやったら大人しくストリップの仕事だけしとくしかないですね。」
「空いた時間は小屋の手伝いもさせられるやろしな。」
「そうですね。
ウチ、遠崎さんの人間ポンプのときとか、重岡さんの奇術のときに、助手をやらせてもらう事が最近多くて。
あーいう仕事もなんや楽しいです。」
「アンタ、水着着て一緒に出てるもんなあ。
胸もあるし、ちんこも小さいからよう似合ってるわビキニが。」
「ウチ、ビキニ着るん好きです。
でも、いくら小さい言うても、ちんちんのところは前貼りせなあきませんけど。」
「年に一回か二回、何か知らんけど勃つ事あるもんなあ。」
「ありますあります。
別にやらしい事とか考えてへんし、そんな気もないんですけどねえ。」
「まあ、男やったときもそういうのはあったわけやし、タマが無くても名残みたいなのはあるんやろね。」
「そうですねえ」
「あ、着いたで。
ワタシらの姫路での宿が」
マキは通りから一本筋に入ったところにある旅館を指さして言った。
「ホテル鷲の荘…
ええ感じですね。」
「ウチらが売りで使うてる旅館に比べたら雲泥の差や。」
「まあ、いつものやつはヤルだけに使うてるだけですしね」
百恵が笑って言うと、マキも口元を緩めながら頷いた。
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